2019.01.31

日本のSLを後世にも残したい!文化保存には人との繋がりが最も大切と学んだイギリス留学

高校生コース(アカデミック ショート)でイギリスにトビタッた岩田逸聖さんは、イギリスの保存鉄道の仕組みや歴史などを学ぶため、スワネージ鉄道に研修をしながら、現地の語学学校にも通いました。イギリスのSL保存の文化・伝統を見て学んだこととは....。

日本のSLを後世にも残したい!文化保存には人との繋がりが最も大切と学んだイギリス留学

私が留学を志した理由。蒸気機関車への熱い想いでした

  私はSL(蒸気機関車)が大好きです。私が1歳半の時に母が「きかんしゃトーマス」を見せてくれたことがきっかけでした。それから小学校1年生の時に初めて本物のSLに乗ったことで日本のSLに興味を持ちはじめました。具体的なSLの取り巻く社会事情を知ることになったのは、中学1年生の時に祖父から秋山岳志氏の「機関車トーマスと英国鉄道保存遺産」という本を買ってもらってからでした。イギリスのSL、トーマス、そして保存鉄道の歴史や仕組みについて初めて学ぶことになったのです。
  私がトビタテに応募した理由は、「きかんしゃトーマスの聖地、イギリスに行って現地のSLを体感したい」という幼いころからの夢を叶えるためでした。また、近年の日本ではSLの保存活動が活発になってきたことに興味が強まったことも理由の1つです。具体的には、日本のSLは観光目的や地域の象徴として「静態保存」されてきました。しかし、日本の文化に対する価値観が変化してきている現代で、SLという交通文化の近代化を促進してきた遺産を「日本の文化」として後世に伝えるには、日本の保存方式では難しいと私は考えています。SLの魅力は汽笛や煙突から吐き出るドラフト音や、煙を吐きながら、シリンダーからロッドに伝わって動輪が動く姿、燃えた石炭の匂いといった電車やディーゼルにはない特徴です。そこで、私はSLが活躍しているイギリスに行って、保存鉄道でボランティア活動に参加しながら、イギリスのSL保存の文化、伝統を学びたいと思いました。
  直接的に留学を強く意識したきっかけは、高校1年次の学年集会での出会いでした。とある先生がトビタテ!を説明して下さり、その紹介ムービーが流れたのです。集会終了後、今まで感じたことがなかったやる気と熱い想いが私の胸にこみ上げてきたのを今でも覚えています。

私の想像を覆されたイギリスのSL保存。留学で自分を一回り成長できた

  私がこの留学で一番学んだことは、文化保存には人との繋がりが最も重要だということです。飛び立つ前の私は、保存鉄道はSLを残すためにあり、保存活動に関わっている人たち全員が私と同じようにSLを愛していると考えていました。しかし、それは大きな間違いでした。
  イギリスの保存鉄道は、日本の保存鉄道のような専門的な仕組みとは違い、垣根のないボランティア制です。私は、多くのスタッフと交流し、活動を共にしました。そして、彼らとコミュニケーションしていく中で、保存鉄道やSLに対する様々な思いを持っているけれど、SLを守りたいという共通の目的を持っていることに気づきました。その気付きから、文化保存には様々人とのコミュニケーションや関わりが大切であることを学びました。
  また、保存鉄道という環境の中で、SL時代の客車や貨車、駅や信号機があり、それらを活用してSLに関するイベントを開催してSLが活躍していた環境が再現されていました。これは、私が研修の場として関わったスワネッジ鉄道のみならずイギリスにある全ての保存施設で行われています。この発見から、SLを文化として確立させて、後世にその伝統を伝えているイギリス文化を学びました。
  さらに、人間として成長した部分といえば、どんな状況におかれてもポジティブに考え、別の視点から考えることです。研修1週間目の週末、保存鉄道のルールを知らずに行動をしたためマネージャーに怒られてしまいました。そのとき、浮き足立っていた僕は現実に引き戻され、常に危険と隣り合わせだという当たり前のことに気づかされました。その失敗から、自分のやりたいことはもうできないと落ち込んでしまいましたが、あきらめずに自分のやりたいことをもう一度考えて、同じ失敗をしないように行動することを学びました。

トビタテ!だからこそ経験できる仲間との出会い

  トビタテ!留学JAPANは私たち若者の1人1人が描いている挑戦や夢を実現させ、次のステップへと成長させてくれる存在です。毎年800名の高校生がそれぞれの想いや目的で留学します。事前研修会で初めて出会い、お互いの留学や将来について理解し、気力を高め合います。そして、留学を経て、事後研修会で再び出会い、お互いの体験や得たものを話し合い分かち合うことができます。このような経験をさせてくれる機関は、トビタテ以外にはないと私は感じました。今後、1人でも多くの若者が私たちのような人生で最高の経験ができることを祈って、トビタテ!留学JAPANの存在が多くの人々に理解してもらえることを願っています。

ご支援者向け留学体験談~世界に羽ばたく若き挑戦者たち~について

この記事はトビタテ!留学JAPAN事務局が企画・編集を行なったものです。今後もトビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムに選抜され、世界を舞台に活躍する奨学生をご紹介してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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