留学大図鑑 留学大図鑑

後藤弘光

出身・在学高校:
私立岐阜東高等学校
出身・在学校:
金沢大学大学院
出身・在学学部学科:
自然科学研究科 数物科学専攻
在籍企業・組織:

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最終更新日:2017年01月31日 初回執筆日:2017年01月31日

繋げ繋がる。物理屋、中国への研究留学。

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)・理学・数学・物理・化学・生物・地学
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • 中国科学院 高能物理研究所 ( Institute of High Energy Physics, Chinese Academy of Sciences )
  • 中国
  • 北京
留学期間:
1か月
総費用:
230,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 220,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

私は物質の起源や宇宙の究極理論を探求する物理屋の一人、素粒子論の研究者を目指しています。私は中国で開催されたアジアを中心とした国際的な滞在型研究会へ参加し、中国で最も活発な研究所の一つである中国科学院高能物理研究所へ約1ヶ月間滞在する研究留学を行いました。滞在型研究会では、自身の研究を発信すると共に、研究を通じて海外の若手研究者と交流を深めました。また滞在した研究所では、活発な議論や研究セミナー、中国の将来加速器計画に関するワークショップへ参加する機会を得ました。研究活動や現地学生との交流を通して繋がり、自分の世界を広げる。それが私の留学でした。

留学の動機

私は博士号取得後にポスドクとして生き残るためには、論文を書くと同時に、他人に自分や研究を知ってもらうことも大切だと考えています。海外の滞在型研究会への参加や、活発な研究所への滞在は、実際に繋がりを作る良い機会だと思います。自分の研究とその後のキャリアから必要性を感じ、指導教員の繋がりもあり、実際に留学できるチャンスがあったこと。それが私が留学するきっかけでした。

成果

滞在期間が1ヶ月だったこともあり、数少ないチャンスを如何に掴むかを意識させられた留学でした。名刺を作るなど、繋がりを作るための準備や、一つでも多く経験しようという態度は、普段の意識や行動の幅を大きくするきっかけになりました。実際に、留学計画になかった研究会に飛び込み、カリスマ性を持った研究者に出会えたことや、帰国後も連絡を取り合う仲間ができたことは、実際に中国に行ったからこその成果だと思います。

ついた力

世界を身近に感じる力

物事を俯瞰的に広く捉えられるだけでなく、より具体的に親身に捉えられるようになった気がします。留学中に得られた繋がりから、ようやく論文の著者名や海外のニュースから、そこに存在する人を意識できるようになりました。留学を通して、それまでの自分が外の世界を身近に感じられない事で、様々な学びの機会を逃していた事に気付かされました。

今後の展望

今後は自分に足りなかった部分を自覚して、研究成果だけでなく、自分の経験から基礎研究の魅力や、何かを探求する必要性を伝えられる博士人材を目指します。中国への留学で、加速器実験計画と社会の繋がりや文化の違い、日本のことを知らなかった自分を再発見する事ができました。また研究者の世界を身近に感じる事で、研究職の魅力を再認識し、研究者の一人として社会に貢献したいという気持ちが強くなりました。

留学スケジュール

2015年
7月~
2015年
8月

中国(北京)

私の留学先は北京石景山区にある中国科学院高能物理研究所の理論部、ニュートリノに関する研究グループでした。研究所での生活は週1で行われるグループミーティング以外は、自由に時間を使う事ができ、自分の研究をしたり、議論する相手を見つけて交流したりしていました。研究所に2週間滞在した後、北京杯柔区にある中国科学院大学で開催された1週間の滞在型研究会に参加しました。100人近くの参加者と研究を通して交流をしました。研究会終了後は研究所に戻り、将来円形加速器計画のワークショップに参加しました。この参加は計画にありませんでしたが、中国やヨーロッパの加速器計画を進めるリーダーの話を直接聞く事ができ、非常に貴重な経験を得る事ができました。その後は、スポーツを通じて中国人学生と交流したり、グループミーティングで自身の研究に関するセミナーを実施するなど、残りの少ない滞在期間で多くの繋がりを作ることに努めました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

102,600 円

生活費:月額

22,800 円

項目:研究会参加費など

125,400 円

滞在型研究会の集合写真
卓球での交流
研究セミナー実施風景
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

102,600 円

生活費:月額

22,800 円

項目:研究会参加費など

125,400 円

スペシャルエピソード

笑いあり、涙あり!留学中にあった、すごいエピソード

私は中国科学院高能物理研究所の敷地内にあるゲストハウスに宿泊していました。研究所の敷地内には、スーパーや学生寮、ゲストハウスの隣にはレストランがありました。研究所へ滞在しているビジターの多くは、ゲストハウスに宿泊し、朝食はレストランのバイキングを利用します。そして夜にはスーパーでビールを買い、ゲストハウスへ戻る。同じような行動スタイルのビジターとはよく目が合いました。アジア系ではないビジターは、特に印象に残ります。中でも背の高い気さくな男性とは、毎回朝食ですれ違う時には軽い挨拶を交わしていました。帰国まであと10日に迫った夜、いつも通りスーパーでビールを買おうとしていると、ばったりその気さくな男性と出会ったのです。初めてまともな自己紹介をすると、その男性のテンションが急に上がったのです。なんとその男性は、ポスドク時代に自分の研究室にいた大先輩だったのです。その出会いからは流れるように食事会が決まり、研究室にいた時の思い出や、進路、結婚、出産など経験に基づいて決断力の重要性を語ってくれました。彼は当時、決断力を養うために毎朝日本海に飛び込んでいたそうです。簡単にできる決断から訓練する理屈は理解できても衝撃的でした。その後、彼から研究室へのお土産とメッセージも受け取り、帰国後の報告会ではまた彼と研究室を繋げました。繋がりや縁の素晴らしさを実感できた留学中の経験だったと思います。

中国で研究室へのお土産を受け取る様子
帰国報告会での記念撮影

自分にあった奨学金を見つける

  • 費用 : 費用準備

私はトビタテ留学JAPAN日本代表生プログラムという返済不要の奨学金制度を用いて留学しました。大学学部生の頃には、留学したいと真剣に考えたことはありませんでしたが、不安要素の一つが費用準備でした。留学は自分でお金を貯めて行くものだと思っていたからです。しかし今では様々な奨学金の種類があるのだと知りました。大学や国が用意しているプログラムから、企業用意しているものまであり、自分にあった奨学金を選べるような時代になっているように感じます。私はトビタテ奨学金は指導教員からの紹介で知ったため、自分でその他の奨学金について考える時間を持ちませんでした。その選択に後悔はありませんが、留学への思いが強ければ強いほど、自分にあった奨学金を見つける努力ができると思います。意識をすれば見え方が変わる。少なくとも留学後には、大学から来る留学プログラムに関するメールが目に付くようになりました。

留学前にやっておけばよかったこと

私は留学前に、現地語の習得をやっておけばよかったと思います。留学前に中国語を少し学習しましたが、心の中で、中国でも少しくらい英語が通じるだろうと思っていました。実際に研究所では英語が使え、中国人の友達もできたため苦労をすることはありませんでした。しかし、もし中国語が喋れていたら、という気持ちが留学で残ったのは間違いありません。最低限できる努力として現地の言葉を学ぼうとする気持ちは大切だと思います。

留学を勧める・勧めない理由

私は必ず留学をする必要はないと思います。留学を選択肢に入れた上で、自分に何が必要かを考えることをお勧めします。留学の必要性があるなら行くべきです。なぜなら留学をしたい学生にとって、今追い風が吹いていると感じるからです。

これから留学へ行く人へのメッセージ

私はチャンスを掴む準備が大切だと思います。留学がフツーになってきた気がします。しかし自分にとっての留学は、1度かもしれない限られたチャンスです。収穫ある1日1日のために最高の準備をし、挑戦する事で、普段よりも一回り大きく成長できる、自分が納得する留学ができる。そんな留学ができれば、日本での日常も変わって見えるのではと思います。ぜひチャンスを見つけ、掴んできてください。