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丸山 亮太

出身・在学高校:
成城学園高等学校
出身・在学校:
群馬大学大学院
出身・在学学部学科:
理工学府理工学専攻
在籍企業・組織:

アメリカの大学で研究留学を目指している人は、相談に乗れると思います。お気軽にFacebookへメッセージを送ってください!また、アメリカでの生活に関する質問にもお答えできます。車の購入をしようとしている人もぜひご相談ください。


最終更新日:2017年10月23日 初回執筆日:2017年10月23日

生物を模倣したものづくりを勉強したい!

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ジョージア工科大学 材料工学科
  • アメリカ合衆国
  • ジョージア州アトランタ
留学期間:
12ヶ月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,920,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル<TOEIC550点、TOEFL 44点、IELTS 5.0> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

世界よりも遅れをとっている生物の模倣によるものづくりを日本に広げるべく、生物の構造を模倣した材料研究を行っているジョージア工科大学の研究室で研究活動を行うことが1つ目の目的でした。また、私自身の国際学会における英語を使ったコミュニケーションが円滑に図れなかったという失敗をもとに、英語による物怖じしないコミュニケーション能力を身につけることが2つ目の目的でした。留学中は、研究室のスタッフや学生と英語で議論しながら、構造を模倣したい生物を探索し、顕微鏡を用いて構造を明らかにし、その構造を模倣した材料を探索しました。また、英語による物怖じしないコミュニケーション能力を身につけるために、ジョージア工科大学の語学学校で行われている英語のクラスに参加しました。さらに、現地の日本文化に興味のある学生が集まるコミュニティーに参加し、日本文化の共有を通じて交友を深めました。こう言ったことを続けた結果、積極的に英語で発言することに自身がつき、セミナーや学会で発表することができました。また、この留学を通じ、アメリカにいる様々な文化や歴史をバックグラウンドに持つ人達と交流していくにつれ、研究成果や語学力の向上だけではなく、その土台にある人付き合いの重要性に気づき、適切な距離間をもって交流していくことが大切なのだなと痛感しました。

留学の動機

生物模倣(バイオミメティクス)という考え方は古くから存在し、これを使った材料開発は、分析装置の進化により、さらに細かく生物の構造を調べることができ、近年研究が進んでいます。しかし、日本は有数のものづくり大国であるのにも関わらず、世界よりも遅れをとっているのが現状です。そこで私は、生物の構造の模倣の研究を行っているGeorgia Techで研究をしたいと思い、留学を決めました。

成果

生物模倣を用いた材料研究において、特に重要である光学顕微鏡による分析に関する専門知識や、解析方法を体得することができました。また、毎週行われるセミナーに参加し、最新の研究報告に触れ、新たなアイディアを生み出す土台を作ることができました。さらに、セミナーや学会に参加することにより、自身が言いたいことを、英語を用いて説明することができるようになりました。

ついた力

間合いを把握する力

この留学では、自分が当たり前だと思っていたことが全く通じないことにでくわし、文化だけではなく、政治に対する考え方から普段の生活の仕方まで様々な価値観を持つ人がいることに気づかされました。そんな人達と付き合っているうちに、それぞれ適切な距離を置くことが大事なのだと気づかされました。適切な距離間を見極められると、自分と他者の間に近い人と遠い人が存在し、円滑な交流ができると思います。

今後の展望

昨今はIoT、機械学習の発展により、機械に任せられるコトが増えてきました。単純作業はもちろん、繰り返し学習させ最適解を導くようなことも、機械にはできます。生物模倣の分野にもそれらが適用できると思いますが、これは生物模倣の分野に限りません。私はこの留学を経て培った経験と、発展していく技術を組み合わせて何か新しいものを生み出したいです。そして、そのためにも人付き合いを大事にしていきたいです。

留学スケジュール

2016年
8月~
2017年
8月

アメリカ合衆国(ジョージア州アトランタ)

ジョージア工科大学の研究室で、ポスドクやPh.Dコースの学生と共に、生物模倣に関する材料研究をし、セミナーや学会で発表をしました。また、大学の語学学校で行われている、客員研究員向けの英語のクラスに参加しました。これらは、研究テーマに関する技術や知識、英語力を高めるだけではなく、彼らと休日を過ごすことを通じ、人付き合いの重要さを体得しました。さらに、日本文化に興味のある学生が集まるコミュニティーに参加し、日本語を教えたり、恵方巻き作りや流しそうめんの披露の協力をしました。私は、大学の近くにアパートを借り一人暮らしをしていました。また、移動手段はUberやメトロだけではなく、車を個人売買により手に入れ、ジョージア州外までドライブしました(ちなみに10ヶ月で合計31800kmドライブしました。)。さらに、友達とアメリカ国内旅行もしました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

157,000 円

生活費:月額

30,000 円

客員研究員が参加する英語のクラスにてスピーチをする私
1300kmドライブして、アメリカ本土最南端のキーウェストへ
目を見張るほど美しいアンテロープキャニオン
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

157,000 円

生活費:月額

30,000 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

研究活動を進めていく上で、研究の進捗状況を報告し、意見をもらいたいなぁと思い、アポイントメントを取ろうとした時のことです。まず、教授にアポイントを取ろうとしてもなかなか相手にしてもらえません。例えば、ある日の午前中に教授に「今日の午後、ディスカッションをしたいのですけどいいですか」と尋ねれば、「いいよ」と言ってくれるものの、その日の午後に教授は現れず、教授の居室にも教授がいない、ということは毎回でした。日本では、どんなに忙しくとも研究室の教授とディスカッションをする機会があった自分にとって、初めての経験でした。このままでは埒が明かないので、研究室のポスドクに随時相談し、研究を進める方針に切り替えようと思いました。しかし、ポスドクは自分がいる学生の居室ではなく、常に実験室にいました。そこで、まず自分の作業スペースを居室から実験室に移し、ポスドクと接する機会を作りました。次に、ポスドクと仲良くなるために、休日にポスドクの趣味であったテニスや習字をして交流を深めました。その結果、ポスドクとディスカッションの場を作ることだけではなく、ポスドクから新しい研究テーマを与えられ、実験を任せられ、新たな技術を体得することができました。このように、自分から動かないと何も始まらないことを知ると共に、どうやって人と人との間合いを把握するかを経験しました。

ポスドクの自宅で習字をする私

私のビザ取得まで

  • 事前準備 : 渡航手配(VISA、保険、持ち物など)

周りにビザの取得の方法を聞くことができる人がおらず、とても苦労をしたので、簡単ですがここで紹介したいと思います。まず自身の研究テーマとこれまでの研究活動の履歴、業績といったことを書いたCV、そして教授の研究の何に興味を持ったかをメールに書き、行きたい研究室の教授へ送りました。すると、その教授が所属する学科の事務員から返信をいただき、私が客員研究員としてJ-1 ビザを取得するのが適切だということ、そしてビザ取得にはDS-2019という書類が必要であり、その具体的な申請方法が記されておりました。申請にはいくつか証明が必要であり、主に留学期間中生活できるお金があることの証明(奨学金やグラントの情報や、銀行口座の残高が書かれた書類)と、TOEFLやIELTSといった英語テストの規定スコアの証明でした(これらは大学のホームページにも記載されていました)。私はTOEICのような「読む」、「聞く」の試験は経験があるものの、TOEFLやIELTSにあるような「話す」、「書く」の試験経験はありませんでした。「書く」に関しては、学術論文執筆の経験もあり試験対策本で十分でした。「話す」は、語学学校に通う時間とお金もありませんでしたので、スカイプ英会話を使いました。その結果、規定のスコアを獲得し、DS-2019を取得できました。その後は、アメリカ大使館のホームページや動画を何度も閲覧し(「のりこ留学物語」にはお世話になりました!)、ビザを取得できました。
アメリカの大学へ研究留学を考えている人は、留学に必要な条件を揃えるために、大学のホームページを熟読することと、わからないことをその大学の職員に英文メールで質疑することが必要です。私の場合、英文メールに自信はありませんでしたので、研究室の教授に随時メールを添削していただきました。英文メールの添削をしてくださる方が身近にいると良いと思います。

留学前にやっておけばよかったこと

住む場所の確保です。留学先に、住む場所を一緒に探す人がいればいいですが、私の場合は、周りの学生や職員は皆忙しく、時間を割いてくれませんでした。しかし、ホテル暮らしと外食が続けば、お金は底をついてしまいます。その恐怖を減らすためにも、事前にある程度下調べすること、わからなければメールで向こうの人に聞くこと、または分かる人を紹介してもらうことが必要だと思います。

留学を勧める・勧めない理由

何の目標もなくただ海外に行きたい人に、留学を勧められません。きっと流されるまま生活するだけだからです。また、日本で十分だと考える人に無理に海外留学を勧めません。しかし、日本で生活してて何か足りない、何か挑戦したい、海外で何かをやりたい、何かを知りたい、何か獲得したいという思いが少しでもある人に留学を勧めたいです。他の人を納得させられるくらいその思いを具体化し、ぜひ留学してほしいです!

これから留学へ行く人へのメッセージ

海外では日本の常識が通じません。私も日本と同じような人付き合いを図ろうとしたところ、うまくいかず、失敗もしました。そういう時、現地の日本人がいれば相談してください。目標達成に向け躍起になると、海外の人との付き合いを優先し、日本人を避けようとします。しかし、同じように苦労している現地の日本人と付き合うことは、日本で日本人と付き合うことと違います。世話になれる人には何でもお願いしサバイブしてください。