留学大図鑑 留学大図鑑

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出身・在学高校:
埼玉県立川越高等学校
出身・在学校:
慶應義塾大学
出身・在学学部学科:
理工学研究科
在籍企業・組織:

主にヨーロッパへの留学に関して、答えられる範囲で相談に乗ります!


最終更新日:2023年04月11日 初回執筆日:2023年04月11日

ドイツで参加型建築の理論と実践の研究

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • シュトゥットガルト大学 建築学科 建築史研究所
  • ドイツ
  • シュトゥットガルト
留学期間:
12か月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 2,200,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
ドイツ語 挨拶など基本的な会話ができるレベル<B1> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<B2>

留学内容

ドイツ滞在の1年で大きく2つのことをしました。
① 参加型建築の理論と実践に関する研究
シュトゥットガルト大学の学生寮『バウホイズレ』について住み込みで研究しました。これは1982年に、建築学科の学生と教授陣が参加型で建設した学生寮で、ヨーロッパの参加型建築の代表的事例の1つです。当時の教授の下でインターンシップもしながら、徹底的に調査しました。ちょうど40周年の記念年だったので、イベントの一環として学生達と参加型でパビリオンの施工もしました。これら結果をシュトゥットガルト大学での展示会や修士論文としてまとめました。今は成果を全世界へ発信するべく、出版準備中です....!
② 日本とドイツ(欧州)のオリエンテーリング競技の比較
自分が幼いころから取り組んできたオリエンテーリングというスポーツの国際比較を目的として、週末はヨーロッパ各地の大会や練習会に参加しました。地元のオリエンテーリングクラブに加入し、クラブ員の人と車でドイツ/ヨーロッパ各地の大会・練習会に参加しました。日本代表としてワールドカップ@エストニアに出場することもできました。成果はNoteや、日本のナショナルチーム向けのイベントで発信しています。今は、この活動中に出会ったオリエンテーリングの技術書の翻訳作業を進めています。

留学の動機

気になったものを正しく理解するためには、内側に入り込むしかないと考えたこと、気になったものを理解するツール(=言語)をある程度身に着けていたこと、そしてそれを支援してくれる存在が確保できたことが決心のきっかけでした。これは研究対象の学生寮についても、オリエンテーリングについても言えることです。好奇心と言語とバックアップが、留学遂行を後押ししてくれました。

成果

ドイツでは「本音」と「余暇」を大切にすることを学びました。お世話になった建築設計事務所では、「この仕事から、お前が得たいものは何か」と事あるごとに質問され、自分の「やりたいこと」「得たいもの」と向き合う毎日でした。その中で次第に、自分自身の将来像も形成されていきました。また、彼らの余暇の過ごし方に触れるにつれ、人生における「けじめ」としての「余暇」の在り方を考えるようになりました。

ついた力

生きる力

短い滞在期間をフルに活用しながら、忙しなく、時にゆったりしながら1年間を過ごしました。ドイツを中心にヨーロッパの色々な都市を回り、多種多様な「人」「都市」「空気」に触れるにつれて、日本で生活していた時には見えていなかった「自己」像と出会うことが出来ました。自分とは異なる「他者」を通して「自己」を発見し、それを1年かけてじっくりと分析できたことで、自分自身で「生きる」力が身に着いたと思います。

今後の展望

テーマに沿って、近い将来で実現したいことは3つあります。
① 今回の研究で明らかにした内容を日・独・英の3か国語でフォトブックとして出版する
② 1年間の滞在中にできたネットワークを基に、同分野の研究活動を継続する
③ 日本オリエンテーリング界の「高度化」に貢献するべく、ドイツ滞在中のノウハウを合宿運営や出版の形でアウトプットする

留学スケジュール

2021年
9月~
2022年
9月

ドイツ(シュトゥットガルト)

①フリームーバーとしてシュトゥットガルト大学建築学科の建築史学研究所に在籍していました。②大学の授業を受けながら研究対象の学生寮「バウホイズレ」にも滞在し、生活を通して研究を進めました。③また週2回、シュトゥットガルト郊外にある建築設計事務所でインターンシップをしていました。インターンシップ先も研究対象の学生寮建設に40年前に携わっていた事務所でした。そこでは参加型デザインの手法により新築幼稚園の基本設計を担当し確認申請用図面の作成まで携わりました。④休日は、地元のオリエンテーリングクラブに所属し、クラブ員としてドイツ/欧州各地の大会・練習会・イベントに参加しました。家族のように迎え入れてくれて、留学中に大変なことがあった時、その拠り所となっていました。最終的にはドイツ選手権スプリントリレー競技で4位の結果を残すことができ、クラブに恩返しできたのが良かったです。

費用詳細

学費:納入総額

300,000 円

住居費:月額

36,000 円

生活費:月額

50,000 円

バウホイズレでパビリオンの建設
インターン先ではランチを毎日、自分達で作る
Baden Württembergische Meister
費用詳細

学費:納入総額

300,000 円

住居費:月額

36,000 円

生活費:月額

50,000 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

【ドイツ人の食文化】
学生寮での食事、インターン先でのランチなど、自分たちで料理を作る機会がたくさんありました。ドイツと言えばビール、ソーセージ、ジャガイモ、、、、そんなイメージでしたが、一緒に生活した若者にはヴィーガン・ベジタリアンの人が多く、そういう料理を作る機会がたくさんありました。話を聞くと健康志向というよりは環境志向が強い印象でした。でもそれは特別なことではなく、スーパーに行けば簡単にヴィーガン用食品やBIO食品が買えます。値段もそんなに高くない。それからフランスとの国境、ライン川~モーゼル川の周りはワインの生産が盛んでした。シュトゥットガルト留学中は、「ワイン > ビール」「ベジタリアン > 肉」そんな感じの食生活でした。

バウホイズレで寿司パーティ(日本食はベジタリアンにも人気!)

受入大学探しについて

  • 留学先探し : 大学

自分の場合、研究対象の学生寮がある大学と日本の所属大学が交換協定を結んでいなかったため、大学探しに苦労しました。ドイツの所謂「フリームーバー」制度を利用して留学しました。ディグリーは貰えませんが、受け入れてくださる指導教員を自力で見つければ、1年までドイツの大学に留学出来ます。ドイツの大学は授業料が基本的に無料(!)なので、おすすめの制度です。ただし、受入教員探しには苦労しました。シュトゥットガルト大学・建築学科の教授陣に自己アピールのメールを送る毎日。。。なかなか良い返事は得られません。しかしそんな時、趣向を変えて「ドイツ語」でメールを送った教授から、好意的な返事が!そのまま話が進んで、受け入れて頂くことができました。この時だけに限りませんが「言語」の大切さを感じる場面がたくさんありました。「郷に入っては郷に従え」 カタコトでも母語を話せると、外国人でも親近感を持って接してもらえる。そんなことを身に染みて感じる毎日でした。

シュトゥットガルト大学: カッコいい60~70年代の建築群

これから留学へ行く人へのメッセージ

言葉には出来ないくらいの濃い1年間を過ごすことができました。簡単なことだけでなく、大変なこともたくさんありましたが、今となっては良い思い出で、自身の成長を強く感じます。コロナ禍でも日本から飛び出す決断をして本当に良かったです。自分のしてきたことを振り返った時、「言い訳」ではなく「意味付け」が出来るように。止まって悩むくらいなら、歩きながら悩むほうが、人生面白くなる気がしませんか?