留学大図鑑

森本 拓馬

出身・在学高校:
北九州工業高等専門学校
出身・在学校:
千葉大学→東京工業大学大学院
出身・在学学部学科:
工学部情報画像学科→総合理工学研究科物理情報システム専攻
在籍企業・組織:

最終更新日:2018年11月20日

人の視覚系の情報処理メカニズムの解明

留学テーマ・分野:
大学院進学(修士号・博士号取得)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • オックスフォード大学 実験心理学専攻
  • イギリス
  • オックスフォード
留学期間:
48ヶ月
総費用:
22,566,000円 ・ 奨学金あり
  • 二十一世紀文化学術財団奨学金+オックスフォード大学奨学金 14,734,000円
  • (独)日本学生支援機構(JASSO)「海外留学支援制度」 7,832,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<IELTS 7.5> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル<未受験>

留学内容

博士号取得の為、英国オックスフォード大学へ留学をしています。研究室には、教授1名、ポスドク4名、博士課程8名の計13名が所属しています。ヨーロッパ各国から来た多様なメンバーと共に日々研究活動を行っています。

人は視覚を通して多くの情報を取り入れています。そうは言っても私達は目から入ってきた光をそのまま見ているわけではありません。脳内で巧みに処理され、その最終的な処理結果を視覚として知覚しています。私の研究は、視覚系がどのような情報処理メカニズムを用いて視覚世界を作っているのかを明らかにすることを目的としています。

私は元々は高専の出身で、制御工学を専門としていました。その後大学へ編入、大学院へと進学し様々な講義を受けるうち、機械やコンピュータよりも、人間の情報処理システムに興味を持つようになりました。

現在は実験心理学専攻に所属しています。人間の知覚を定量的に捉え、ベイズ推定などの統計的なモデルで実験結果を説明することを目標としています。

近年人工知能分野の発展が目覚ましいですが、依然として多くの日常的な課題を最も柔軟にこなせるのは人間です。このことは、人の持つ情報処理システムがいかに優れているかを示しており、それを可能にしている我々の脳には優れた新たな情報処理方法のヒントが隠されていることが期待されます。

留学の動機

博士課程に進学し研究者になることを考えた時に海外留学を決意しました。研究者の世界で生きていくには国を超えた共同研究が不可欠であり、そのための土台を築くにはキャリアの早い段階で海外での研究経験を積むことが重要であると考えたためです。

オックスフォード大学を選んだのは、視覚科学の分野で活発に研究をされている今の先生がいた為です。

成果

英語力は日常生活の中で、ゆっくりとですが向上していることを感じます。留学当初はネイティブの早い英語を聞き取れず、不安になることもありました。しかし半年も経ったある日、意思疎通にそれほど困らなくなっていることに気づきました。

研究成果に関してですが、こちらもゆっくりとですが着実にあがってきました。四度の学会発表と学術論文二本の出版を終え、現在は学術論文三本を執筆中です。

ついた力

忍耐力

忍耐力と言うと月並みですが、言語の壁や文化の壁、留学中には様々な困難を経験することになります。日本なら何でもないことがうまくいかず、歯痒い思いもしました。
そんな時には「今は我慢の時期だ」と自分に言い聞かせ、自分がやるべきことを黙って日々淡々とやるという姿勢を学びました。良い時も悪い時もただ黙って前に進み続けるというこの忍耐の積み重ねの中に、自己の成長を見た気がします。

今後の展望

まずは、博士課程の修了を目標に研究をさらに深めていきます。その後はポスドクとして海外で数年間研究活動を行い経験を積み、最終的には日本の研究機関への就職を計画しています。
堅実で深みのある研究をし、新しい分野を切り拓いていけるような研究者になることが目標です。

留学スケジュール

2016年
10月~
2020年
9月

イギリス(オックスフォード)

私は博士課程での留学ですので、留学中の多くの時間は研究室の中で過ごしています。朝9時に研究室に行き、19時頃まで研究をやってその後帰宅という生活リズムです。

ただ時には学内で開かれる晩餐会に参加したり、天気の良いときには友人とスポーツをしたりと充実した日々を送れています。オックスフォードにはジョギングに適した場所が多くあり、こちらに来てから趣味の一つになりました。

街は非常にコンパクトで、徒歩で生活をすることが可能です。大学の建物も古いものでは800年前にも遡り、晴れた日には歩いているだけで気品のある街並みを楽しむことが出来ます。

現在はイタリア人の友人とハウスシェアをしています。街から徒歩20分程度の静かな住宅街に位置しています。気さくにいろんな事を話せる友人で、毎日会話をできる友人と住めることは精神的にかなり助けになっています。

費用詳細

学費:納入総額

10,150,000 円

住居費:月額

90,000 円

生活費:月額

80,000 円

オックスフォードの街並み
費用詳細

学費:納入総額

10,150,000 円

住居費:月額

90,000 円

生活費:月額

80,000 円

スペシャルエピソード

留学前後での、自分の変化

留学前後で変化したことの一つに挑戦を恐れなくなったことが挙げられます。
もっと言うと、失敗をすることの捉え方が変わりました。

自分の知らない土地で何か新しいことをやれば失敗もしますし、それによって傷つきもします。
留学開始当初は特にそれの繰り返しで、落ち込みもしました。

ただようやく軌道に乗ってきた今、当時を振り返ってみると、不思議なことに自分の財産になっているのは成功体験ではありません。あのときの失敗があったから少々のことはもう怖くないという感覚です。そのことはより大きな困難に挑む自信になりました。

それ以来、挑戦をすることの意義は明日や明後日の自分に関することでなく、一年後、二年後、もっと先の自分の成長にあるのではないかと考えています。それからは留学中の困難には自ら進んで挑み、失敗を受け入れることを自分に課しています。

振り返ってみれば私にとってはこの留学を実現する事自体が挑戦でした。出願前には本当に様々なことが不安になりました。奨学金を獲得できるのか、英語の点数を期限までに取れるのか、そもそも自分程度では留学など土台無理な話ではなかったのか。もし数ある不安のどれか一つにでも負けてしまっていたら、今ここにある時間は存在しなかったわけです。

今後も壁にぶつかりながら、可能な限り真っ直ぐ進んでいきたいと考えています。

入学式当日 ようやくスタートラインに立った瞬間..

留学資金の調達について

  • 費用 : 奨学金

イギリスの大学に進学することを考えた場合、多くの人にとって留学資金の調達が問題になります。これは大学が海外から来る学生に対し、十分な奨学金を持っていないことに依ります。大学から授業料と生活費の全て、いわゆるfull-scholarshipをもらえる学生もいますが、その数は極端に少なく、多くの学生は日本の財団や他の方法で自主的に調達をしてこなければなりません。

特に博士課程に進学する場合は3年から4年分の授業料と生活費を準備する必要があり、その総額は2000万円にも上ります。

実は私の場合は海外留学の決断が遅く、その時点で応募できる奨学金はほとんどありませんでした。そのことに気づいた時には非常に焦りましたが、結果的に二つの財団に応募することができました。応募した本庄国際奨学財団からは書類審査で不合格通知を受けましたが、幸いにも二十一世紀文化学術財団からは合格通知を頂くことができました。

この奨学金が決まったことで初めの二年間の授業料を支払うことが出来ました。その後オックスフォード大学からも奨学金をいただけることが決まり、これで初めの二年間の生活費を調達することができました。

しかし、残念ながら留学前に調達できた資金はこれだけでした。三年目以降に関しては、大学入学後に新たに奨学金に応募していくしかありませんでした。その後は不安との戦いでしたが、博士課程二年目の始まりに日本学生支援機構から奨学金を頂けることが決まり、これで四年までの授業料と生活費を支払えることが決まりました。

私の経験から言えることは、ありきたりですがとにかく早めの準備です。また準備した書類を周囲に見せ、フィードバックを受けることも重要かと思います。

  • 語学力 : 英語

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学で得られる経験は人それぞれで、だからこそ行く価値のあるものだと思っています。
一つ言えることは、留学は私の人生の中で一番良い決断だったということです。

もし今留学をしたいけれど不安を感じているという人がいたら、是非飛び込んでみて欲しいと思います。その瞬間は怖いかもしれませんし、初めは様々な困難にぶつかるかもしれません。ただ努力次第で必ず道が拓けてくると自分の経験から信じています。