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最終更新日:2020年08月18日 初回執筆日:2020年08月18日

アメリカの医学教育にトビコム!

留学テーマ・分野:
大学生:交換・認定留学(日本の大学に在籍しながら現地単位取得を伴う留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • コーネル大学ウィールコーネルメディカルカレッジ
  • アメリカ合衆国
  • ニューヨーク
留学期間:
1.5ヶ月
総費用:
900,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 600,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル<TOEIC 830点、TOEFL-iBT 78点> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

アメリカ最高峰の医学部の一つであるコーネル大学医科大学院に留学し、将来的にアメリカで医師をするために必要な基盤を作ることを目標にしました。まずは、コーネルでのパフォーマンスを最大限にするために渡米直後にアメリカ医師国家試験対策予備校の短期コースに通い、診療手技などを身につける授業を受けました。3日間のコースで準備を整えたのちに、コーネルでの留学がスタートし、実際に医師とともに患者の治療を行うエレクティブ(=臨床実習、病院実習をする医学生)として腎臓内科で研修をしてきました。私が配属された腎臓内科コンサルティングチームは医師4人、医学生2人で構成され、院内のすべての部門から腎臓や血圧、電解質に関する問題についてコンサル(=相談)を受け、治療を行うのが任務でした。学生とはいえ与えられる責任は大きなもので、自分の判断が患者を救うという達成感と共に、もし失敗したら・・・という不安も常に付きまといました。
実は当初感染症内科での研修を希望していましたが、実際には腎臓内科に配属されました。しかしながら、感染症に関するセミナーに参加できたり、研究の一部も経験できたりと当初の希望に関係なくとても充実した留学でした。

留学の動機

将来はWHOなどの国際機関で感染症を専門とする医師として働きたいと思い医学部に入学しました。入学後は国連本部での研修や途上国でのボランティア等に参加し、これらの経験を経て感染症分野で世界をリードするアメリカで感染症専門医を取りたいと思うようになりました。アメリカで医師となるには、医学生時代にアメリカで臨床経験を積まなくてはならないことから臨床留学することを決意しました。

成果

世界最先端と言われるアメリカの医学教育を受けて医学的な知識や技術が成長したことは言うまでもありません。しかし最も大きな成果は、アメリカで医学教育を受けたという経験そのもの、かつアメリカで医師をやるために必要な推薦状を得られたことかもしれません。アメリカで医師をやるには熾烈な競争があり、アメリカでの臨床経験と強力な推薦状が必要不可欠です。留学中の頑張りが認められ推薦状を頂けたことは大きな成果です。

ついた力

”自分が”と常に一人称で考える力

留学開始直後、カルテの使い方にも慣れていない段階で担当患者を持つことになり、本当に逃げ出したい気持ちになりました。しかし、チームのボスは回診の際に患者に対して、「これが私のチームです」と僕も含めて紹介してくれました。この言葉を聞いて例え学生であってもチームの一員として認めてくれていると感じ、課せられた責任から逃げない、“自分が”という一人称で考えるという精神が身に付きました。

今後の展望

当初は感染症専門医を目指していましたが、アメリカで腎臓内科を学んだことで腎臓や高血圧の治療や予防にも興味を持ちました。この春から2年間の初期研修がありますが、その後は腎臓内科医になるための研修を受けたいと思います。その中でアメリカの大学院で公衆衛生学修士(MPH)を取得する予定です。医師としての基盤を固めた後に国際機関に所属し予防医学の専門家として世界の健康のために働きたいと考えています。

留学スケジュール

2016年
5月~
2016年
5月

アメリカ合衆国(ニューヨーク)

アメリカ医師国家試験(USMLE)ステップ3のための予備校の短期コースに通いました。このコースでは基本的な診察手技やカルテの書き方などを実践に即して学ぶことができ、座学だけでなく実習が多い点も魅力的でした。3日間のコースのうち、1日目は主に座学のレクチャー、2日目は模擬患者を交えて行う実戦形式のワークショップ、3日目は実際に様々なケースの模擬患者を自分一人で診察し、その後に講師からフィードバックをもらい、最後に症例について検討を行うという内容でした。学生は世界各国から集まっており、その点も刺激的でした。

費用詳細

学費:納入総額

100,000 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

3日目開始前に記念に撮影
費用詳細

学費:納入総額

100,000 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2016年
5月~
2016年
6月

アメリカ合衆国(ニューヨーク)

私はコーネル大学附属病院の一つであるニューヨーク・プレスビテリアン病院腎臓内科コンサルチームに配属されました。エレクティブの学生はコンサルが来るとペイジャーというポケベルのようなものが鳴り、指導医からコンサルされた患者の情報が与えられます。その後すぐにカルテで手に入る情報を集め、患者の元に行って診察をします。ある日は腫瘍内科の病棟へ、次はERへと広い院内をいつも走り回っていました。診察が終わると患者の問題点を整理して治療方針を立て、その後の回診でチーム全員にプレゼンします。この回診では指導医から常にフィードバックがもらえるため、日々成長を感じることができました。また、毎日のプレゼンのお陰でプレゼン力もかなり鍛えられました。担当した患者は20人近くになり、亡くなった方もいました。技術・知識だけでなく、患者や家族に寄り添う姿勢は言語や国籍を超えた深いものがあるということも改めて感じました。

費用詳細

学費:納入総額

240,000 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

エレクティブをしていたニューヨークプレスビテリアン病院
最終日に正門前で。
費用詳細

学費:納入総額

240,000 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

ニューヨークで出会った同世代の日本人の皆さん。ある人はアーティストを目指してニューヨークへ、ある人はブロードウェイを目指してニューヨークへと、みんなそれぞれ目標や目指すところは違いますが、自分の目標に向かってニューヨークの地で頑張っている点は同じでした。こちらでの苦労や目標、キャリプランなど熱い話ができたのは良い思い出です。
この留学はハードなことも多く逃げ出したいこともありましたが、同じように目標に向かって頑張る彼らとの出会いのおかげで、もう一度踏ん張ってみようと思うことができました。

ニューヨークで頑張る同世代の皆さんと。

突然住処がなくなった

  • 住まい探し : 学生寮

ニューヨーク滞在中はサブレットといういわば”又貸し”を利用して学生寮に入る予定でした。北米の医学生は最終学年になると学期の間はアメリカ国内やカナダ国内の病院に1ヶ月単位でエレクティブに行くため学生寮に短期的な空きができることから、医学生同士のサブレットがよく行われており、医学生専用のサブレット仲介サイトもあるほどです。そのため私も留学先の病院に近い部屋をサブレットで借りる予定でしたが、渡航1週間前に突如、先方から部屋を貸せないとの連絡が・・・。あくまで学生同士のやりとりになることからどうしてもこのようなトラブルは避けられないようです。そこで、もう一度仲介サイトで部屋探しを始めると同時にとりあえずの住処としてニューヨーク近辺のゲストハウスやユースホステルを探しました。なんとかゲストハウスを見つけ、渡航からしばらくはそこに滞在し、その後は現地でサブレットを探しました。部屋探しのトラブルはよく聞きます。特にサブレットは色々と問題があるようです。渡航前にある程度話をつけておいて、実際に現地に渡ってから部屋を内見するなどして契約するのがベストだそうです。そのためにも渡航からしばらくはゲストハウスなどの格安の宿に泊まることを前提に準備しても良いかもしれませんね。

医学生の臨床留学

  • 単位・留年 : 単位互換

一般的に医歯薬系の学部では、留学中の単位互換をできないことが多いようです。さらに医学部では座学に加えて実習なども詰まっていることから、なかなか留学のチャンスがなく、単位と時期という2つの問題に悩まされます。私は将来的にアメリカで医師をやりたいと思っていたため、学生のうちにアメリカでエレクティブをすることが必須でした。エレクティブは最終学年であることが条件のため医学部6年生のどこかで留学をしなくてはなりません。私の場合は、6年生春の自由選択の期間を利用して留学しました。しかし私の所属する大学では、この自由選択期間中は大学の各診療科ないしは関連病院で実習をすることが前提であり、留学という選択肢は大学が提供するプログラムに参加する以外はありませんでした。大学の提供する留学プログラムは提携を結んでいる大学との学生交流という意味合いが強く、残念ながらエレクティブのようにアメリカでの臨床教育を受けたという証拠となるようなプログラムはありませんでした。そこで自分でエレクティブを探しながら実際に留学された先輩の協力も頂いてコーネルでのエレクティブのチャンスを掴むことができました。その後は各診療科の先生にお願いし、その科で実習をしながら、その一環として留学するという形で留学をさせて頂き、なんとか単位互換と時期という2つの問題を乗り越えることができました。大学の制度上では難しい場合でも学生の海外経験を後押しして下さる先生方もいらっしゃいます。もちろん自分勝手なお願いは失礼ですが、熱い想いを伝えることで先生方からサポートして頂けることもあるので、一人で悩まず先生方にサポートを仰ぐことも大切です。

留学前にやっておけばよかったこと

専門分野をより深めておくことではないでしょうか。向こうで少なくとも学生には誰にも負けまい!くらいのレベルまで知識を蓄えておくことが必要だと感じました。日本人の場合、どうしても言語面で遅れをとってしまいます。私自身、英語力にはそれなりの自信がありましたが、実際の医療現場では全く歯が立ちませんでした。しかし知識があればなんとかくらいつけますし、言語面の足りない部分を少しは補うこともできると思いました。

留学を勧める・勧めない理由

日本はとても居心地が良いですが、目標を達成するためにどうしても留学をしなくてはならない時がきます。そんな時は迷わず留学してください。留学しなければできないことはたくさんあります。ぜひ自分の殻を破って外に出てみてください。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学は“楽しい”と“苦しい”のせめぎ合いです。後から思えば楽しい思い出になりますが、その時その時は日本に帰りたいと思うほど辛いこともたくさんあります。だからこそ自分の目標を忘れないでください。この留学はきっとあなたの将来の糧になります。全ては自分の夢のためです。月並みな言葉ですが、苦しんだ分だけ得られるものも大きいです。ぜひ自分の夢に向かって、トビタテ!