留学大図鑑 留学大図鑑

坪坂歩

出身・在学高校:
福井県立藤島高校
出身・在学校:
千葉大学
出身・在学学部学科:
医学部医学科
在籍企業・組織:

医学留学に関しては相談に乗れるかもしれません。


最終更新日:2017年10月23日 初回執筆日:2017年10月23日

先制医療で医療費削減&効果的治療を目指す

留学テーマ・分野:
専門留学(スポーツ、芸術、調理、技術等)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • Children Hospital LOS ANEGELES Pathology and laboratory medicine
  • アメリカ合衆国
  • ロサンゼルス
留学期間:
1ヶ月
総費用:
400,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 410,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEFL 83点> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

今回の留学の最大の目的はprecision medicine実現に向けての足がかりを掴むことであった。例えば癌の治療では薬を使ってみて合う合わないが初めてわかるという感じであるが、もし治療開始前に遺伝子や血液検査などの低侵襲の検査から、よく効く薬がわかれば医療費の削減にも治療効果の向上にもつながる。また、小児の疾患は成人の疾患よりも遺伝子が原因で起こる疾患の割合が多い。従って、実際にこども病院の病理診断科で診断業務の手伝いや研究に携わることにより、個人個人の病理組織像を踏まえた治療方針を病理医側から提案するプロセスを現場レベルで理解し、遺伝子をもとに治療方針を決定するprecision medicineと近い形で医療に関わった。
それとは別に、日本では深刻な病理医不足の問題がある。日本とアメリカで病理医の働く環境の違いや医療への姿勢、他科との関わり方を目の当たりにして、日本よりも責任の大きく、発言力もある。最も大きな違いとして、日本では得意な臓器はあっても基本的に病理医はすべての臓器を見るが、アメリカではそれぞれが病理医の中で専門に別れることにより、より働きやすく、効率的に仕事をしていることが見て取れた。

留学の動機

個人の特性に合わせた医療をprecision medicineという。人によって遺伝子が異なるので治療法も異なる。一人一人の生検組織・手術検体から病理診断を元に治療方針を決定するプロセスはPrecision medicineの概念に近く、特に遺伝子が重要なこども病院の病理や臨床検査部の技術が現在最も効率的に学べる現場だと感じた。元々病理学には関心があり、こども病院の病理診断科に留学した。

成果

小さな視点で言えば、神経芽腫の病理診断が自分自身のみで可能になった。日本では殆どの病理医が正確な診断ができず、診断する人材は貴重である。大きな視点では、研究テーマに携わることで基礎研究から臨床応用する過程を体感でき、その研究テーマの論文の共著者となることができそうである(まだ提出はしていない)。Precision medicineの原型となりうるプロセスを目の当たりにした。

ついた力

ミクロからマクロを考える力

病理組織像は顕微鏡で見なければわからないミクロの世界である。一方で医療費の高騰・癌治療薬の問題は医療経済的問題を含むマクロな世界である。留学前は、目の前の組織像と、その奥にいる患者のことしか考えることができなかったが、現在ではさらに治療した先に与える医療経済への影響や、社会課題をどのように解決すべきかを考えるに至るまで、幅広い視野を持って病理組織像を見ることができるようになった。

今後の展望

まずは医師免許を取り、初期研修を終わらせること。その後、病理医として活躍しながらも基礎研究に従事し、Precision medicineの実現に向けて尽力したい。今回の留学でテクノロジーの力を改めて痛感したので、特にAIとゲノム情報・病理組織画像を組み合わせた研究を行っている研究室があり、その研究室で博士号を取り、日本・世界の産業・医療業界に貢献したいと考えている。

留学スケジュール

2017年
8月~
2017年
8月

アメリカ合衆国(ロサンゼルス)

留学先はロサンゼルスこども病院の病理診断科の嶋田教授の元だった。嶋田先生は神経芽腫という小児の腫瘍の世界的な権威である。その元で1ヶ月間神経芽腫の病理診断や最新の研究について学んだ。神経芽腫は小児の固形腫瘍の中で脳腫瘍の次に多い癌で日本では年間320例ほど発生している。嶋田先生が中心となり考案した分類を元に治療方針が決定されるが、その分類結果により無治療で勝手に治癒してしまう神経芽腫もあれば、強力な化学療法を行わなければならない癌もあり、病理診断が極めて治療方針の決定に重要な腫瘍の1つである。神経芽腫の病理診断を学ぶことで遺伝子情報により適切な抗がん剤を選び、治療を行うPrecision medicineの先駆けを体感した。また、実際に神経芽腫に関する研究テーマに携わらせて頂くことにより、疾患への理解や基礎研究・病理研究から臨床にどのようにつながっていくかを学ばせていただいた。

費用詳細

学費:納入総額

400,000 円

住居費:月額

120,000 円

生活費:月額

160,000 円

項目:航空費

120,000 円

病院の概観、ここで1ヶ月間実習を行いました。
費用詳細

学費:納入総額

400,000 円

住居費:月額

120,000 円

生活費:月額

160,000 円

項目:航空費

120,000 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

留学先での学びを少ない文字数で表すのは難しいが、日本ではありえないような経験があった。職場には自分以外にも日本人、ブラジル人、中国人、カナダ人、韓国人、フィリピン人と多くの人種がいて空き時間にはお互いの文化や価値観について話し、意外なところに相違点や共通点が見つかり驚いた。また、こども病院なので当然亡くなる患者さんもいらっしゃるのだが、新生児の病理解剖の見学もし、ごく稀な疾患(Potter症候群)の肉眼像を自分自身の目で見ることができたのは本当に貴重な経験だったと感じた。他にも心房中隔欠損症という疾患の心臓病変を何件体も見させていただいたり、迅速診断に随行したりと様々な貴重な経験をした。病院以外でも面白い学び?があった。自分は日本人男性とアメリカ人男性のところにシェアハウスという形で1ヶ月生活したが、「これがカリフォルニアンスタイルだ」と言われ毎週のようにビーチに連れて行ってもらい、特に何をするわけでもなく浜辺でぼーっとするという時間があった。日本人はつい休日に予定を入れて動き回りがちだが、ただのんびりするだけの休日を過ごすのは新鮮で、心身ともにとても安らぐ体験だった。時間の使い方や心のゆとりの違いがあるのを感じた気がした。

色んな国の同僚たちとの食事、LAらしい多様性

特に専門留学を行く人は日常英語力に加え、専門分野の語彙を充実させるべき

  • 語学力 : 英語

自分が1ヶ月の医学留学だったが、到着後しばらくは環境の変化に慣れることや周りの日常英語についていくことで精一杯だった。2週間目くらいに英語に慣れてきたが、そのときにようやく純粋な英語についていけても、知らない専門用語が1文に2,3語入ってしまうと話についていけないことがわかった。勿論、実際に留学する前に予想される全ての専門用語を英語で学習することは困難だが、日頃から英語で用語を学習する癖をつけておくべきだった。

留学前にやっておけばよかったこと

元々1ヶ月という短い期間の留学だったので、医学・語学両方の面で自分なりには学習していったつもりだった。しかし、どうしても専門分野での留学となるといくら勉強してもしたりないというのが実情だった。従って、闇雲に小児病理学を学ぶのではなく、病院のホームページや担当者への質問などを通してよりピンポイントで疾患の勉強をしていくべきだったと感じた。

留学を勧める・勧めない理由

今回、留学先へ赴いて元々の留学目的も達成できたと思うが、それよりも実際にアメリカで一ヶ月生活して様々なことを感じることができたのは、何よりも大きな財産になったと思う。異国に実際に行きそこで生活しなければわからないことは自分の予想以上に多かった。アメリカ人の生活スタイルや価値観、文化の多様性、LGBTの人々の受け入れられ方など様々な点で刺激を受けるのは実際に留学したからこそわかる点であると思う。

これから留学へ行く人へのメッセージ

実際に留学へ行くと留学大図鑑には乗らないような細かい苦労や困難が誰にでも起こっていて、大変な部分もたくさんあると思います。自分は一ヶ月という短期間しか行かなかったですが、長期になれば自分の感じなかった困難も多いと思います。しかし苦労や困難を乗り越えた分だけ自分自身の成長にも繋がると思うので、ぜひ留学に行って色々学んできてください。