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すずか

出身・在学高校:
静岡県立 藤枝東高等学校
出身・在学校:
北海道大学大学院
出身・在学学部学科:
農学院
在籍企業・組織:


最終更新日:2019年05月15日 初回執筆日:2019年05月15日

バイオテクノロジー先進国で研究修行

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • デンマーク工科大学生物工学専攻酵素・タンパク質化学部門,クリスチャンハンセン社生産研究部門
  • デンマーク
  • リングビュー・ハアスホルム
留学期間:
9ヶ月
総費用:
2,000,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,620,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 挨拶など基本的な会話ができるレベル 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル<TOEIC 865点>

留学内容

バイオ研究先進国のデンマークへ行き、学術機関(大学)と産業機関(企業)で研究技術を身につけるとともに、日本よりもアカデミックと産業界の距離が近い地域で、私のような修士の学生はどのように扱われているのかを体験しに行きました。私はもともと大学で酵素を中心としたバイオ研究を学んでおり、より広く高度な技術と経験を身につけたいと考えていました。そこで、「メディコンバレー」というバイオ研究の学術・産業機関の集積地帯のあるデンマークで学ぶことにしました。また、世界で最も幸福度の高い地域だと言われる北欧の地域は、高度に成熟した先進国でもあります。この地域はいずれ日本が到達するかもしれない姿であり、ある程度参考にしていかなければならない仕組みを持っています。参考にしなければならない仕組みの中に、大学と企業の深い繋がりや、学生が大学に在籍している間に社会経験を積み、研究者としての自覚と自信を持つことができる仕組み(インターンシップ)があります。この仕組みが実際にどう機能しているか、国民にどう受け入れられているのかを体験することも私の留学のテーマでした。実際に大学と企業の両方で研究をしたことで、デンマークには国全体が理系研究の重要性を認め、若者を育てようという意志が感じられました。この雰囲気や制度は今の日本に最も必要なことであると思います。

留学の動機

日本の大学で学んでいたバイオ研究のより高度な知識や経験を得たいと思ったことと、学生が産業界に出ていく際に、自分のこれまでの専攻を全く無駄にして、入社後にゼロから学びなおすというパターンが少なくない現状に疑問を感じ、学術機関と産業機関の間の壁が低い国ではどのような制度が実施されているのか体験したいと思ったことが動機です。

成果

デンマークの大学では、日本に比べて指導者の立場にある人の人数が圧倒的に多く、修士以下の学生1人1人との議論の時間が十分に確保されていることに気づきました。また、企業でのインターンシップが必須単位とされている大学が多いので、学生は在学中に常に社会を意識していました。日本の限られた理系教育の予算を無駄にしないためにも、このように学生が自らの専攻を活かした職につけるような仕組みが必要だと感じました。

ついた力

自分の考えを主張する力

デンマークでは大学でも企業でも上下関係が日本よりも緩やかで、誰でも自分の意見を自由に言い、上の立場にある人でもそれを敬意を持ち、真剣に聞いて議論することが当たり前です。日本にいたときは、目上の人を前にすると「ミスを犯してはいけない」と感じ委縮してしまうこともありましたが、デンマークで生活し、しっかり主張をすることの重要さを学びました。

今後の展望

留学を経て、研究者としての自信を身につけることができたのでバイオ研究を行う研究者として産業界で働きたいと考えています。

留学スケジュール

2018年
4月~
2018年
9月

デンマーク(リングビュー)

デンマーク工科大学研究室で短期の修士の学生として酵素に関する研究を行いました。同研究室のポスドクの研究員が実験指導をして下さり、微生物を培養したり、その微生物から酵素を回収したり、その酵素の性質を調べる実験の技術的な面をサポートしてもらいました。2週間に1回ほどのペースで教授、助教、ポスドクの方、私の4人でミーティングを行い、これまでの結果の報告と、これからの研究プランを立てて進めていきました。研究室には日本の大学よりも博士以上の方が多く、その方たちが個別に修士以下の学生の指導をしてくれるので、学生1人1人にかける教育の質や時間が多かったように感じました。結果について私自身がどう思うかも毎回アウトプットすることを求められ、それについて目上の方と平等な立場でディスカッションできる雰囲気がありました。これによって研究者としての自覚と自信を得、研究に対する論理的思考力が付き、意欲も上がりました。

費用詳細

学費:納入総額

200,000 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

50,000 円

研究室のメンバーとクリスマスHygge!
デンマークには結構日本食のレストランがあります。
私の研究室には週に1回ケーキタイムがありました。
費用詳細

学費:納入総額

200,000 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

50,000 円

2018年
10月~
2018年
12月

デンマーク(ハアスホルム)

Chr. Hansen A/Sという企業で、乳酸菌の培養条件の検討とアップスケールに関する研究業務を行うインターンシップをしました。日本よりも学術機関(大学等)と産業機関(メーカー企業)の繋がりが深く、企業の中に頻繁に学生がいます。そのため、かなり学生に対する指導が充実していました。私は食品部門に受け入れていただきましたが、実験をするにあたって他の部門の社員の方にも指導をしてもらったり、勉強を教えてもらったりしました。日本よりも上下関係が緩く、自由に主張したりお願いをしたりすることができました。ランチタイムには、社員食堂(無料)で他の社員さん達とおしゃべりをしながら過ごしました。時期ごとにメニューが変化し、クリスマスのデザートである甘いミルク粥や伝統的なおやつの「エイブルスキーバ」も食べることができました。フレックスタイム制なので、全員自由に出勤し、自由に帰っていくのが新鮮でした。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

50,000 円

項目:バスの定期

30,000 円

上司の皆さんです。陽気で優しくていい人ばかりです。
クリスマスに登場するミルク粥です。ジャムをかけて食べます。
こちらは「エイブルスキーバ」です。
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

50,000 円

項目:バスの定期

30,000 円

スペシャルエピソード

この国のことが、とても好きになった瞬間

デンマークには「Hygge(ヒュッゲ)」という習慣があります。Hyggeは、心地よくリラックスした時間を親しい人たちと過ごすことです。私のお世話になった大学では週に1回手作りのケーキを囲むHyggeがありました。毎週当番の人が代わる代わる自作のケーキを持ってきて、それをみんなで食べながらおしゃべりをします。まず驚いたのは、男の人でもお菓子作りを得意とする人が多かったことです。デンマークを含む北欧の国は、男女平等の意識がかなり広まっており(寧ろ女性がとても強いです)、家庭的な男性が多いです。背も高く、筋骨隆々な男性が甘くて可愛らしいケーキを作って持ってきていることがなんだかあたたかく、いい国だなぁと思いました。また、普段から上下関係のゆるいデンマークですが、Hyggeの際は特にそれが顕著で、教授も学生も関係なく冗談を飛ばしたりプライベートなことについて話したりしていました。このように普段から親密な人間関係を築くことで研究も円滑に進めることができるのかもしれません。デンマークの人たちの、男女も身分も関係なく相手を一人の人間として尊重する姿勢に感動し、好きになりました。

デンマークの人はとてもおしゃべり好きな人が多いです。

Facebookでお部屋探し

  • 住まい探し : シェアハウス

デンマークは物価が高く、お家賃も高いです。特に、首都のコペンハーゲン市内だとベッドと机しか入らないような小さなお部屋でも10万円以上することもあります。また、マンションではなくシェアハウスのような形態が普通なので、日本のように1つの部屋の中にバスルームやキッチンがあるわけではなく、これらは共用スペースです。ただし、これは仲介業者を通した時のお値段です。デンマークでは日本で言う「民泊」のような形で空き部屋を貸し出して生活空間をシェアすることが一般的です。この場合、家主がある程度自由に家賃を設定できるので、場合によっては業者の相場の4分の1程度でお部屋を借りることができます。私は2回Facebookを使って部屋を探し、2回とも問題なく部屋を借りて住むことができました。私は「Roommate in Copenhagen」「Roommates and Flat Finder - Copenhagen,Denmark」というグループを利用しました。(初めは個人情報は載せずに、DMになってから詳細を話すようにしましょう。)また、Facebook以外にも、マッチングサイトもあります。「Boligdeal.dk」「Roomster」などが大手で、デンマーク語以外にも対応しているので使いやすいです。月額制ですが、お試し期間で安く使えることが多いので、この期間を使って短期決戦で決めましょう!SNSで高額の契約のやり取りをすることに抵抗がある人にはこちらが良いかと思います。更に、デンマークでは家具・家電だけではなく食器などの小物も前の住人が置いて出ていくことが多いので、こだわりたい人は事前にどんな家具・家電が用意されているか聞いてみるといいと思います。また、もし可能なら下見に行き、家主さんと話してみるとお互いに信頼が深まるのでおすすめです。

洗濯機も基本的に共用スペースです。
ホームパーティーが盛んで、住人同士とても仲良くなります。

留学前にやっておけばよかったこと

現地で暮らし始めてから、英語やデンマーク語をもっと真剣に勉強しておくべきだったと感じました。コミュニケーションが滞ってしまいますし、仕事の話はできても冗談や雑談についていくのが難しく、少し寂しい思いをしました。また、英語が一般的に話されている地域でもその国の言葉を覚えていくことは相手に他する敬意を示すことです。円滑な人間関係を築くためにも現地の言葉をある程度知っておくことは必要だと感じました。

留学を勧める・勧めない理由

留学に行くと、日本にはいないタイプの人が本当にたくさんいます。日本はいい意味でも悪い意味でも一般常識やモラルが万人に共有されている、整った国です。そうではない場所に行って見ることは、これからの人生に大きな影響を及ぼすと思います。私はこの大きな影響が自分にとって良い物であったと思うので、留学をおすすめします!

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学をする理由は、自分が成長するとか、経験を積んでこれからの人生に活かすとか、「自分のため」であっていいと思います。それを最も大切にしてください。ただし、留学先の人たちや国、留学に行くまでに関わる人たちへの敬意を忘れないようにしてください。困ったときに助けてくれるのは、自分に関わってくれている人たちです。自分の成長を優先しながらも、孤立だけはしないように、楽しく過ごしてください!