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高橋陽太

出身・在学高校:
国立群馬工業高等専門学校
出身・在学校:
国立群馬工業高等専門学校
出身・在学学部学科:
電子メディア工学科
在籍企業・組織:

群馬高専の学科5年のとき、オランダへ留学しました高橋です!
高専時代はロボット研究会に所属し、高専ロボコンに出場していました!
自身の研究分野である「核融合発電」や趣味の「回路設計」などには人より精通していると思いますので、そのような点で質問があれば気軽に連絡ください!


最終更新日:2023年05月02日 初回執筆日:2023年05月02日

地上の太陽「核融合エネルギー」を実現する

留学テーマ・分野:
海外インターンシップ
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • アイントホーフェン工科大学・応用物理学部
  • イギリス・オランダ・ドイツ・フランス
  • カルハム・アイントホーフェン・グライフスヴァルト・カダラッシ
留学期間:
2か月
総費用:
1,000,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 560,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル<TOEIC 540, TOEFL 51> 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル

留学内容

私は「核融合発電の実現」というテーマに基づき、ヨーロッパ各国にてフィールドワークや研究室での研究インターンシップ活動を行いました。具体的には、イギリスの研究機関が主催するプラズマ系サマースクールへの参加、核融合研究の中枢機関であるフランスの「ITER」とドイツの「Wendelstein7-X」の見学、オランダのアイントホーフェン工科大学における超高速可視光カメラによる計測技術の研究を実施しました。2か月という非常に短い期間での留学ではありましたが、学問としてのプラズマや計測技術を学ぶことができたとともに、核融合研究特有の国際協力性や海外の研究施設の雰囲気を実際に体験できるなど、現地に赴くことでしか体験できないことを様々経験することができました。

留学の動機

私はこの留学が初めての海外でしたので、やはり一番の動機は「海外への憧れ」でしょう。日本とは違う文化、価値観、景観などを経験することで、自分には何が見えてくるのかを知りたかったのです。テーマの「核融合発電の実現」は小学生の頃からの夢でした。「地上の太陽を作る」という壮大な計画は、当時の私の子供心をくすぐるのには十分すぎるものでした。夢を追いかけるための留学、それが私の真の留学テーマです。

成果

私はこの留学で、核融合発電の基礎研究の今や国際連携性を学ぶことができたとともに、海外と日本の真の違いや自分自身の可能性を知ることができました。特に、ITERにおける各国の連携を実際に見ることができたのは、私自身の将来設計にも大きく役立ったため、非常に大きな成果だと確信しています。また、様々な諸トラブルを経験して自身の可能性を知ることができた経験は、今でも積極的な行動を起こす源泉となっています。

ついた力

積極的行動力

留学前より、私は行動力だけは誰にも負けないと自負していました。しかし留学後、周りのトビタテ生と話をするにつれ、自身のこれまでの行動力はまだまだなのだと痛感しました。また同時に、留学中に遭遇した様々なトラブルを乗り越えた今なら、何でもできるのではないかという自信も湧いてきました。それ以降、私はどんな困難に出会っても「海外を乗り越えた自分」という自信のもと、積極的に行動できていると実感しています。

今後の展望

今後、私は留学で得た自信を胸に、夢である「核融合発電の実現」に向け、より一層の努力と行動をしていきます。具体的には、核融合発電の研究者となり、再びITERに足を運びたいと考えています。例えどんなに道が外れても自分の選択に悔いは残さない、留学前は無理だと考えていた自身の夢に一歩でも近づけるよう、自分を信じてこれからも邁進していきます!

留学スケジュール

2021年
9月~
2021年
9月

イギリス(カルハム)

世界的な核融合研究機関であるイギリスのCCFE(Culham Centre for Fusion Energy)が主催するプラズマサマースクールに参加しました。このサマースクールでは、電磁流体力学や炉工学など、核融合分野における様々な分野の学問を学ぶことができ、高専にて学んだことも活かしながら核融合分野の幅広い知識を習得することができました。しかしながら、新型コロナウイルスの影響による渡航制限により、オンライン上での参加となってしまったため、サマースクールの醍醐味である現地留学生との交流やCCFEの持つ様々な施設見学(JETなど)はできませんでした。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

現地で製造されているITER用のコイル(画像がないため代用)
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2022年
10月~
2022年
10月

ドイツ・フランス(グライフスヴァルト・カダラッシュ)

核融合研究で世界トップクラスの研究施設である、フランスのITER及びドイツのWendelstein7-Xを見学しました。まず、フランスのITERは研究施設であるとともに世界最大の国際プロジェクトの1つです。日本を含む世界7つの国と地域共同体がともに協力し合い建設される核融合実験炉であり、部品や資金、人材が各国から提供され、現在まさに建設途中にある実験炉になります。ここでは、現在最も主流な核融合の制御手法である「トカマク型」についての知見を得たとともに、「国際協力」というものを自身の肌で感じる経験を積むことができました。具体的には、国旗が貼ってあるなど、研究設備などにおける製造国などの主張は激しいものであり、食堂には毎日様々な国や地域の料理が置いてあるなど、至る所で国際多様性を感じることができました。さらに、国際協力がゆえに国民性の違いや部品提供の遅延からプロジェクトの進行に支障が出ることもあるなどのエピソードを聞くことができ、国際協力の課題も知ることができました。また、多くの国籍の人々が働いている中で働く日本人の様子を実際に見ることができ、素直にかっこいいと思えるような憧れを強く抱くことができました。続いて、ドイツのWendelstein7-Xは、核融合発電の制御手法の1つである「ヘリカル型」の核融合実験炉であり、マックスプランクプラズマ物理学研究所が保有しています。ヘリカル型の実験炉としては世界でも最大級であり、現在はヘリカル型核融合炉の長期運転の実現に向け、各主要部品の評価のために使用されています。実際の見学を通して、ガイドしてくださった方からWendelstein7-Xに関する歴史(かかった費用や何度も作り変えられていることなど)や他の炉に対するWendelstein7-Xのメリット・デメリット(ITERなどに比べて持続運転がしやすいことなど)を伺うことができ、また実際の実験風景なども見ることもできました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

ITERのトロイダルコイルとの記念撮影
世界最大級のヘリカル型実験炉「Wendelstein7-X」
世界最大の国際プロジェクト「ITER」
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2022年
10月~
2022年
11月

オランダ(アイントホーフェン)

オランダのアイントホーフェン工科大学の研究室で、博士学生の研究の手伝いを通じて様々な経験を積ませていただくという研究室インターンシップを実施しました。具体的には「様々な種類のガス内における放電現象のCCDカメラによる解明」「CCDカメラによる材料に印加された電圧の新しい測定方法の確立」の2つの研究に従事し、尽力させていただきました。このインターンシップを通して、核融合発電における主要な計測技術である「CCDカメラ」による様々な計測手法を学ぶことができ、またCCDカメラにより得られた実験データのPythonやMatlabを用いた解析技術も学びました。さらに、ここで体得したCCDカメラによる計測手法やPythonのデータ解析技術を卒業研究にて応用することで、卒業研究の成果をさらに充実したものにでき、経験値をより多く獲得することができました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

同じ学部の他の学生との交流会
アイントホーフェン工科大学
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

私は留学中、フランスの超大型国際核融合炉ITERを見学しましたが、ここにたどり着くまでに本当に様々なことがありました。まず第一に、初めITER機構の見学募集に間に合わず、見学ができない危機に見舞われました。当時はコロナ禍ということもあり、留学計画が練りづらかった事情もありますが、申し込みをした段階で既にその年の見学枠は空いておらず、留学計画が半ば白紙となりました。しかしその後、日本におけるITERの窓口であるQSTの職員の方々のご協力もあり、特別に枠を設けていただけることになりました。そして留学当日!いざITERへ!と思った矢先、私はあろうことか渡航先でスマホをすられてしまいました。わけあって当時オランダからのスタートだった私にとって、電車の予約券、連絡手段、マップなどが全て詰まったスマホがなくなるというのは死を意味していました。しかし、私は諦めませんでした。絶対にITERにたどり着いてやる!そう決心した私は、スマホを買い、フランスまで予約の必要のない在来線を使って移動することにしました。慣れない海外での鉄道、ここでも私は様々な困難を経験しました。しかし、そんな私を救ってくれたのは現地の方々でした。英語力の乏しい私に対しても親切に接して下さり、当時の私は本当に勇気づけられました。私が今、無事にITERの思い出を語れるのはそういった方々のご協力のおかげです!ありがとうございました!

在来線でオランダからフランスに移動している時に撮影した写真

留学先機関探しは教授を頼れ!

  • 留学先探し : 大学

多くの場合、留学先機関は大学の交換留学プログラムを使用する等で既に決まっているかもしれませんが、私のように自分で一から留学先を見つけなければならない人もいるかと思います。そのような人向けに、私がどのように留学先機関を見つけたのかを書かせていただければと思います。その方法とは、ずばり「大学や高専の教授に頼る」!所属する大学や高専に赴任されている教授の中には、自分の興味がある分野について研究されている教授もいらっしゃることでしょう。教授の人脈は本当に幅広いですので、相談すればきっとよい留学先機関を斡旋してくれることでしょう!私のようにただの一学生にとっては、留学先機関探しは本当に困難を極めると思います。困ったときはぜひ周りの人に頼ってみてください。きっと、少しでも道は開けると思います!

留学前にやっておけばよかったこと

私が思う留学前に実施しておけばよかったことは、ずばり「一人暮らしの経験」です。特に私は留学中民泊を利用して一人暮らしをしていましたが、それまで一人暮らしをしたことはなかったため、一人暮らしのいろいろを海外で学ぶ必要がありました。料理に洗濯、買い出しなどを海外の慣れない環境で会得する必要があり、非常にきつかった思い出があります。そのため、一人暮らしで必要な知識を日本で積んでから海外留学しましょう!

留学を勧める・勧めない理由

私は、「トラブルに遭遇する」という点で日本国民の全員に海外留学をオススメしたいです!私はこの留学を通じて様々なトラブルを経験しました。その中で、私は私自身の見知らぬ「強さ」を知ることができました。自分は実はすごいんだぞ!ということを知っているだけで、人間生きる意味を見出せます。人生は辛いことも多々あるかとは思いますが、そのようなときは一度海外に行ってみてはいかがでしょうか?

これから留学へ行く人へのメッセージ

海外留学に行くと、死にたくなるようなトラブルに何度も遭遇することになると思います。しかし、そのようなときは自分が今なぜ海外にいるのかを説いてみてください。海外に行きたいと思ったあなたなりの理由があると思います。そのためにきっと死ぬほど努力をしたあなたがいると思います。そんな自分を信じて、トラブルに全力で立ち向かってみてください。その経験こそがあなたにとって宝物になるはずです!