留学大図鑑 留学大図鑑

大園 咲奈

出身・在学高校:
福岡県立小倉高等学校
出身・在学校:
九州大学
出身・在学学部学科:
理学部地球惑星科学科
在籍企業・組織:

留学に関しては長期・短期を問わず経験があります。instagramでは留学中や留学後に感じたことを主に発信しており、facebookでは上記にプラスして現在取り組んでいることや目標を逐一発信しています。トビタテや留学に関して発信することでもっと留学に興味や勇気を持てる人が増えればと思っているので、悩んでいる人は是非どちらのアカウントからでもご相談ください。


最終更新日:2021年05月12日 初回執筆日:2021年05月12日

地震予知を通して日本の防災科学を世界一に

留学テーマ・分野:
大学生:交換・認定留学(日本の大学に在籍しながら現地単位取得を伴う留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • 北アリゾナ大学理学部天文学科
  • アメリカ合衆国
  • フラッグスタッフ
留学期間:
6ヶ月半
総費用:
1,500,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,210,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<iELTS6.0> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

日本で専攻している無機分析という分析法を応用して地震予知を実現するために、7ヶ月間の研究留学を行いました。
留学の前半では専攻の授業やフィールドワークを含む英語の授業を履修し、後半では授業と並行して3ヶ月間の共同研究を行いました。留学の具体的な目標は、研究対象の分析器の設備が整っていてかつ最先端の研究を行っている研究室の共同研究に参加することで、世界の研究者と肩を並べて研究ができるようになるための技術を学ぶことです。具体的な研究活動は主に、研究室でメインで扱っていた研究テーマの検証・考察、先生や研究室の学生とのディスカッションがあります。研究技術や知識はもちろん、現地の学生との研究活動を通して協力して研究をやり抜く力、国際的な環境の中で助け、助けられるコミュニケーションを学びました。
日本人として留学を通して身につけた国際性の意義についても身を持って考える機会となり、留学を通して一人の人間として大切なことを学んだと感じています。

留学の動機

留学の動機は、自分の将来に「世界」という選択肢を持つ準備がしたかったことです。その手段の一つとして、日本の大学で専攻している分析法を産業化する方法を学ぶ道を選びました。

成果

研究ももちろんですが、何よりも私は一人の人間として大切なことを学べたと感じています。外国人として海外に身を置くとはどういうことかを痛感すると同時に、自分の常識という範疇を超えた価値観に多く触れ、日本人である自分の思考や生き方のルーツを考える機会を得ることができました。またそういった国際性を身につけつつ自分にしかない魅力や生き方を自覚し、新たな興味や選択肢を持つことができました。

ついた力

自分を信じる力

世界には日本の「常識」や「当たり前」はありません。その中で自分にしかない日本人というバックグラウンドの上で生まれるコミュニケーションや考え方があること、それに対し好感を持つ人がいればそうでない人もいることを経験しました。そういった経験を通して自分にしかできない世界の繋ぎ方があることを認識し、国籍関係なく自分と相手の違いを認める姿勢、自分を信じ自信を持って表現する強さと力を得ました。

今後の展望

留学を終えた今、寛大で中立な日本の国民性は、世界中の人々を繋ぐ無限の可能性があるのではないかと考えています。一方自国の外の環境で自分を表現することに慣れていない人が多い日本で、留学を通して身につけた国際性と日本人としての国民性を生かして、日本と世界を繋げられるプロフェッショナル(専門を極めた人材)になれたらと思っています。

留学スケジュール

2019年
8月~
2020年
3月

アメリカ合衆国(フラッグスタッフ)

前期には地学の研究型の授業を履修し、日本の大学では扱わなかったアプローチ手法や各地学分析法の専門知識について学ぶことができました。
また前期後期で英語での発信力やプレゼン力を学ぶため、ネイティブ向けの英語と人類学の授業を取りました。英語の授業では、プレゼン力や意見を述べる姿勢、レターやレジュメの書き方を学び、実際に研究室やインターンシップ先を探す時に役立ちました。人類学の授業には約20の国籍の生徒が集まっており、常識の通じない環境で多角的視点を学び、国際的な環境で柔軟に意見を述べる力を身につけました。
課外活動としてボランティアや日本文化を発信するイベントの主催(日本食や習字などの日本文化の発信)、合唱クラブとブロードウェイサークルへの参加を行いました。留学生や日本文化に興味のある学生の他、あまり留学生と関わりを持ったことのなかった現地の学生との交流もあり、価値観が広がりました。

費用詳細

学費:納入総額

200,000 円

住居費:月額

100,000 円

生活費:月額

60,000 円

項目:学費、住居費、生活費、交通費

1,500,000 円

留学先近くのモニュメントバレー
ルームメイトと共に受けたスノボの授業 
費用詳細

学費:納入総額

200,000 円

住居費:月額

100,000 円

生活費:月額

60,000 円

項目:学費、住居費、生活費、交通費

1,500,000 円

2020年
1月~
2020年
3月

アメリカ合衆国(フラッグスタッフ)

隕石の分析が専門の北アリゾナ大学の研究室で、3か月間の共同研究に参加しました。付近は地学の研究対象となる地理的環境が整っており、火山を生で観察する機会や研究の手伝いをさせてもらえる機会など、実践的な研究機会が多くあり、日本で学べない天文・地理分野の学修経験をしました。研究設備に関しても、分析器や研究に必要な部品を作るための工場など、全てスケールが大きく、衝撃を受けました。また研究を通して、専攻の先生方と多くコネクションを形成できました。
研究室はアメリカ人の学生が多かったため、理解や表現には時間がかかり苦労することも少なくなかったですが、教授含め研究室メンバーはアドバイスや指導を積極的に行って下さいました。日本の研究との違いに触れながら世界での研究者としてのあり方や、アカデミック領域における国際性を学びました。また泥臭く努力をする場面も多く、達成感の大きい経験になったと感じています。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

100,000 円

生活費:月額

60,000 円

項目:

350,000 円

研究室内の研究設備の一部
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

100,000 円

生活費:月額

60,000 円

項目:

350,000 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

冬休み中、バス下車直後にパスポートと財布の入ったポーチを引ったくられるという事件に巻き込まれる経験がありました。パスポート再発行のためにサンフランシスコに行くという事態になったのですが、その間現地の友人たちがお金を貸してくれたり、領事館までの移動を手伝ったりしてくれました。ポーチを盗られた経験は災難でしたが、そういった一番大変な時に助けてくれた友人たちのおかげで、パスポート再発行のための旅行は忘れられない思い出になりました。こういった経験の中でできた絆は大きなものですし、今でも時々連絡を取る大切な仲間を持てたことに、心の底から感謝しています。

パスポート発行申請後に行ったピア39のクリスマスツリー

アメリカで盗難にあった経験から

  • 生活 : 治安・安全

冬休み中に、パスポートと財布が入ったポーチをバス下車直後に引ったくられるという経験をしました。この失敗談から学んだ治安面での解決策を3つ提案したいと思います。
まず私が利用したのはアメリカでも有名なGreyhoundというバス会社のバスで、後で分かったことなのですがバス内部の治安があまり良くない会社でした。ネットで少し調べたり先輩など知り合いの留学経験者や地元の友人に尋ねたりするだけでもすぐにわかることだったので、交通機関を利用するときはあらかじめ治安について調査をしてから利用することをお勧めします。
2つ目に、クレジットカードは多めに持って行っておき、安全な場所に保管しておくことをお勧めします。海外では、いくら用心していても窃盗などの犯罪に巻き込まれることが起こり得ますし、身の安全が第一なので金品を盗られるという最悪の事態も想定して準備しておくことが大切です。私の場合クレジットカードを多く持っていってトラブルになってはいけないと、最低限の枚数のカードしか留学先に持っていっていませんでした。クレジットカードは国際便での郵送が不可なため、結果としてかなり大変な思いをしました。
3つ目に、パスポートを失くしたり盗られたりした時の想定をし、すぐに発行できるよう必要な書類を準備しておくことです。パスポート再発行には、戸籍謄本や顔写真など、日本にいなければすぐに準備しにくいものが必要です。発行日が半年以内のものが必要などの条件もありますが、持っていっている方が気持ち的にも安心ですし、私のように留学開始から半年経過前にトラブルに巻き込まれた際には非常に役に立ちます。

実践活動先決定に際して

  • 留学先探し : インターンシップ

コロナが蔓延しつつあったという影響から、結果として留学先の大学外部での実践活動先を見つけることは出来なかったのですが、探す過程でアメリカで有効な実践活動先を見つけるためのツールを知ることができたので、それを3つ共有したいと思います。
1つ目にIAESTE JAPANの利用です。IAESTE (イアエステ) は理系全般を専攻する学生の海外インターンシップを推進している、世界最大級のインターンシップ斡旋組織です。IAESTE利用には選考に合格する必要があるため、留学前に準備をしておく必要がありますが、自分が学びたい領域で質の高いインターンシップ先を確実に確保するためには素晴らしい手段だと思います。
2つ目にLinked-Inの利用です。Linked-Inとはアメリカ生まれのSNSで、ビジネス目的で利用されています。アメリカでは多くの人が利用しており、現地の友人の多くがLinked-Inで繋がりを持った企業の方との縁で就職先を決定していました。実際に私も、コロナ禍でなければインターンの機会を頂けたのではないかというご縁を複数、Linked-Inで持つことができました。
最後に手段を選ばずに積極的に行動することです。応募用フォームから応募に臨んでも、理系インターンの多くには「アメリカ国籍の」、や「正規の(留学生でない)学生」といった規定が多く、応募できるものは限られていました。その中でコロナ禍でなければ機会を頂けたかもしれないというご縁を頂けた方法が主に2つありました。1つは授業や研究室の教授の紹介で、もう一つは自分から電話した研究機関とfacebookのメッセンジャーでやりとりをして下さった他大学の教授の研究室です。留学生として実践活動先を見つけるという難しい状況を乗り越えるためには、正規ルート以外の道にも積極的に挑戦することが大切だと感じました。

留学前にやっておけばよかったこと

留学前にやっておけばよかったことは、留学先大学のより細かい調査です。特にネットからだけではわからないもの(入学前に必要な保険料やお金、各授業で別途授業料が発生するケースなど)もあるため、前年度その大学に留学していた先輩などとコネクションを持って細かく質問するのがいいと思います。

留学を勧める・勧めない理由

留学、特に長期留学は興味がある人には絶対に薦めたい経験です。短期留学も外の世界を見るという意味で素晴らしいものですが、長期留学には楽しさだけでない学びが詰まっています。私のように人生のターニングポイントになった、価値観に影響を与える経験になったという人は少なくなく、若いうちから留学という経験を持つことで今後の長い人生を歩む上で、選択肢に新しい道を持てる機会になると思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学をすると決まった場合は、目的・目標を明確にすることで、人生で一回しかない貴重な留学経験を最大限学びに満ちたものにして欲しいと思います。準備次第で、同じ経験でも汲み取るメッセージが違ってきます。英語の準備などはもちろんですが、何のために何をしに留学に行くのか、自分を見つめる時間を持ったり、同じ留学を志す同士を見つけたりすることに少し時間を使ってみることを勧めたいです。