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MIKIYOSHI

出身・在学高校:
茨城県立竹園高等学校
出身・在学校:
筑波大学
出身・在学学部学科:
人間総合科学研究科教育学専攻
在籍企業・組織:


最終更新日:2019年11月15日 初回執筆日:2019年11月15日

デンマークの若者支援制度に関する研究留学

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • カル―ホイスコーレ, オーフス大学教育とグローバリゼーションに関する文化人類学専攻(修士課程)
  • デンマーク
  • カル―・コペンハーゲン
留学期間:
10か月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 2,100,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
デンマーク語 挨拶など基本的な会話ができるレベル 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル

留学内容

デンマークにおける若者の学校から仕事への移行を支える制度について研究するため、①ホイスコーレにおいて研究活動で必要となるデンマーク語・英語の習得、②大学に所属し、研究手法についての理論(文化人類学、フィールドワークの手法)を学びながら、キャリアガイダンスを実施する専門機関”UUセンター”及び学校中退者の受け皿として機能するオルタナティブな学びの場”生産学校”での参与観察、スタッフへのインタビュー調査、の二つの計画を立て留学を実行しました。①では、デンマーク独自の寄宿生成人教育機関であるホイスコーレでデンマーク人を含めた多様な人々と寝食を共にしながら言語・文化についてディープに、体験的に学ぶことができ、研究に必要となる文献が読めるまで、日常生活で簡単なコミュニケーションがとれるようになるまでデンマーク語が上達しました。また、②では、文化人類学の理論やフィールドワークの手法について大学の講義で学ぶと同時にその理論を生かして関係機関への調査を行い、学校中退者やニート等の若者に対する支援制度について文献の情報を超えて深く学ぶことができました。

留学の動機

日本では不登校や高校中退者、ひきこもり等の若者に対する支援制度について研究していたため、特に充実した若者支援制度を有するデンマークに興味を持ちました。研究を進めるなかで、若者のギャップイヤー取得に対する好意的な風潮やそのための成人教育機関フォルケホイスコーレの伝統、教育制度における任意の猶予期間など、デンマークの「ゆったりした教育文化」に強く惹かれていき、体感するために留学に踏み切りました。

成果

何よりも、研究が大きく前進したことです。デンマーク語の習得によって現地の文献が読めるようになった他、参与観察やスタッフへのインタビュー調査を通して、若者支援制度の最新の動向について情報を得ることができました。加えて、フォルケホイスコーレ在籍中の生徒との交流やライフヒストリーについての聞き取りを通して、若者のギャップイヤーに対する意識についても、自分の体験も含めて知見を得ることができました。

ついた力

人間関係のバランス力

基本的に一人が好きで、個人作業が得意であり、留学先のデンマークで新しく人間関係を作り上げることに漠然とした不安がありました。しかしながら、最初のフォルケホイスコーレは寄宿生の学校であり、国籍も年齢もバラバラな人たちが集まり、文化や価値観が大きく異なる中で密に人と関わらざるを得ない状況にあったため、いい意味で人間関係にもまれる中で、自分が意外と協働作業が得意であることに気づくことができました。

今後の展望

今後は博士課程に進学し、本留学で習得したデンマーク語及び文化人類学の研究手法についてより知見を深め、若者支援制度について日本とデンマーク、並びに類似した特徴を持つとされるその他の北欧諸国についての国際比較による研究を行っていきたいです。

留学スケジュール

2018年
8月~
2018年
12月

デンマーク(カル―)

デンマークにおいて寄宿制の伝統的な成人教育機関として存在する「フォルケホイスコーレ」のうち、特にデンマーク語・文化の習得に特化した「カル―ホイスコーレ」において、①デンマーク語・文化の学習、②デンマークの若者のギャップイヤーに対する意識についての聞き取りを行いました。①は授業を通して体系的に学ぶと同時に、寄宿生活の中で生徒であるデンマーク人達と密接に関わる中で、日常会話の言い回しやブラックジョークの文化、デンマーク人の考え方を体感的に学ぶことができました。また、②に関しては、日常会話やインタビュー調査を通して、デンマーク人及び日本人の若者のギャップイヤー、フォルケホイスコーレ、将来についての意識を聞くことができました。学校生活全体を通して、特にデンマーク語の上達が何よりも大きな成果です。加えて、デンマークと日本を比較する機会が多々あり、自己の日本人らしさについての理解がより深まりました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

通っていたカル―ホイスコーレの校舎です。
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2019年
2月~
2019年
6月

デンマーク(コペンハーゲン)

オーフス大学(旧デンマーク国立教育大学)(DPU)教育とグローバリゼーションに関する文化人類学専攻に1セメスター在籍し、①講義を通した文化人類学の理論及にフィールドワークの手法の学習、並びにその理論を応用する形で、②トビタテの実践活動として、研究対象である若者支援機関「UUセンター」「生産学校」への参与観察及びスタッフへのインタビュー調査を行いました。①の講義内で文化人類学の理論を踏まえながらフィールドワークについて計画を立てた後、②に関して、キャリアガイダンスに関する現地研究者から個人的に指導を受けながら、複数の研究対象機関を選定していき、実践活動にたどり着きました。調査を通して、文献研究だけではわからない、個々のキャリアカウンセラーの具体的な支援方法や支援の難しさ・課題等、詳細を明らかにすることができた他、制度の最新の改革動向についても知ることができました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

調査先として訪問したコーソア生産学校の教室
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

言語の習得を目指して入学したカル―ホイスコーレは、デンマーク語の習得を目指して様々な国から生徒が集まっており、デンマークのみならず多様な国の文化に触れました(ドイツ、エクアドル、エルトリア等々)。寄宿制の学校なので生徒間の距離は近く、体験学習や協働学習を多く取り入れた授業の中で彼・彼女らとデンマーク語でやり取りに悪戦苦闘する中で、文化の違いに戸惑うこともありましたが、徐々に打ち解けていくことができました。また、言語・文化に加えてデンマーク人向けにアウトドアコースも設けられており、高校生からおじいちゃん・おばあちゃんまで、多様な年齢段階のデンマーク人と出会えたことも、デンマーク人の意識や文化を深く知る上で大きな学びとなりました。授業のみならず生活を通してデンマーク語を学んだことで、学校も終盤に差し掛かる頃には、デンマーク語で簡単なプレゼンテーションができるぐらいに上達したことに感動しました。デンマーク人との密な生活や豊富な体験を通してディープにデンマーク語・デンマーク文化を学ぶことができたことは、このホイスコーレでしか得ることができない貴重な体験でした。この学校がある意味、デンマークの「ホーム」となり、次の留学期間である大学に移り、自分のついていけなさに挫折しそうになったときの心のよりどころとなりました。

放課後にみんなでアクティビティをよくやりました。

希望コースと受入可能なコースの相違

  • 留学先探し : 大学院

留学中の大きな課題として、当初の留学計画の変更がありました。私が希望する大学院は日本で在籍している大学との提携がなかったため、”free mover”の枠を活用して自分で大学にアポイントメントを取り、願書を提出する必要がありました。私の場合は日本でお世話になっている指導教官を経由して指導を頂きたい教授にコンタクトを取り、その先生から留学生担当の職員の方を紹介いただく形でアポイントメントを取りました。職員の方とやり取りをする中で、私が留学計画を立てた時点で希望していたキャリアガイダンスに関するコースはデンマーク語のみの開講であり、当時の言語レベルでは受講が難しいとのアドバイスを受け、英語で開設されている教育と発展に関する文化人類学のコースを紹介され、そこが2つ目の留学先として決定しました。そのため、若者の支援制度についての研究、という留学目的を達成するために、キャリアガイダンスのコースに所属する教授から直接ご指導いただき、関係機関での調査を行うことができました。ホームページから得られる情報は限られているため、近場で実際に繋がる人脈を探してみる、また、早めに留学生担当の職員の方に直接連絡し、自分の希望や状況をできるだけ詳しく説明することが、留学計画の遂行において重要だと思います。

留学前にやっておけばよかったこと

研究を首尾よく進めるためにも、下調べをもっと入念にやっておけばよかったと思います。特に、帰国後半年で修士論文を書き上げることになるので、留学先での内容と修士論文のテーマが直接結びつかない場合、とてもタイムスケジュールが厳しいものになると思います。日本で手に入る先行研究は読みつくしていくべきだったと強く後悔しました。

これから留学へ行く人へのメッセージ

準備や生活の中で思うようにいかないことは多々ありましたが、振り返ってみて行かなければよかったと思うことは絶対にないと思います。研究分野でも趣味でもいいので何か一つでも自分の芯やよりどころとなるものを持って、楽しんできてください!