留学大図鑑 留学大図鑑

高橋 叶

出身・在学高校:
東京都立小山台高等学校
出身・在学校:
東京農工大学(学部)→京都大学(修士)
出身・在学学部学科:
農学部地域生態システム学科→地球環境学舎環境マネジメント専攻
在籍企業・組織:
PlanEnergi

田舎を経済・環境・社会的に持続可能にしていく一つのツールとして、自然エネルギーに着目しています。
デンマーク・自然エネルギーに関心のある方には、多少なりご相談に乗れると思います。


最終更新日:2017年05月17日 初回執筆日:2017年05月17日

自然エネルギーで熱をつくる

留学テーマ・分野:
海外インターンシップ
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • PlanEnergi(自然エネルギー事業コンサル)
  • デンマーク
  • オーフス
留学期間:
5か月
総費用:
1,000,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,000,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

日本の自然エネルギー導入においては、特に熱の利用に関してまだまだ多くの課題が存在します。
例えば、(1)電気部門にばかり着目していて、熱部門への自然エネルギー導入の議論がない(2)バイオマス発電において、その廃熱が有効利用されず、約70%のエネルギーが捨てられている(3)「お天気まかせ」と言われる自然エネルギーの制御に関して有効な手立てが取れていない、など。

ヨーロッパ、特にデンマークで広く普及しているシステム「地域熱供給」は、こうした課題を解決する高いポテンシャルを有しています。上の課題に対応させると、(1)自然エネルギーを暖房・給湯に利用することができ、(2)バイオマス発電の廃熱利用のインフラとなり、(3)作りすぎた電気を熱として貯める機能によってエネルギーシステム全体の柔軟な調整を可能にしてくれるシステム、と言えるでしょう。

この地域熱供給の日本での導入可能性を探るべく、約5か月間、デンマークの自然エネルギー事業コンサルタント会社PlanEnergiでインターンをしてきました。実際の地域熱供給事業立ち上げのプロセスに携わることで、日本とデンマークの違いを整理し、日本においてどのようなことが課題となるのか、それをどうしたら回避できるのか、想定より様々な学びを得て帰ってくることができました。

留学の動機

ここ数年ずっと自然エネルギーの勉強を続けてきた中で、日本における課題が見えたとともに、それに上手く対処している欧州の事例をたくさん(文献の中で)目にしました。実際に見て、事業に携わって、実務的な視点でもって日本への適用可能性を考えたいという思いから、インターン留学を決意しました。

成果

地域熱供給の基礎知識を得、ある程度のプランニング能力(ソフトウェアシミュレーション・コスト計算)も得て、日本での可能性を具体的に論じることができるようになりました。日本で「先進的」と呼ばれる事例にも設計に不備があったりすることが帰国してからわかるようになり、今後この分野の一線で戦っていくための基礎が身についたと思います。

ついた力

新しいことに挑む力

インターン中、それまで一切経験のなかったウェブ作成を任せられたことがありました。一から学び、試行錯誤の中でもどうにかそれなりのものを作り上げた経験から、情報が溢れる今の時代、大体のことはチャレンジすれば成し遂げられる、と思えるようになりました。今ある「スキル」で対応できる範囲の中にとどまっていては、成長は限られてしまうかもしれません。

今後の展望

まずはインターンの成果をもとに、日本で研究の蓄積が少ない地域熱供給に関して修士論文を書き上げることが直近の課題です。その後は、インターン中にひしひしと感じた「事業を作り上げる力」の強さを自分自身のものにするべく、自然エネルギーに特化したコンサルタントやデベロッパーを進路として選び、引き続きこの業界に貢献していきます。

留学スケジュール

2016年
9月~
2017年
1月

デンマーク(オーフス)

5か月間、自然エネルギー事業のコンサルタント会社であるPlanEnergiでインターンをしました。
指導責任者の温かな指導を受けながら、地域熱供給という暖房・給湯システムの立ち上げに携わり、日本での導入可能性を具体的に論じられるような力が身についたと思っています。
最初の3週間は指導責任者の家に居候し、そのあとはフラットシェアで普通のアパートに住んでいました。近隣大学の学生とも偶然つながりができたりしつつ、5か月を通してまさに老若男女、様々な方と交流できました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

80,000 円

項目:交通費

200,000 円

ご近所さんとディナー。親しい人とのゆっくりな時間を好む国民性
太陽熱プラント。視察の機会もたくさんいただきました
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

80,000 円

項目:交通費

200,000 円

スペシャルエピソード

この国のことが、とても好きになった瞬間

デンマーク語に、「ヒュッゲ」という言葉があります。
これは、家族や友人とただゆっくり過ごす時間を指す言葉で、デンマーク人はこのヒュッゲをとても大切にしています。みんなで集まった後のコーヒータイム、ろうそくや間接照明の優しい灯りの中で「ほっ」とするような時間、それがヒュッゲです。
週に1・2回の、ご近所さんたちとのディナー、そしてそのあとのヒュッゲ。
美味しいコーヒー・お菓子と共に、温かくて穏やかな彼らとゆっくり語らう。
これ以上に幸せを感じる時間は、なかなかこれからも無さそうです。

10歳以下から70代まで揃ったご近所コミュニティ

Simフリー携帯は、案外買わなくて済むかも?

  • 生活 : 携帯

留学の際、多くの方が迷うであろうこれ。
「Simフリー携帯は買うべきか?それともWifiだけでどうにかやり過ごすか?」
僕の場合、お金の余裕がなかったこと、留学先がWifiのよく普及した国であったことから、Simフリー携帯は準備せずに渡航しましたが、現地で思わぬラッキーがありました。インターン先の同僚の方が、彼のお下がりを快く貸してくれたのです。あとは、現地でSimカードを買うだけ。外でも通信できる携帯を持ち運ぶことができたのは、やはりとっても便利でした。

日本ではまだSimフリー携帯はあまり普及していませんが、海外の多くの国では極めて一般的になっています。現地の方がもう使わなくなった携帯を持っている場合も珍しくないと思うので、それをアテにしてしまうのも一つの選択肢として良いかもしれません。あくまで、Wifi利用だけでもなんとかなりそうな場合に限るべきとは思いますが。

留学前にやっておけばよかったこと

デンマークはほとんどの方が英語を流暢に話す国ですが、やはりデンマーク語ももう少し事前に勉強しておけばよかったな、というのが一番の後悔です。1対1であればみんな英語で話してくれましたが、会社のミーティングやランチはやっぱりデンマーク語。言葉の端々でも聞き取れていれば、もっとコミュニケーションに参加でき、いろいろなことを学べた気がします。

これから留学へ行く人へのメッセージ

インターンシップはやっぱりオススメです。様々な世代の人と出会い、「現地の一般の人らしい」生活を送れたという点でも、実務的に日本への展開を考えられるようになった点でも個人的には大満足です。是非、留学計画の一部に組み入れることを検討してみてください。