留学大図鑑 留学大図鑑

イシモト

出身・在学高校:
徳島県立城南高等学校
出身・在学校:
徳島大学
出身・在学学部学科:
創成科学研究科 理工学専攻 応用化学システムコ-ス
在籍企業・組織:
鉄鋼業界


最終更新日:2023年05月02日 初回執筆日:2023年05月02日

溶液のシミュレーションと技術者の素養

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • 国立台湾科技大学
  • 台湾
  • 台北
留学期間:
2か月半
総費用:
420,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 390,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル<TOEIC500> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

国立台湾科技大学の研究室で2か月と1週間過ごし、PHREEQCというソフトウェアの使い方を学びました。PHREEQCでは溶液の平衡状態の計算ができます。溶液の温度や濃度を変化させて、どのようなときにどの程度どんな沈殿が発生するかのデータを集めました。
最後の1週間は弁理士事務所でインターンを行いました。弁理士とは知的財産(特許権や商標権など)を扱う職業です。私は大学院修了後には就職し、技術開発等を行う立場となるため、特許権の範囲や申請方法などの技術者として知っておくべきことを学びました。インターン先の所長は日本語も上手で、所内には日本人も在籍しており、日本と台湾さらにアメリカの知財に関する法律の相違点も追いながら学びました。

留学の動機

私が留学を考えたきっかけは、研究室の教授から「留学とか興味ないか?」と言われたことです。それまで留学について特に考えたことはなかったのですが、就職をして社会人になると何カ月も海外で暮らすという経験はできなくなるため、せっかくのチャンスだしやってみようということで留学を決意しました。

成果

PHREEQCを用いた実験を何度も行い、多くのデータを入手しました。それらを処理することで法則を見つけ出し、修士論文を書くことができました。論文にまとめた内容はこれからの実験の方針を立てるためにも役に立ちました。
インターンは技術者としての素養が身に付いたため、これからの人生に大きな影響を及ばす経験となりました。また、技術者から弁理士になるという新たな将来の可能性も知ることができました。

ついた力

表現力

台湾で英語を使えるのは若い世代がほとんどであり、町中で買い物をしているとき、店員の方は台湾の言葉しか使えないことが多いです。そのため、留学を始めてすぐは生活に不自由さを感じました。しかし、何かを伝えたいときは必ず来ます。
そのときは、微妙なニュアンスは表情や身振り手振りで伝えました。伝わったときは嬉しく、積極的に関わる事で最後の方には台湾の言葉も少し覚え、楽しい体験になりました。

今後の展望

私は幸運なことに、現在の研究分野に近い会社へ就職できることになりました。研究ができるかどうかは配属にもよりますが、研究職に配属されれば留学で得た技術と知識を生かして仕事に取り組みたいです。しかし、留学をして思ってたよりも世界は広いと気づいたため、世界を見て回るようなこともしたいと考えています。留学は私に将来の広い可能性を見せてくれたため、本当に価値がありました。

留学スケジュール

2022年
10月~
2022年
12月

台湾(台北)

・国立台湾科技大学
私は徳島大学では製鉄所からの廃棄物(二次資源)からのリン回収を行っていた。石のようなその廃棄物を粉末にして酸に溶かし、そこにアルカリを添加してリンを含む沈殿を回収するという実験である。台湾ではその沈殿生成の過程をPHREEQCよって解析した。基本的に自分でインターネットを参照してPHREQCを学んだが、その前に使い方の簡単な説明やデータの整理の仕方を教えて貰うことができ、理解が速くなったため、私のしたいことに関しては1カ月で習得することができた。PHREEQCには色々な機能があるが、私は溶液の固液の平衡計算の方法だけに絞ったため1カ月で十分であった。研究室では一人でPCと向き合い、ひたすらに様々な条件を試した。研究室は産業廃棄物からの資源の回収の研究を行っており、様々な実験が行われていた。週に一度研究室のミーティングがあり、そこではそれぞれの1週間の研究成果を聞くのだが、ここでは知らない技術や知らなかった環境問題を知る経験にもなった。

・私生活
住んでいたのは地下鉄で20分くらいの駅周辺である。台湾の交通機関は安全で安く、大学までの往復で270円であった(当時:1NTD≒4.5円)。宿はAirBnBで予約し、そこではホストと私と他3名の留学生と共同生活をした。せっかく留学に来たのでみんなと一緒にお酒を飲み、映画を見て楽しんだ。それぞれが友達を呼びホームパーティも頻繁に開いていた。
食事については、朝はコンビニでおにぎりを食べた。コンビニはセブンイレブンもファミリーマートもあり、商品の内容は台湾のものが多いが、日本のものも普通に売っており、特に困ることはなかった。昼は、学校の食堂を利用した。食堂は1食350~450円の値段帯で利用でき非常に安かった。台湾名物のタピオカドリンクも700 mLくらい入って150円程度であった。タピオカドリンクには多くの種類があり氷の量や砂糖の量も選べるが、私のオススメは烏龍ミルクティの微糖微氷で、研究の合間によく飲んでいた。夜は大学周辺の夜市やお店で食べたり、家の周辺のお店で食べた。台湾には多くの美味しいものがあったが、特に気に入ったのは大学の前の水煎包と家の近くの屋台の大鶏排である。
また、交通機関が安価にりようできるため、秋から冬にかけては雨が多いが、週末晴れの日を見つけてはあちこちへ旅行した。台北は広く観光地は多くあり暇することはなかった。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

45,000 円

生活費:月額

60,000 円

項目:宿代,航空券往復,感染拡大防止措置隔離ホテル,食費,交通費

360,000 円

淡水区。昼でも夜でも綺麗な港町。
「葱爆牛肉」をテイクアウト。米は袋に入れてくれる。
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

45,000 円

生活費:月額

60,000 円

項目:宿代,航空券往復,感染拡大防止措置隔離ホテル,食費,交通費

360,000 円

2022年
12月~
2022年
12月

台湾(台北)

私は大学での研究留学の後、台北市内にある弁理士事務所にインターンを行った。所長も所属する弁理士の方たちも非常に優しく、インターンは座学中心で行われ、それは法律についての講義であり、特許などは外国との関係もあるため複雑な事情が絡み合っており、理解することは難しかった。しかし、どんな質問も優しく答えて下さり、日本語も使えたため疑問が浮かぶ度に解決する実りのあるインターンとなった。ご飯に連れて行っていただく機会もあり、台湾の企業で働くとどういう風な生活になるのかを体験することもできた。日本の特許庁のホームページには特許を受けた技術が公開されており、日本の最新技術を自由に誰でも見ることができるというのも驚いたところである。特許とは技術の発展に寄与する仕組みであり、技術を公開することでその手法を広めて技術の水準を上げ、その代わりに利益を守るものである、という基本的な考え方が存在する。そういった特許の存在の意味や仕組みを知ることで、私がこれから技術開発を行うモチベーションも上がった。
学校では教えて貰わなかったことばかりであり、理系の学校ではこういった法律などについても学ぶべきであると感じた。自分の世界の広がりを感じたためインターンを行って良かったと強く感じている。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

9,000 円

生活費:月額

30,000 円

項目:宿代,交通費,お土産代

60,000 円

排骨飯をご馳走になりました。
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

9,000 円

生活費:月額

30,000 円

項目:宿代,交通費,お土産代

60,000 円

スペシャルエピソード

就活にも効いた!留学経験

宿の近くで買い物をしていると、ヤンチャな見た目の若者に「Where are you from?」と声を掛けられ、「Japan」と答えると、「oh~,日本人(リーベンレン)」と中国語で返され、そのまま中国語(台湾語)で長いこと話された。私は台湾語は非常に簡単な言葉しか知らなかったためほとんど理解できなかったが、しばらく聞いてる内にナルトやドラケンのアニメキャラの名前が登場し、アニメの話をされていることが分かり、私が「oh~, I like Naruto too」と言うと、「ほんとに?」みたいなことを言われ、そのまま続けて台湾語で長く話された。何を言っているのかあまり分からないまま、私は笑顔で頷き聞いていると、相手は笑顔になってまた話を続けた。やがてその人の友人が現れ、「もう行くよ」みたいなことを言って去って行った。正確なことは分からないものの、「日本のアニメにどっぷりハマっていて、日本に行きたい」というようなことを言っていた。情熱だけで私に物を伝えて、私もその気持ちを理解できたというのは面白く刺激的な体験になり、人に何かを伝えようとするときは、伝えたいという気持ちが一番必要なモノであると改めて感じることができた。

情熱的に話しかけられたスーパーマーケット

質問先を作ろう!

  • 事前準備 : 渡航手配(VISA、保険、持ち物など)

コロナによる渡航規制の関係で必要な書類が多く、自分の大学からもらう書類、留学先の大学からもらう書類、台湾の文部科学省のようなところの発行する書類、大使館(台湾は厳密には大使館ではない)のサイトにある書類など多くの書類を準備する必要がありました。
書類を準備する中で、VISAには種類が多く、自分がどのVISAで申請すればいいか、どういったことを証明する書類が必要なのか、直筆なのか印刷でいいのか、などの多くの質問が浮かびました。
こうした質問が浮かんだときにするべきことは、まず、誰に質問すれば分かるのかを考えることです。次に、どのように質問するのかを考えることです。
・誰に質問するか
親が海外出張の多い人なら良いですが、身近に知っている人が少ない場合質問する先には困るものです。でも、気軽に聞けるところに答えが無い場合は、質問できる先を作っておくことが大事です。私の場合は、自分の大学の国際課の方と、留学先の大学の国際課の方でした。それでも分からない場合、大使館に直接電話をかけました。
分からないことは、早めに「分からない」ということが重要で、簡単なことでも恥ずかしがらずに質問しました。そうすることでスムーズに留学準備が進みました。
・どう質問するか
質問をするときに「VISAってどれがいいんですか?」などと具体性のない不躾な質問をすると、欲しい答えが返ってきません。自分の留学の期間や内容も伝えた上で質問をする必要があります。電話をかける前に聞きたいことをまとめて、自分の留学計画と期間も分かりやすく伝えられるようにまとめておきましょう。

留学前にやっておけばよかったこと

マジックなどの言葉の要らない一芸があると、英語が上手くなくても距離が縮まる感じがします。他の留学生がやっており、いいなぁと思いました。

これから留学へ行く人へのメッセージ

長期間の海外に滞在できるチャンスは少ないものです。そこではできるだけ多くの人と関わると良いと思います。多くの人と関わると、自分探しや自己の確立ができます。人と考えを共有し、違うなと思う部分を全体からそぎ落としたものが自分です。全く異なる文化や価値観は、それだけ多くの違う部分を見つけることに役立ちます。全力で楽しんで来てください。