【長野県】「信州つばさプロジェクト」拡充
20年度に5コース、高校生が企画する留学プラン導入も

 長野県が独自の高校生留学支援プログラム「信州つばさプロジェクト」を拡充している。県が推奨する短期留学中心の「県企画プログラム」と、高校生が自分で留学プランを企画・提案できて長期留学も可能な「個人プログラム」の2つを用意。2020年度からは県企画プログラムに「STEAMコース」も設け、22年度に計340人の高校生を海外に留学・派遣する計画だ。

 信州つばさプロジェクトは長野県教育委員会が中心となり、高校生の海外留学を促すために18年度にスタート。18年度は国連の提唱するSDGs(Sustainable Development Goals=「持続可能な開発目標」の略)について学ぶ「SDGsスタディツアーin台湾」(22人派遣)を、長野県と交流の深い台湾へ1週間派遣した。
 19年度は「SDGs探求コースⅠ」(台湾)に加えて、「SDGs探求コースⅡ」(カンボジア、20年3月の派遣予定、15人)、「芸術コース」(オーストリア、19年12月、15人)、「グローバルインターンシップコース」(マレーシア、20年2月15人)を計画している。予算は19年度に開始した「クラウドファンディング型ふるさと信州寄付金」を財源とし、長野県内外の個人や企業にクラウドファンディングへの応募を働きかけている。

 20年度には「STEAMコース」を設ける計画。「STEAM」とはScience(科学)、Technology(テクノロジー)、Engineering(技術)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字で,こうした分野に特化した海外学習を希望する高校生を留学派遣するという。

 さらに、留学経験のあり社会問題の解決などに興味のある高校生が中心となって留学プランを策定する「ウイングシェア(WS)コース」も将来的には検討する。18〜19年度は県主催の留学フェアや体験報告会などを実施した。

 一方、企業による寄附を財源とする個人プログラムでは、「長期留学コース」(3カ月〜1年未満)、「短期留学コース」(7日以上〜3カ月未満)を設けた。19年度から派遣を始める予定という。短期留学では、スキーやジャンプ等の冬季スポーツに強い長野県の土地柄を生かし、各種大会で活躍している将来有望な高校生を海外の大会などに派遣し、国際的な視野を培ってもらう狙いもある。

 19年12月に予定している「芸術コース」では、才能ある県内の高校生15人をオーストリアの首都ウィーンに送り込む。海外で一流の音楽に触れてもらいながら、個別レッスンなども受けられたり、国立歌劇場などでオペラやコンサートのリハーサルを見学できたりする。現地の音楽学校の学生とも交流するほか、長野県の高校生らによるミニコンサートも予定しているという。

 長野県は生徒・児童らの学びを、仲間たちとともに主体的かつ能動的に解を導き出す「学び」に転換しようと、教育委員会に18年度から「学びの改革支援課」を設けた。長野県教育委の原山隆一教育長は「地域に根ざしながらもグローバルな視点・視座でものごとをとらえ、主体的に新しい何かを生んでいける子どもたちを育てたい」と、県企画の留学支援制度を拡充している。

 長野県は18年6月、SDGs達成に向けて優れた取組を提案する「SDGs未来都市」に選定された。国内の28自治体とともに全国で初めて選ばれた格好でそのSDGsの達成を目指すため、県の総合5カ年計画「しあわせ信州創造プラン2.0」の行動計画を策定。その中の「誰もが学べる環境づくり」の施策の一環として、信州つばさプロジェクトも信州創造プラン2.0に組み込まれた。

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