留学大図鑑 留学大図鑑

Rieko

出身・在学高校:
佐賀県立佐賀西高等学校
出身・在学校:
熊本大学
出身・在学学部学科:
社会文化科学研究科
在籍企業・組織:

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最終更新日:2018年12月07日 初回執筆日:2018年12月07日

記憶のよりよい継承の方法を探る

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ワルシャワ大学
  • ポーランド
  • ワルシャワ
留学期間:
7ヶ月
総費用:
372,290円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,090,000円
  • 日本学生支援機構第一種奨学金 594,622円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

私は将来学芸員になり、忘れ去られそうな「記憶」――出来事、当事者たちの経験や思いを残し、その教訓とその「記憶」そのものを若い世代や後世に引き継いでいきたいという目標がある。「記憶」を未来へ繋いでいくには具体的にどうしたらいいのかよりよい方法が知りたくて、第二次世界大戦後に街を市民の手で再現・復興したことで有名なポーランドの首都・ワルシャワに留学した。「記憶」を残すことに対する市民の意識が高いと思ったからである。ワルシャワ大学で、実際に「History, memory, trauma」という題目の講義を受けたり、ミュージアムに足を運び展示方法を分析したり、第二次世界大戦当時の記憶を持つ人たちや直接は経験していない同世代の若者たちにインタビュー調査を行なったりした。結果、私の予想に反して世代が下がるほどに「記憶」を残すことに対する意識は薄くなっていった。だが彼らはミュージアムという施設そのものには高い関心を示した。このことから、ミュージアムが市民に対して果たしている・果たしうる役割そのものを考え直すことで、ミュージアムそのものの在り方をもっと柔軟に考えることができるようになるのではないかと思うようになった。ミュージアムが「記憶」を引き継いでいくことに対してどういう役割を果たせるのか、修士論文の執筆を通して引き続き考えていきたい。

留学の動機

2016年に熊本地震で被災し、情報を速く手に入れるためにSNSやニュースを以前よりよく見るようになった。地震が起きて一年もたたないうちに地震の話題は目に見えて減り、「記憶」が社会から忘れられていく恐怖を知った。今回たまたま当事者となったからそのことに気付けたが、自覚がないだけで私も「記憶」を忘れてきた・忘れている一人である。このことから、「記憶」を未来へ繋いでいく方法を知りたいと思うようになった。

成果

調査を通して実にたくさんの人と出会い、話すことでその優しさやそれぞれの考え方に触れ、人間関係や自分の在り方について見つめ直すことができた。また、授業後に街を散策したり、国内外に足を伸ばしたり、オーケストラやオペラを鑑賞したりと、今まで「やりたい!」と思っていたことを思い出し、実際にやることができた。それにより「自分は本来何が好きか」「何をしたいと思っていたのか」知ることができた。

ついた力

踏み出す力

留学する前から、留学するためには何をしたらいいか、それを誰に訊けばよいのかを考え、実際に自分から行動する必要がある。留学した後も、調査のアポイントや授業のシステムについて、旅行や舞台のチケットをとるには、生活について、等々誰かに尋ねるか調べるかしないとどうしようもない。これまでは情報を受動的に受け取る・受け流すことも多かったが、留学を通して自分から能動的に行動することが増えたように思う。

今後の展望

留学中の活動を通して地域それぞれの「記憶」をコミュニティと歴史、観光、芸術を結びつけることで引き継いでいく場を作りたいという夢を持つことができた。それをどう叶えるかの道筋も具体的に思い描けるようになり、実際にそういった活動をしているところから内定を頂くことができた。就職先で働くことで必要なスキルを学び、人脈を作った後、地元に戻って起業したいと考えている。

留学スケジュール

2017年
9月~
2018年
3月

ポーランド(ワルシャワ)

ワルシャワ大学に交換留学生として考古学部に在籍していた。ウィンター・セメスターが始まる二週間前からエラスムス学生用のポーランド語集中講義に参加させてもらった。そこで友人ができ、生活に必要なポーランド語もある程度覚えることができた。そのお陰でセメスターが始まってもポーランド語で行われる授業にも出席し、配布された英語の文献をもとに何を言っているのか断片的にでも理解し、学習を進めることができた。授業の中には口頭試問形式でテストをするものもあった。専門用語・知識を他言語を使って説明し、質問に答えることはかなりハードだったが、先生がとても親切でなんとかクリアすることができた。生活は、大学の学生寮に住み、一人部屋だったのでのびのびと暮らしていた。天気のいい日は大学まで一時間かけてのんびり歩いていき、帰り道に寄り道してカフェに行ったり買い物したりしていた。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

18,000 円

生活費:月額

40,000 円

ワルシャワ大学正門前
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

18,000 円

生活費:月額

40,000 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

 日本語タンデムで出会ったポーランド人の方で、とても親切にしてくださった方がいた。その人はポーランドにやってくる日本人に対して通訳をしている方で、ポーランドにも日本の歴史にも造詣が深く、広い人脈を持っていて、私が調査をするにあたり誰に会えばいいお話が聞けるか、どこのミュージアムがおすすめか、こんなワークショップをやっている等紹介してくれた。調査でも、日常生活でも、何度も助けて頂いた。帰国する際、別れ際に彼女が翻訳した本の一節にある「迷ったときは、心の鈴の鳴る方へ行きなさい」の言葉と共に、スペインの大聖堂で買った鈴をお守りとしてプレゼントしてくれた。彼女のいつも堂々と自分の意見を言う強さ、人の話を聞き、励まし、褒めてくれる優しさ、出会う人皆に勇気を与える彼女の持つエネルギーを私はとても尊敬している。初めて「こんな人になりたい」という人に出会えてよかったと思った。

別れ際にいただいた鈴

留学前後での、自分の変化

ポーランド語学コースのクラスメイト達を通して主にラテン系の友人が増えたのだが、彼らは毎晩飲みに行きたがっていた。日本にいるときから私は友人の頼みを断ることが苦手だったので、最初は付き合っていたが、次第に毎晩長時間続く飲み会に体力がなくなり、それがストレスとなった。断ったら仲間に入れてもらえなくなるのではないかという恐怖が常にあった。ある日その飲み会のメンバーである友人がさらりと飲みをキャンセルしたので、私もそれに倣ってあれこれ言い訳を重ねて飲み会を断るようになった。それを心配してくれたのか、友人たちがどうしたのと個別に声をかけてくれた。そこで勇気を出して、やるべきことが多い中飲み会まで割く体力がないこと、顔を出したいとは思っているが毎日はきついことを伝えた。彼らがあまりにもすんなり納得してくれたので、拍子抜けしてその理由を聞いてみたところ、彼らは「誘いを断る」ということに対しネガティブなイメージをあまり持っていなかった。断るという事実に悪いイメージを持っていないため、邪推することもなくそのイメージを引きずって人格に当てはめるようなこともしなかった。このことから、私は今まで相手の出方を勝手に決めつけて恐れている節があったことに気がついた。それから感情と事実を切り離して考えられるようになり、帰国後も自分の意思を相手にはっきり伝えられるようになった。

友人たちとクラクフに旅行に行ったとき

日本語がほとんど通じないところでどうネットワークを作るか

  • 語学力 : その他の言語

・日本語タンデム(Facebookで「Warsaw Japan Club」で検索・申請してみてください)に参加してみることをおすすめします。現地に住む日本人、日本語が話せるポーランド人とのつながりができます。
・在ポーランド日本国大使館に一度顔を出しておくとアドバイスをもらえます(ワジェンキ公園の近く)。また、日本文化広報センター(Plac Trzy Krzyżyにあります)に行くことをおすすめします。図書室もあり、日本文化を伝えるイベントも度々あり、日本人もよくやってきます。
・ワルシャワ大学には日本語学科があり、日本人留学生のサポートを募集しています。日本語学科の学生は本当に優秀で日本語が上手で、とても親切です。彼らは日本語タンデムにもよく顔を出しているのでそこで繋がりをもつといいと思います。彼らから日本語学科の先生の連絡先をきき、連絡をとり、いつまで留学をするか及び日本語学科の手伝いをしたい旨をお伝えするといいと思います。
・メンター制度に応募することを強くおすすめします。
・事前のポーランド語語学授業(ポロニクム)を受けることをおすすめします。ポーランド語を理解することももちろんですが、同じ留学生の友人ができることも大きいです。(アジア系の人間はあまりいませんが、あんまりどこ出身の人間というのは問題になりません。英語が少しでもできれば友達になれます)

留学前にやっておけばよかったこと

現地語の学習を始めるのは早ければ早いほど良いと思います。日本語が使える環境で学んだことは、現地に行った後に言語学習をするとき大いに役に立ちます。(例えば私の場合、現地の語学授業はポーランド語の文法解説を英語で行うものだったので、英語が理解できないとポーランド語も理解できず、きつい思いをしました。事前に日本で少しポーランド語を学んでいなかったら全くついていけなかったと思います)

留学を勧める・勧めない理由

約半年間一人で過ごし、自分に向き合う時間を得たことで、本来自分はどういう人間か、周りに対して自分はどう思っていたのか、自分は何がしたかったのか等々自分を見つめ直すことができました。留学は自分のための投資となる大切であり、必要な時間だったと思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

現地で自分はやっていけるのかに関しては、「行けば何とかなる」と月並みなことしかお伝え出来ないので心苦しいですが、実際行けば何とかなります。度胸(度胸に自信がなければ英語力)を磨いておけば何とかなります。文法がぐちゃぐちゃでも、言葉に出しさえすれば向こうも汲み取ろうとしてくれます。思ったこと、心配なこと、分からないことは言葉に出して相談しましょう。この習慣は帰国後でも必ず役に立ちます。