留学大図鑑 留学大図鑑

りょーと

出身・在学高校:
千葉県立千葉東高校
出身・在学校:
千葉大学大学院
出身・在学学部学科:
工学研究科建築・都市科学専攻
在籍企業・組織:

お話しできるもの
#東南アジアに留学することの”メリット” -なぜ東南アジアを選んだのか?東南アジアの留学経験の活かし方-
#イスラム教国家,多民族国家での留学生活 -日本とは全く異なる環境で得られるもの,また苦悩するもの-
#理系大学院生の留学とは? -大学院で1年間の留学は可能であるのか?-
#英語以外の言語習得方法とその活用 -ローカルでうまく生活するには?-


最終更新日:2017年10月23日 初回執筆日:2017年10月23日

マレーシア最高学府で土木の日本代表になる

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • University of Malaya, Faculty of Engineering
  • マレーシア
  • クアラルンプール
留学期間:
12か月
総費用:
1,000,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,780,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 挨拶など基本的な会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

マレーシアの最高学府マラヤ大学にて,「工業や生産プロセスにおけるリスクと安全性の評価」を修士課程の講義で学び,現地学生とグループワークや課題発表を行うことで日本人エンジニアとして海外でプロジェクトを行う際に必要な知識を獲得し,英語で議論する力を磨いた.また,専門にとどまらずイスラム法やマレー,中国,アラビア語といったマレーシアにおいて日常的に使用されている言語や宗教を履修することで,多様な文化やその背景にある様々な諸問題を学び,留学生や現地学生と意見を交わす中で「多様性を認め,日本のつながりと自分自身の意見を考え発言する」習慣が身についた.
インターンシップでは,マレーシアに支店を置く日系スーパーゼネコンで入札案件の資料作成補助や現場見学を通じて,海外の最前線で建設プロジェクトを遂行させる日本人エンジニアの働き方やコミュニケーション能力を肌で感じ,日本企業が海外で信頼を勝ち取り成長していく環境を体感した.また,インターン先のエンジニアの方の勧めで建築・土木の知識獲得に力を入れ,エンジニアとして最高峰の資格である「技術士」になるため,日々建築・土木の専門知識をインターンシップ業務が終了した後も勉強し続けた.

留学の動機

大学3年生の時に東南アジアに2週間バックパックをした.新興国の経済発展を肌で感じ日本にはない活き活きと生活する人と交流する楽しさの裏で,貧困に苦しむ子供とふれあうことがあった.脆弱なインフラが原因で教育やビジネスが十分に発展していない地域に住む人々に,日本の持つ技術を持ち込み共に成長していきたいと強く思い東南アジア圏への留学を決断した.

成果

専門分野の講義では,日本人が自分ただ一人かつ高度な英語が使用される中,現地学生より予習や復習に多くの時間を費やし積極的に発言することで単位修得することができた.
中国語の講義では全履修生の中で優秀な成績を修めたとして,担当講師のアシスタントとして講義の補助を行った.
インターンシップで得た経験と専門知識から,帰国後に技術士補(建設分門)の試験に合格しさらに夢の実現へ一歩近づくことができた.

ついた力

自分の意見を持ちつつ多様性を認める力

宗教や民族,言語が違う中で相手の意見を素直に受け入れることは難しいが,自ら相手のバックグラウンドに関心を示し,なぜそのような考えや行動をするのかという原点を常に探る力.例えばマレーシアにおけるムスリムの日常作法に対してコーランやイスラム教の宗派などの知識を持つことで,日本人が考えつかない行動を相手がとったとしても,冷静に考え相手を尊重した行動をとることができ,対立や激しい議論を避けることができる.

今後の展望

マレーシアの留学を通して,英語によるコミュニケーションの他に,イスラム教をはじめとする宗教や多様な文化に触れたことで,日本人エンジニアとして先頭に立ち多国籍のパートナーと親密な関係を築き上げていく方法をなんとなく体得できたと思う.「建築・土木の専門知識」と「人間関係を円滑にする能力」を発揮して,世界中に残るインフラ未整備地帯を改善し,人類にとって有益になるプロジェクトを遂行したい.

留学スケジュール

2016年
9月~
2017年
6月

マレーシア(クアラルンプール)

マラヤ大学に正規交換留学生として在籍し,2セメスターにわたって専門から宗教,言語など幅広い講義を履修.当初は大学内の学生寮(2人1部屋)で生活していたが,環境が合わず学外のコンドミニアムに留学生5名でルームシェア.講義のほかに,国際交流会や留学生用のパーティーなどのイベントも多く,課外でも多国籍の友達ができた.

費用詳細

学費:納入総額

540,000 円

住居費:月額

160,000 円

生活費:月額

200,000 円

項目:旅費

200,000 円

「イスラムビジネス」という講義にて,ムスリムの学生との一枚
「日本発信プロジェクト」にて,浴衣の着付けを実施
交換留学生のパーティ,マレーシアの民族衣装で出席
費用詳細

学費:納入総額

540,000 円

住居費:月額

160,000 円

生活費:月額

200,000 円

項目:旅費

200,000 円

2017年
6月~
2017年
8月

マレーシア(クアラルンプール)

清水建設マレーシア営業所でインターン生として建設現場やトンネル工事の見学をしたり,建築・土木の基礎知識を修得しようとスタッフの方とコミュニケーションを密に取りながら日々勉強を続けた.ルームメイトがインターン中に帰国してしまったので,インターンシップ先の社員寮に1人で滞在.

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

1,000,000 円

トンネル工事の掘削機,インターン先の現場見学
建設中の工場建屋,建設技術をインターンシップ先で修得
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

1,000,000 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

ルームシェアをしていたコンドミニアムが,マレー系の住民が住むマンションと隣接しているため,イスラム教のお祈りを知らせる「アザーン」という歌のような放送が1日5回大音量で流れていたこと.入居当初,早朝,まだ太陽が昇る前にアザーンの爆音が流れ始めるので,なぜかイスラム教徒でない自分たちまでも一緒に起きるという珍光景が見られた.また,「アザーン」は肉声で流れる為,毎回歌う人が異なり「今日はオペラ調だな」や「最近歌わなくなった人がいるけど大丈夫かな?」とアザーンが生活の中に浸透していき欠かせないものとなった.最初はうるさすぎて窓を閉め切ることもあったが,いつしか早朝のアザーンが癖になりルームメイトと真似したり,なんて言っているのか考えてみたり帰国することには親しみのある歌になっていた.

アザーンの爆音が聞こえるマレー系の住居

笑いあり、涙あり!留学中にあった、すごいエピソード

マレーシアに来て1か月経った頃,40度近い高熱を出し体調を崩して1週間入院することになった.点滴につながれてベッドでひたすら安静にしなければならなかったのだが,唯一の楽しみは「病院食」だった.腹痛が激しかったので,はじめは病院食にあまり手が付けられなかったが,日々メニューが変わり日本で入院した時の病院食と比べても遜色ない美味しさとだったので,何もすることがない入院生活でも楽しみの時間だった.この病院食であるが,なんとマレーシアの入院生活では驚いたことに病院食は1日3回ではなく,「4回」出てきた.朝食・昼食・夕食に加えて「Afternoon tea」というものが病院食として存在していた!おそらくこれはマレーシアが過去に英国の植民地であったことに由来するのではと考えたが,病院食まで英国スタイルなのかと...「Aftrenoon tea」は昼食を食べてお腹いっぱいのタイミングで次の食事がすぐ持ってこられるので,退院するころには一回り大きくなっていた気がした.

入院初日の点滴と病院食

【時短】言語習得の繰り返し効果

  • 語学力 : 英語

学内の交換留学選考において,一定の語学レベルが必要(TOEFL ibt 61 or IELTS 5.0 以上)であったが,卒業論文やバイトでなかなか英語を勉強する時間が取れなかった.解決方法として,1つの問題集(IELTS)に絞り何周も解きまくることで問題集にある文法問題のパターンや言い回しを記憶した.
試験対策となると複数の問題集に手を出しがちであるが,1つの問題集を徹底的にやりこむことで反射的に英語をアウトプットする力を養うことができたと思う.解答する時間もやる度に短縮できるので語学学習の習慣がない人やまとまった勉強時間が取れないときに有効であると考える.
留学中もあらゆる言語に対して赤ちゃんのように覚えた単語や言い回しを即座にオウム返ししてみるとすんなり頭に入る気がした.

これから留学へ行く人へのメッセージ

学部時代に講義やバイトで留学する時間がないとあきらめていたが,どうしても学生時代に留学がしたいと思い大学院生で留学.帰国後も半年間休学をすることになり同期より1年遅れて卒業.けれど,将来の進路をより明確にし人間として成長できたマレーシア留学の1年間は人生において1番輝いていた.留学することに迷ったり,留学しなくて後悔しそうなら一歩踏み出すしかない!それが自分の本当の意志であり答えだから!