留学大図鑑 留学大図鑑

石田光南

出身・在学高校:
岐阜県立恵那高校理数科
出身・在学校:
琉球大学、東北大学
出身・在学学部学科:
農学部(琉球大学)、生命科学研究科(東北大学)
在籍企業・組織:


最終更新日:2023年01月10日 初回執筆日:2023年01月10日

二度目の留学は博士課程正規留学

留学テーマ・分野:
大学院進学(修士号・博士号取得)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • University of Cambridge, Department of Biochemistry (ケンブリッジ大学生化学科)
  • イギリス
  • ケンブリッジ
留学期間:
4年
総費用:
30,000,000円 ・ 奨学金あり
  • 孫正義育英財団 20,000,000円
  • 重田教育財団 5,000,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<IELTS 7.0> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

私はトビタテ4期生として、2016年から2017年にかけてミシガン州立大学へ留学させてもらいました。
当時は学部3-4年生で研究のことは初歩の初歩しか分かりませんでしたが、この留学が「言語のハンデはどうにでもなる」「やっていることも日本の大学で学んでいることと大きくは変わらない」「研究環境は海外の方がいいし、何より身の回りの一つ一つが新鮮だから海外大学院へ進学したい!」と思うきっかけになりました。
その後、準備に3年ほどの時間がかかりましたが、2020年10月より現所属にて博士課程生活を送っています。
私の留学のユニークな点は家族同伴でイギリス生活を送っていることです。
修士課程のうちに結婚し、その後娘も産まれたため、家族3人でイギリス生活を楽しんでいます。
トップレベルの環境で研究についていくだけでも大変なので、子育てとの両立は多忙を極めますが、妻や周囲の方々の献身的な支えにより、なんとか生活が回っています。

留学の動機

留学の経緯や体験談については過去にいくつかご紹介させていただいているので、そちらの情報をご参照ください(https://www.uja-info.org/post/_t004)。正規留学は準備に時間を要しますが、ビジターでない立場で学ぶことで、本当の意味での国際化が果たせるのがメリットです。

成果

もうすぐ博士課程1年目が終わるところです。英語でのコミュニケーションが問題なくなったことに加え、やはり世界をリードするラボで学ぶことで、関連分野の学びが深まりました。コロナ禍で研究室へのアクセスが制限される時期もありましたが、それも過ぎ去り今ではコロナ禍以前と同様に研究ができています。

ついた力

世界基準で考える力

凡人が良い研究をできるようになるためには、一流の研究やその研究を行う研究者の考え方に触れ続けるしかないと思っています。幸いにも私の周りにはスーパースターのような研究者が沢山いるので、様々なことを学ばせてもらっています。結果的に、彼らが求める基準(世界トップレベル)を自らにも課すことができているような気がします。

今後の展望

自分の今の状況は支えてくれる周りの方々全てによって作られており、自身の努力は構成要素の5%以下だと思っています。間違っても奢ることなく、謙虚に研究を積み重ねていければそれで幸せです。その先に研究者としての独立(PIになる)があれば最高な人生だと思います。

留学スケジュール

2020年
10月~
2024年
9月

イギリス(ケンブリッジ)

大学院博士課程にて正規留学

費用詳細

学費:納入総額

15,000,000 円

住居費:月額

170,000 円

生活費:月額

150,000 円

国際学会での受賞記念
費用詳細

学費:納入総額

15,000,000 円

住居費:月額

170,000 円

生活費:月額

150,000 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

留学中の話ではないのですが、留学に向けて支援をしてくださった日本の大学の先生方には、感謝してもしきれません。
特に修士2年次の指導教員(田中先生)には、奨学金獲得に向けて何度も推薦状を書いていただきました。
精神的なサポートも随分としていただきました。
私がIELTSのスコアが全然取れないために英語の勉強が必要になった際には、それを優先することも認めてくださいました。
ちなみに結婚の際の見届け人も先生ご夫妻に務めていただくことができました。
もうすぐ当時の研究が論文になりそうなので、せめてもの恩返しができていれば幸いです。

修士課程の修了式

奨学金を獲得する

  • 費用 : 費用準備

正規留学の最大の難しさは留学資金の準備です。博士課程ではラボや所属学科からそれらの費用がサポートされる国が多いですが、イギリスではそうなっている場合は少数です。しかし、自己資金で博士課程生活を送る学生もほぼおらず、基本的にはなんらかの奨学金を取っています。私の周囲ではBBSRC, Gates foundation, AstraZenecaの奨学金を取っている学生が多いです。自身のケースでは日本国内の財団より支援を受けることができています。奨学金取得のコツは、第一に「一貫した目標を持って行動できているか」、第二に「十分な業績があるか」です。トビタテに採択されている方であれば改めて言う必要はないと思いますが、誰が読んでも納得できる(応援したくなる)志望理由書を書くことは非常に重要です。大学院正規課程のレベルになると実現可能性(研究能力)を求められることも多いので、その上で論文や国際会議などの経験を充実させることも大切です。ちなみに私は修士課程までで論文0(投稿中1)、国内学会5くらいのボロボロの業績でした。博士課程正規留学を目指すのであれば、学部の早いうちから研究を始め、修士までの数年間でまとまった成果を残すことは戦略としてはありだと思います。私は学部・修士1年・修士2年とラボを変え続けてきたので、全く偉そうなことは言えません。

留学前にやっておけばよかったこと

とにかく英語の試験対策は早めにやりましょう。私はIELTS 7,0を取るまでに13回の受験を必要としました。期間にして1年半くらいです。最後はフィリピン留学まで使って、どうにか目標点を取得しました。

留学を勧める・勧めない理由

どちらでもないです。私のケースでは、挑戦の過程で得られるものが大きな自信に繋がりました。ただし、海外生活への適応力や、価値観は人それぞれなので、その人の考え方によるところが大きいです。

これから留学へ行く人へのメッセージ

今は正規留学に関する情報が日本語で手に入るので、やろうと思えば環境にかかわらず誰でも挑戦できます。行くことが目標になってはいけませんが、その先の目標を叶えるために最適な手段が留学であるならば、挑戦する価値は大いにあると思います。留学が実現した人、しなかった人の差は紙一重です。運かもしれませんし、諦めなかっただけかもしれません。だからこそ、でき得る限りの最大の準備をして、留学に挑戦してみてください。