留学大図鑑 留学大図鑑

宇水

出身・在学高校:
都立国立高等学校
出身・在学校:
明治大学大学院
出身・在学学部学科:
理工学研究科
在籍企業・組織:

博士後期課程在学中に1年間留学しました。学士、修士課程での留学生の方は多いと思われますが、博士での留学生は少ないように思われます。もし現在博士課程で留学を考えている方や、将来の進路の一つとして博士課程も考えている方がいましたら連絡ください。微力ですが力になれればと思います。


最終更新日:2021年01月08日 初回執筆日:2021年01月08日

自身の内面を見直せた1年間の研究留学

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • テキサス大学オースティン校(Benny D. Freeman研究室)
  • アメリカ合衆国
  • テキサス州 オースティン
留学期間:
12か月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 2,170,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 挨拶など基本的な会話ができるレベル<TOEIC730点> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEIC870点>

留学内容

私は大学院博士後期課程に在籍しており、高分子材料を用いてエネルギー問題、環境問題の解決に貢献する研究を行っていました。留学先は自身の研究領域で最先端の研究を行っているテキサス大学オースティン校のBenny. D. Freeman教授の研究室で、期間は1年間でした。留学中は研究活動を通じて自身の能力を磨くとともに、研究成果を論文化することで博士として認められる人材になることを目指しました。しかし留学の結果、期待した成果を出すことはかなわず、論文投稿に至ることはできませんでした。一方で留学を通じて得た経験から自身の軸や目指す将来像を明確化することができ、留学当初に目指した形とは別の形で日本の産業界の発展に貢献しようという思いを強く持つことができました。

留学の動機

私が留学を志すきっかけとなったのは、科学技術振興機構の交流事業である「さくらサイエンスプラン」を利用してマレーシア工科大学の先生と研究室の学生10名が私の所属研究室を訪問したことです。学生たちは私と同世代でしたが、英語が堪能で論文投稿の実績もあったことに衝撃を受けました。彼らと同じく博士を志す身として私は今のままではいられないと思い、世界トップクラスの研究機関で自身を磨こうと留学を決意しました。

成果

留学中の研究活動は研究テーマを発見するところからスタートしました。国内では馴染みのなかった装置の使用法やサンプルの作製法を習得しつつ、先行研究の調査を行い自身の研究テーマを立案、実行しました。研究外の活動として大学のイベントでのボランティア活動やBBQなども行う中で研究室のメンバーとの距離を縮めていくことができました。留学後半では自身の研究だけでなく、研究室の学生との共同研究も行いました。

ついた力

チームのために行動する力

留学前は一人前の博士という言葉に囚われ、周囲を顧みず、一人で何でもできるようになろうとしていました。しかし留学中に多くの人のお世話になったり、逆に周囲の人に協力したりする中で、自身の限界を感じるとともに、そこに拘り過ぎたことで本来目指すところを見失っていたことを痛感しました。そのため留学後は自分を中心とした考え方ではなく、チームの中での自分の在り方を考えた行動を心掛けるようになったと思いました。

今後の展望

留学で得た成果や現在の自身を取り巻く環境の変化を踏まえて検討を重ねた結果、現在の課程での博士号の取得は断念し、留学前とは異なったビジョンでのキャリアを歩んでいくことを決めました。これまでの研究を通じて科学技術の世界では海外が先に進んでいることを実感したことから、今後も海外に目を向けつつ国内の科学技術の発展に貢献できるような仕事に携わりたいと考えています。

留学スケジュール

2019年
3月~
2020年
2月

アメリカ合衆国(テキサス州オースティン)

3月:渡米、研究室到着。研究室の教授やメンバーと顔合わせ。住居を決定する。4月:研究室を使用するための安全講習会に参加。研究室の装置の見学。現在の研究室のメンバーから研究内容の紹介を受ける。5月:研究テーマを立案、メンバーと相談しつつ開始。6~8月:思うような成果が出ずにテーマ変更を決意。この辺りでは公私共に研究室のメンバーが心の支えになっていた。9月:メンバーの一人に師事し全く新しいテーマを開始する。10~12月:データ収集。留学先で得た知見を還元したいと思うようになる。国内の修士2年の論文投稿の補助を行う。1、2月:メンバーの1人から共同研究を持ち掛けていただく。後輩が論文投稿までこぎつける。研究室のボランティア活動に参加。自身の研究はデータ測定が間に合わなかったので、一部をメンバーに依頼。やり残した気持ちも残る中で帰国。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

70,000 円

生活費:月額

50,000 円

大学にて。アメフトの試合とイベントで熱狂に包まれていました。
科学祭にて。ボランティア時には国内での経験も活きました。
友人の誕生日パーティにて。用意した寿司を喜んで貰えました。
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

70,000 円

生活費:月額

50,000 円

スペシャルエピソード

留学前後での、自分の変化

研究室のメンバーと活動を共にしている中で、彼らの物事の過程を楽しもうとする姿に感銘を受けました。私が留学した当初、研究室は新キャンパスに移転してきたばかりで、毎週、少しずつ搬入した物品の整理を行っていました。整理や掃除は午前中に行い、終了後はみんなでピザを食べるのが習慣になっていました。その時、なぜピザを食べるのか研究室の年長のメンバーに質問したところ、その方が楽しいからかな?笑、と答えが返ってきたのを覚えています。何気ないやり取りではありましたが、この時に自分が物事の過程を楽しむ余裕を忘れていたことに気づかされました。ピザがあっても無くても掃除は進むけども、やるなら皆が気持ちよく取り組めるようにしようといった気持ちが、留学先のメンバーの中には無意識のうちにあったのだと思います。こういった研究室をモチベートしようとする行動は様々な場面に現れており、研究室の教授が率先してメンバーの活動意欲向上を心掛けていたことには敬服しました。このような中で自分の意識も変わっていき、仲間との連携やチームの雰囲気を意識した行動力が養われていきました。

空き時間でのメンバーの誕生日のお祝いもよく行われていました。
留学中、私も誕生日をお祝いしていただきました。

留学 = 個人の努力×周囲の後押し

  • 留学先探し : 大学院

留学するためには本人の努力も大切ですが、自身をサポートする周囲の環境が非常に重要です。例えば、高校生で留学に興味のある人がいた場合、進学する大学は留学や海外の大学、研究機関との交流に力を入れている大学が好ましいと思います。私が採択されたトビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムであれば、文部科学省が大学毎の採用実績を公表しています。そういった情報を活用することで大学の偏差値からだけでは分からない各大学の強みが分かるかもしれません。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学に限りませんが、活動を通じて色々なことを経験(インプット)したとしても、得たものを形に(アウトプット)しなければ周りの人には伝わりません。最終目標が達成できなければ何も成果のない留学だった、とならないように、最終目標以外にも段階的な達成目標を立てておけば一定の成果を持ち帰ることはできるはずです。あと、自撮りも含めて写真はこまめに撮っておきましょう。大事な記録にも話のネタにもなります。