留学後の自宅検疫での体調不良について
佐藤雅(長岡技術科学大学大学院/ 独立行政法人国立高等専門学校機構 長岡工業高等専門学校)
- 留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
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- ニュルンベルク工科大学情報処理研究室
- ドイツ
- ニュルンベルク
- 留学テーマ・分野:
- 大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
同じ状況になったときに自分と同じ精神状態にならないようにするための方法がみつかることを祈って記します。 ご存知の通り、私と同時期に留学していた学生の多くが留学期間中に帰国を余儀なくされ、留学を中断し諸手続きに追われ大変な思いをして日本に帰ってくることとなりました。 私は4月1日に帰国予定だったため、幸いにも留学計画に大きな変更はありませんでしたが、役所で手続きをしなければならないのにもかかわらず役所が閉鎖されていたり、学校との連絡が取りにくくなったり、飛行機があるのか不確定だったりと困難がありました。また、ドイツにいたころに夕食や昼飯をほとんど友達と食べて居たり、研究も同僚と行っていた影響で、孤独に対する耐性が低くなっていました。また、渡独するときに、研究とロボカップで死にそうだった生活から解放される!という気持ちでいた上に、日本から良い情報がないと感じていたため、日本に帰ること自体に対する負の印象がありました。 そのような状況で帰国、2週間の自宅検疫を行い、16日間窓から山と田んぼしか見えない自分のアパートの部屋で一人で過ごしていました。そのときの日記を見返すと、初日から体内時計の乱れによる不眠に苦しみ、5日目にはいるはずのない人がドアを閉めるとその向こうにいるかのように、また、世界にもう誰もいないんじゃないかと感じていました。 私はとても消耗しました。 そんなときに自分の健康を保ってくれたのが友達が買ってきてくれた菓子と友達との通話でした。砂糖の効果は想像以上で、やはり生物としての根幹の幸せを感じることが不幸に対する最も優秀な対処法なのだと思いました。また、友達と話すことで自分を取り戻すような感覚がありました。一度体調が戻ると、有意義な生活をしようと映画を見てドイツ語を勉強して、目が疲れたら窓の外を眺めるという優雅な生活ができました。
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