2019.01.31

イギリスで国籍多様な学生に囲まれながら開発学を学ぶ そして、イギリスで日本文化を世界に発信!

イギリスのリーズ大学に留学した佐藤那桜(さとうなお)さんは、発展途上国でのボランティア活動がきっかけで発展途上国の抱える問題に関心を持ちました。彼が「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」を通じて得たものとは…

イギリスで国籍多様な学生に囲まれながら開発学を学ぶ        そして、イギリスで日本文化を世界に発信!

発展途上国へのボランティア経験から日本の「当たり前」が当たり前ではない現状を知る

大学1年の夏、付属校からなんとなくで大学に進学した私にはやりたいことがありませんでした。何かしないと!という思い、また漠然とした海外への憧れから、大学の国際交流課に勧められたスリランカへの短期ボランティアに参加しました。それが私にとって初めての国際協力経験でした。現地の病院視察では、患者自身や患者の食事にたくさんのハエがたかっていたり病院とは思えない衛生環境を目の当たりにしました。多くのメディア通して、貧困をはじめとする発展途上国の現状を頭では理解していたつもりでした。しかし、日本から飛び出し、実際に現地へ訪れた体験は、私の国際協力分野への関心を強く刺激しました。
その後も所属NGO団体の下、何度も発展途上国でのボランティア活動を行い、JICAの研修プログラムでもカンボジア視察をさせていただきました頂きました。そして、国際協力分野で様々なことを経験していく中で、これらの問題を解決するために開発学の知識を身に付けたいと思うようになりました。
しかし、日本では開発学を深く学べる大学は少なくイギリスの大学への留学を決意いたしました。

多様な価値観に触れて、考え方の幅が大きく広がったことが留学の収穫です

私の留学したリーズ大学は世界150か国以上から学生の集まる大学でした。生まれ育った国が違えば、文化も違います。また日本では馴染みが薄い宗教、またLGBTなどの性的マイノリティーと呼ばれる人たちなど…。バックグラウンド豊かな学生と学ぶ中で、1つの問題に対して文化的問題や社会情勢、宗教、マイノリティーと様々な角度から考えることができました。
例えば、2004年にスリランカで起きた津波による災害では、男女格差から女性が支援を受けにくい状況にあったこと。中国の大躍進政策時、失敗すると気づいた者も多くいたが、中国では日本以上に上下関係が強い文化が歴史的に根付いており、ほとんどが反論を唱えることができなかったこと。
どちらも日本で日本の学生と災害に対する支援、持続可能な経済発展の失敗例を学んでいるだけでは知ることが出来ませんでした。
また、日本の授業スタイルとは異なり多くのコースでは1時間の講義のあと、講義の内容への理解をより深めるために1時間のセミナーと呼ばれる少人数のグループでのディスカッションがありました。
セミナーの準備として各授業毎週200ページ以上文献を読む必要があり睡眠時間の確保が大変という1面もありましたが、24時間OPENの図書館で朝までクラスメートと授業準備などで勉強に追われるという状況は苦しくも楽しむことができました。
この留学で得たものは、これからのグローバル社会で生きていく中で、また私の目指す国際協力というフィールドで必ず活きてくると思います。

日本文化発信プロジェクト「Japanese Sakura Festival in Leeds」を開催

和食がユネスコ無形文化遺産にも認められ、世界誇れる日本文化。初めての自己紹介で日本出身と話すと、文化だけではなく国民性なども含め非常に好意的な反応をされます。しかし、日本文化と言うとお寿司もしくはアニメくらいしか知られていないことが多く、またそのお寿司ですらカリフォルニアロールなど日本のお寿司とは違う形で認識されていることもあります。そこで、もっと日本の素晴らしい文化を知ってもらいたいと思い、リーズに留学していた私を含む8人のトビタテ生で日本文化発信イベント「Japanese Sakura Festival in Leeds」を開催しました。企画には半年以上費やし、日本の企業、自治体に協賛して頂いたり、多くの方々のサポートの下、同イベントを行いました。また、日本文化を世界に発信すると同時に売上金を寄附することで熊本震災復興へ貢献したいという目的もありました。
イベント開催経験が豊富なメンバーがおらず、また8名という少ないメンバーで広報、資金調達、コンテンツ、会場担当などそれぞれの役割を振り分けていきました。イベント開催におけるリスクマネジメント、現地のイベント保険への加入、広報活動、日英二か国でのクラウドファンディング、企業、自治体との協賛交渉など…。メンバー全員が全く経験ないことに全力で挑戦しました。
結果、来場者数2775人と予想を遥かに超え、売上金10万円ほどを熊本震災へ寄附することもできました。イベント終了後は、多くの方から次の開催はいつなの?という声をたくさん頂き、次の交換留学生へ引き継ぎを行い、活動を継続していくことになりました。
これはトビタテという繋がりがあったからこそ生まれたプロジェクトでした。帰国した現在でもトビタテ生との交流は続いています。
これからもその繋がりを通して、日本社会への貢献という形で支援者の皆様へ恩返しをしていきたいと思います。

今後のキャリア

私の夢は、発展途上国における子供のための社会づくり、特に教育分野で貢献することです。JICAや国連ではなく、日本が他国と比べ影響力が弱いといわれているNGOなどの民間セクターとして関わっていきたいと考えています。そのためにまず、来年9月からイギリス大学院への進学を予定しております。私が活躍したいと目指している国際協力分野での職は最低修士号が必要とされることが多いこともあり、修士課程において開発学の知識をより深めることを選びました。修士研究では、ICT教育の有用性や子供のための社会に焦点をあてて研究を進めたいと考えています。開発学において世界一と評されるサセックス大学からはすでに合格通知をいただくことが出来ました。現在、ケンブリッジ大学と迷い進学先を検討中ですが、来年もイギリスで頑張ってきたいと思います!

ご支援者向け留学体験談~世界に羽ばたく若き挑戦者たち~について

この記事は「トビタテ!留学JAPAN」事務局が企画・編集を行なったものです。今後も「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」に選抜され、世界を舞台に活躍する奨学生をご紹介してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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