留学大図鑑 留学大図鑑

Ryoki.M

出身・在学高校:
開智中学高等学校一貫部
出身・在学校:
電気通信大学大学院
出身・在学学部学科:
情報システム学研究科 社会知能情報学専攻
在籍企業・組織:
特定国立研究開発法人 産業技術総合研究所 → 行政機関


最終更新日:2021年09月06日 初回執筆日:2021年09月06日

人流解析先進国イギリスでの実践的研究

留学テーマ・分野:
大学院進学(修士号・博士号取得)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • Manchester Metropolitan University, Master of Science in Crowd Safety and Risk Analysis / International Institute of Risk and Safety Management
  • イギリス
  • オックスフォード・ロンドン・マンチェスター
留学期間:
12か月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 2,200,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

これまで花火大会,スタジアムといった多くの人が集まる大規模な空間において,人の流れの計測とシミュレーションによる,混雑緩和策や災害時の避難誘導支援を行うことを目的とした研究を行ってきました.
留学中は2つの研究機関に掛け持ちで在籍し,パレードや音楽フェスティバル,サッカー試合といった大規模イベントに運営側として携わり,現場の管理者と協力しながら課題を洗い出して解決策を検討していく経験を積みました.

留学の動機

日本の明石花火大会歩道橋事故のように,人の密集による圧死事故は世界中で毎年発生しています.人の命にかかわる研究ですので,机上の空論を掲げるだけではなく,実際のイベントでの運営管理を多数経験しながら課題を洗い出し,研究に活かしたいと考えました.

成果

スタジアム(City of Manchester Stadium, Manchester Arena, Wembley Stadium)の避難誘導計画の検討,
幹線道路沿い小学校の通学路見直しプロジェクトにおける改善策の提案,
専門技術書への寄稿,
専門資格の取得 - Level 5 Diploma in Crowd Science and Risk Analysis. など.

ついた力

要点整理、プレゼンテーション力力

議論の場では短時間で意見を主張,要約する必要があるため.結論主体の話し方を心掛けるようになりました.

今後の展望

多くの研究学生同様,研究の道か,それ以外かは最後まで悩みました.私は研究実績を客観視して就職を選んだわけですが…
人工知能も研究していたため就職活動では自動車メーカー,コンサル,SIerなどから内定をいただきました.唯一受けた行政機関が現在の勤務先で,年収よりも世の中を安心安全に…の思いが勝ちました.しかし世に広く貢献できる研究の魅力は強烈で,仕事と掛け持ちで博士課程へ進む予感です.

留学スケジュール

2016年
4月~
2017年
3月

イギリス(マンチェスター・ロンドン)

人混みで自由に歩き回れずに窮屈な思いを抱いた経験があるかと思います.人の寸法や歩行速度,人混みで抱く快適/不快の感覚を計測することで,通路や出口幅など様々な建築レイアウトに応用することができます.イギリスには世界で唯一の群集解析(Crowd Science)を専門とする大学院の修士コースがあるため,在籍して研究に励みました.

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

集団歩行についての講義
集団歩行の計測実験
イベント会場における動線計画の検討
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2016年
4月~
2017年
3月

イギリス(ロンドン)

研究機関 International Institute of Risk and Safety Management(IIRSM)では,大規模イベント運営時の管理体制やテロ発生時の指揮系統の議論を経験しました.

また UK Security EXPO / FIREX, IFSEC International 等の関連研究会,学会へ多数参加し,各国の取り組みや過去の事故事例を拝聴しました.

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

有識者やイベント管理者とのディスカッション
パレードの混雑度評価の一例
音楽フェスティバルの混雑度評価の一例
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

この国のことが、とても好きになった瞬間

1週間の冬休みができたのでスコットランドに遊びに行きました.旨いウイスキーを飲んでみたくなったのと,映画007 Skyfallに登場した湿地帯が美しかったので.

インヴァネス空港からネス湖を経由し,スコッチで有名なスカイ島のタリスカー醸造所までの往復350キロ.車で走ると2日ですが,あえて自転車にキャンプ道具一式を載せ,走り抜けました.12月のオフシーズンでホテルや民宿は開いておらず,スーパーはたった数件,水とパスタと栄養食を買い込み,消費カロリーを計算しながら走りました.

イギリスでは一日に何度も天気が変わるため,天気予報は気休めです.自由気ままに過ごす羊たちを眺めていたと思ったら大嵐となり,テント内で丸一日過ごす羽目になったり,あまりの強風に心折れて砂浜で大の字に寝転んだり,日本とはまるで異なる天気を体験しました.

自然と併せて,現地の人の温かさに触れた旅もありました.テントを張っていると住民が様子を見に来て温かい紅茶を振るまってくれたり,ある時は商用車に自転車ごと積み込み,港町まで連れて行ってくれたこともありました.
荒々しい味が特徴のタリスカー,日本でも買えますが,現地の潮風を感じながら味わうウイスキーは別格でした.

※所有しているテントは暴風雨にも耐える厳冬期山岳用.マネするのはオススメできません.

スコットランドはどこでキャンプをしてもOK.
自転車+20キロの荷物.
晴れた日の景色は抜群.

研究活動の実現に至るまでの経緯 コネなし状態から大学院合格まで

  • 留学先探し : 大学院

研究留学の場合は交換留学や研究室つながりが一般的ですが,私の研究テーマが特殊なため,現地とのつながりが一切ありませんでした.大学受け入れや民間企業のインターンシップをお願いしましたが,長期滞在やビザ対応等の手間があるため好意的には捉えてもらえず,渡英時点では受け入れ先が決まっていませんでした.そのため最長11ヶ月滞在できる語学留学目的の短期学生ビザで現地の語学学校に在籍していました.

やりたいことは明確だったので,毎週末は学会や研究会に欠かさず足を運びました.名刺を何十枚と配ったり,研究のPR動画を見せたりしていました.何度か顔を合わせる人もいて,少しずつ知り合いが増えていきました.

留学計画を実現するために,ぜひとも訪ねたい相手がいました.分野の第一人者として世界中を飛び回っている教授です.世界で唯一の人流解析の修士コースを開いている人物でもあります.彼の研究セミナーを8月上旬に受講した時に,なんとか受け入れてもらえないか再度尋ねたところ「受け入れる気はないけれど,修士コースならあるよ」とつれない反応.イギリスの入学月は9月.いま申し込めば1か月後の入学にはギリギリ間に合う.思い切ってチャレンジすることにしました.

入学選考は応募資格審査(語学力,分野経験),面接,分野知識を問う論文筆記2テーマが必要でした.詳細は後述します.

そのほかに推薦状が2通必須でした.1通は日本の研究室の教授に,もう1通をどうしようか.
その時に活かされたのが名刺配りです.私が毎週のように学会や研究会に参加していることを何人かの知人が教授に伝えてくれました.「そこまで研究したいのなら」と,最終的には教授本人が推薦状を書いてくれて合格に至りました.

大学院の入学試験について その1

  • 留学先探し : 大学院

入学選考は応募資格審査(語学力,分野経験),面接,分野知識を問う筆記試験2テーマ,推薦状が必要でした.

・語学力
IELTS 6.5以上のスコア.ただしReading, Listening, Writing, Speakingすべてにおいて5.5を下回ってはいけません.文部科学省の「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」によるとCEFR C1相当,TOEIC 800,英検準1級~くらいが目安です.
社会人経験者の多くに門戸を開いている専門コースで,語学力よりも研究意欲や経験を重視しているため,他大学院よりも要求は下げていると仰っていました.

・分野経験
学士号を取得していること,または群衆管理に関する豊富な業界経験,または群衆に関連した管理職経験を証明できること,または少なくとも群衆管理に責任のある職に就いていること.(すべての学習内容が群衆の安全に適用され,場合によっては人の命を左右するため.)
→ 留学前に参加していた国の研究所での8か月間のインターンシップで,劇場の避難訓練や花火大会の混雑観測に参加した経験がプラスに働きました.

学部卒業直後の志願者の受け入れは不可ではないが,要求される専門性が高く,実際の現場経験がないと付いていくのが厳しいだろうとのこと.可能な限りサポートはできるので連絡くださいとのこと.実際,合格者の9割がイベントマネージャー、警察,警備会社など社会人経験者で,学生は私含め2人だけでした.

・面接
志望動機やこれまでの研究経験,キャリアパスについて問われました.

大学院の入学試験について その2

  • 留学先探し : 大学院

・分野知識を問う筆記試験2テーマ

テーマ1
群集科学,群集力学,群集行動,群集リスク分析とは何か,これらの科学分野を支える主要な理論は何かを論じてください.また,群集の安全のための適切なリスク評価方法についても簡単に説明してください.1,500語以上.

テーマ2
現実のイベント会場を1つ取り上げ,教授が提唱する4つの手法をすべて含めて分析してください.1,500語以上.
① DIM-ICE ②RAMP Analysis ③混雑状況/リスク度合いのマッピング
④ 意思決定支援(渋滞、リスク、天候、群衆やイベントの種類など)

白紙状態から書き上げるのはさすがに厳しいので,段落構成がわかるサンプルは提供されます.ただしテーマ2は,分析手法を理解していないと手を付けることができないので,事前学習が必要です.


・学費
国立大学のためか外国の学費としては想像よりは高くなく,£6,930-ですので110万円ほど.でもそれはEU圏内の学生の話であって,EU圏外の私は2倍の220万円.同じ授業なのに,なんだかなぁ…というのが率直な思いです.純粋に修士を目指すならともかく,現に日本の大学院で修士を取得する見込みが立っているのに.追加で200万円を払ってまで修士を取る必要性とは…?と考えてしまいました.

さらに,こればかりは受験前に調べておけという話ですが…日本の国立大学では二重学籍が認められていないことが決定打となり,入学を辞退しました.入学試験に合格したことで,結果としては研究学生としての在籍許可が下り,当初計画していた以上の充実した研究活動ができました.
入学試験に合格していなければ在籍させてもらえなかったわけですので,受験そのものはチャレンジして良かったと考えています.

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学はあくまでも何かを実現するための手段の一つであり,留学することそのものが目的となってしまっては得られるものは少ないです.それを念頭に置いて行動すれば,留学が実りあるものになるのでは,と考えます.