留学大図鑑

Hisa

出身・在学高校:
光泉高等学校
出身・在学校:
滋賀県立大学大学院
出身・在学学部学科:
環境科学研究科
在籍企業・組織:

最終更新日:2020年12月02日

世界的大害虫ミバエ類の防除へのアプローチ

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ボゴール農科大学
  • インドネシア
  • ボゴール
留学期間:
9か月
総費用:
1,230,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表プログラム」 1,230,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

 ミバエ類は果樹や果菜の大害虫であり、日本においてもウリミバエやミカンコミバエが南西諸島に侵入して猛威を振るった。日本では、多額の資金と研究者を投入して大量に増殖した不妊虫(放射線をあびせて不妊にしたオス)を、野外に大量に放すことで根絶に成功した。しかし、この方法は離島では有効だが、ミバエが繰り返し侵入する地域には適用できず、それゆえミカンコミバエ種群の原産地である東南アジア諸国では深刻な農業被害が続いている。私は、不妊虫の代わりに近縁な別種のオスを利用することで、ミバエの被害を防ぐ新たな防除策が確立できるのではないかと考えた。そこで、ミカンコミバエ種群の多様性が最も高いインドネシアにおいて、ミバエ類の配偶の実態について野外研究を行った。
 ボゴール農科大学に留学し、両種間の繁殖干渉、資源競争、果実による天敵の寄生率の違いについて調べた。繁殖干渉については、野外圃場にケージを設置し、そこへ野生虫を導入して実験した。本研究の結果は新しい理論である繁殖干渉に着目し、資源競争と天敵の影響も組み込んで包括的に資源利用を検証し、検証に成功した。さらに、繁殖干渉の原理を利用した新しい害虫防除の可能性を示した。

留学の動機

検疫害虫の典型とされるミバエは原産地だけでなくその周辺地、さらには遠隔地にも物流を通じて侵入しては、甚大な経済的損失をもたらしてきた。私は大学で繁殖干渉といわれる現象を学び、その現象を利用することで、ミバエ類の被害を防ぐ新たな防除策が確立できるのでないかと考えた。そのため、ミバエ類の原産地のひとつである熱帯アジアでミバエ類の生態を詳しく調査しようと考えた。

成果

私の研究したミバエ類は、世界中で大問題となっているにも関わらず、その研究は害虫防除法を中心に研究されてきており、生態学的な知見はあまり重要視されてこなかった。しかし、今回の留学で種間にはたらく相互作用や共存・排除のメカニズムを明らかにすることで、ミバエ類が侵入地において分布を拡大する要因の解明や種間相互作用を利用した管理手法の提案など応用的にも重要な意味を持ちうることを示すことができた。

ついた力

為せば成る力

ミバエ類の研究を行う時に、ボゴール農科大学の研究室ではミバエを研究している人がいなく、ミバエ類の実験室を立ち上げることからはじめた。専門的な道具などもない状態だったので、必要なものを身近に手に入るものから工夫して実験ができる状態にもっていった。できる限りのコネクションと交渉力で一から実験できる環境を立ち上げた。そして、この研究留学で行った実験の成果は学会などで発表することができた。

今後の展望

私は留学で研究した内容を礎とした研究計画によって日本学術振興会の募集する特別研究員(DC1)に採用された。私は今後研究留学で得られた知見の普遍性・防除の実用性などのために更なる研究を重ねていこうと考えている。そのため、これからもインドネシアを含めたアジア・太平洋の熱帯地域で研究していこうと思っている。

留学スケジュール

2018年
10月~
2019年
2月

インドネシア(ボゴール)

 今回の留学は自らミバエ類の研究をはじめられる環境づくりからはじまった。ミバエ類を調査するための調査地の選定やトラップの作成、飼育ケージの用意など様々な人たちに協力してもらい約1か月かけて実験や調査ができる環境を整えた。
 整えた環境でミバエ類の発生消長を追跡するために野外の果樹園でのトラップ調査や野外でのミバエ類の植物の利用状況を知るための果実調査などを行った。また、果実調査と同時にミバエ類の天敵である寄生蜂の動態も知ることができた。室内の飼育が上手くいくようになると、ミバエ類において、何が要因で種ごとにメインで利用する植物が異なっているのか、どのようなメカニズムがはたらいているのかなどの基礎的な知見を2種のミバエを用いた資源競争の実験や繁殖干渉の実験などを行い、検証した。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

寄主植物のひとつであるグァバに止まるミバエとその天敵の寄生蜂
野外に設置したトラップと中に誘引されたミバエ
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2019年
9月~
2020年
1月

インドネシア(ボゴール)

 ミバエ類調査のため、ミバエ類の発生ピークがある雨季に再びインドネシア・ボゴールを訪れた。
 今回は前回の研究の続きと、前回の研究を日本でデータをまとめ、議論した時に出てきた新しい疑問の検証をおこなった。実験準備は一度経験していることもあり、前回よりもスムーズに行うことができた。
 野外でのトラップ調査と寄主植物(果実)の調査は引き続き行った。また、いままでは2種のミバエを中心に研究していたが、その普遍性を確かめるために3種目のミバエ種の生態学的な基礎調査も行った。その結果、3種目のミバエの植物の利用にも同じようなメカニズムがはたらいていることが示唆された。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

採卵器で卵を産むミバエ
新しく研究したミバエ
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

あなたにとって留学とは?

 私にとっての留学とはこれからの人生への大きな分岐点になったと考えている。留学で研究した内容によって日本学術振興会の募集する特別研究員(DC1)に採用されたことで、これからも大学でミバエの研究することになった。私の研究したミバエ類は、世界中で大問題となっているにも関わらず、その研究は害虫防除法を中心に研究されてきており、生態学的な知見はあまり重要視されてこなかった。しかし、今回の留学で種間にはたらく相互作用や共存・排除のメカニズムを明らかにすることで、ミバエ類が侵入地において分布を拡大する要因の解明や種間相互作用を利用した管理手法の提案など応用的にも重要な意味を持ちうることを示すことができた。
 私は今後これらの現象の普遍性・防除の実用性などのために更なる研究を重ねてこうと考えている。そのため、これからもインドネシアを含めたアジア・太平洋の熱帯地域で研究する必要がある。今回は海外で研究するというのがどういうものか、どう生活・実験していくのかなどを学べた大切な機会となった。

グァバの葉にとまるミカンコミバエ
飛行機からみた夕日

自ら考え、自らの興味に従い、自ら研究する

  • 留学先探し : 大学院

研究は人に与えてもらったことをただこなすだけでは続きません。
研究で留学することは多くの労力と情熱を要します。研究計画の作成からVISAの取得、現地での実際の研究と多くの手続きが必要になります。
特に海外で研究するとなると念入りな研究計画が必要です。私は今回のインドネシアで研究する前に日本のミバエ防除の最前線である沖縄県病害虫予察センターにインターンシップに行き、ミバエの飼育法や実験法、行動観察のやり方など多くの基礎的な技術を学びました。この時、学んだ技術はインドネシアでの研究で大いに役に立ちました。今の自分に何ができるのか、留学先の状況がどうなっているのかを把握しておくことはとても大切だと思います。日本で準備できることはするに越したことはないです。
 また、VISAも多くの書類を要することが多いです。特に研究で海外に行く場合は研究計画や受け入れ先からの推薦状が必要な場合も多くあり、早い目に受け入れ先とコンタクトをとっておくことが大切です。メールを送っても返信が遅い場合もあります。私はメールを送ってから2か月間、返信が来なくてやきもきしたことをよく覚えています。可能ならば、電話をする方が確実だと思います。
 そして、いざ現地についてみても想像と現実は違います。今回の留学は、はじめはミバエの研究者がいるとの話だったのですが、現地についてみると、それは過去の話であって現在はミバエを研究している人はおらず、ミバエを研究する道具もほとんどないといった状態でした。現地のお店から代替となるものを探したり、指導教員の人にお願いして、何とか実験できるよう体制を整えました。
 海外で研究するには、多くのハプニングを対処しながら、研究を成し遂げる意思が大切です。そのためにも自分が本当にしたい研究をすることが重要だと私は思っています。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学することは多大な労力と情熱を要します。しかし、それだけの価値はあります。自分の意思で自分のやりたいことを思いっ切り楽しんでください。