留学大図鑑 留学大図鑑

長瀬 春奈

出身・在学高校:
名城大学付属高校
出身・在学校:
岐阜大学
出身・在学学部学科:
連合創薬医療情報研究科
在籍企業・組織:


最終更新日:2020年12月07日 初回執筆日:2020年12月07日

博士課程で神経変性の研究留学,NIHへ!

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • 米国国立衛生研究所, 米国国立心肺血液研究所,細胞発生生物学センター, 発生神経生物学研究室
  • アメリカ合衆国
  • メリーランド州
留学期間:
12ヶ月
総費用:
2,500,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 2,500,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル<TOEIC720点> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

高齢社会が抱える課題について世界中の人と協力し、自身のスキルを駆使して取り組むと言う目標のため、アメリカ国立衛生研究所 (NIH) へ1年間研究留学しました。神経変性に関するNIHとの共同研究を進める中で、必要な実験技術の習得やデスカッション能力の向上、さらに、留学先でしか会えない人との人脈を築くことも目的とし、研究成果を残すことを最終目標としました。神経発達や神経変性を研究しているDr.Geller研究室に所属し、マウス脳から神経変性に関わる可能性のある生体分子を抽出し解析しました。その過程で灌流固定や透析、プロテオミクス解析など様々な実験技術を習得しました。毎週の会議に加え3ヶ月に1回順番が回ってくる抄読会では、英語で研究内容を発表するスキルを身に付け、国際学会におけるポスター発表に活かすことができました。

留学の動機

私には高齢社会が抱える課題を自身のスキルを駆使して研究し、世界中の人と協力していける女性になりたいという目標がありました。留学先のNIHは、世界最大・最高峰の生命医科学研究所で、様々な国籍の研究者が集まり切磋琢磨しています。さらに、専門家によるワークショップ・講演会の開催、専門授業、研究室間の連携が活発、病院併設など、自分に必要なスキルが習得できる理想の場所だと考え、NIHへの留学を計画しました。

成果

マウス脳から神経変性に関わる可能性がある生体分子を抽出し、解析しました。その過程で灌流固定や透析、プロテオミクス解析など様々な実験技術を習得しました。NIHとの共同研究の成果を報告した原著論文では、文章中にトビタテ!留学JAPANによる支援を受けた事を記載できました。

ついた力

中学英語を駆使する力

簡単な英語を使っても意思疎通できることを知りました。変に難しい単語を無理して使うより、すぐに思いつく英単語を駆使して話す方が会話が弾みました。

今後の展望

無事に博士号を取得し、現在は研究・教育に関わる仕事につきました。今後は、留学で得たスキルや人脈を駆使して自分の研究を進めていきたいです。また、留学を考えている方のお役に立てればと思います。

留学スケジュール

2018年
10月~
2019年
9月

アメリカ合衆国(ベセスダ)

NIHの敷地は広く、いくつものビルがありますが、私はその中でもビル50とビル10 を行き来し研究を進めていました。距離があって大変でしたが、必要な実験技術に詳しい人の近くで実験し、質問があればすぐに聴ける環境に身を置くことや高性能の機器を使用しデータを集めることができたので、ビル間の行き来は必要な行動だったと思います。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

60,000 円

Core施設で病理実験や顕微鏡操作を習ったNIHのメインビル
ビル50と桜
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

60,000 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

シェアハウスでミニ日本料理教室を開催したり、ラボメイトと持参したちらし寿司を一緒に食べるなど、様々な場面で日本食を紹介しました。ポトラックパーティー (料理を持ち寄ってみんなで食べるパーティー) では、できるだけ多くの人に味わって欲しかったので、なるべく宗教を意識して生の食べ物や豚肉・牛肉を使わない絵巻寿司を持参しました。宗教や食文化が違うため、生魚が入っているかお肉を使用しているかなど気にしている人が多かったですが、様々な国の人に食べてにもらえました。しかし、厳格なビーガン主義の人は、花の絵の黄色を表現するためにわずかに使用した卵の黄身がダメで食べてもらえませんでした。宗教のことを気にしていたつもりでも、厳格なビーガン主義の方のことまでは考えられていませんでした。この経験から、ビーガンの人が居たり文化が違うと同じ食卓を囲むのでさえ、一苦労があることを痛感しました。他にもお寿司は中国のものだと思っている人がいたり、当たり前に広まっているだろうと思われている日本文化であっても、実は意外と知られていないことにも気づかされ、簡単なことでも日本発信の機会が沢山あると学べました。

様々な場面で手作りお寿司を提供し、日本食を広めた

あなどれないアクセントは意外と重要

  • 語学力 : 英語

毎週の会議における研究進捗の報告や他の研究グループとの合同で行われる抄読会では、慣れない英語での発表に苦労しました。特に、抄読会は発表時間が1時間と長く、さらに3ヶ月に1回と短い期間で順番が回ってくるため大変苦労しました。留学の初めの頃は実験結果の短い発表でさえ必死で、質問に的確に答えれなかったため、抄読会に向けて改善しなければならない点が多くありました。私が工夫した点は、英単語ごとにアクセントと区切りを調べ単語の発音を細かく覚えた点です。専門用語の発音は辞書にも載っていなかったので、どうしてもわからない発音はラボメイトに聞き対応し、何回か練習しました。また、できるだけ文章を短文にし、最低でもTake-home messageを伝えられるよう意識して発表するように心がけました。回数を重ねるごとに内容が伝わるようになり、質問もされるようになりました。この経験を通して、基本的な工夫が内容を伝わるようにする上で重要だと学べたため、プレゼンスキルを磨く上で最も成長した経験です。世界共通語である英語を駆使して研究を紹介・議論できるスキルを身につけることができました。

ジャーナルクラブ (抄読会) での発表

日本食材の調達は車持ちに頼る

  • 生活 : 食事

留学中どうしても日本食が恋しくなります。外食は高いので中々毎日はいけません。そこで私の場合、車を持っているルームメイトや知り合いの方の買い物に同乗し、日本食に必要な調味料や日本のお菓子などを約1ヶ月分爆買いしていました。

アジア系食料品店で爆買いした食材

留学を勧める・勧めない理由

留学を通して人と違った経験をすることで人としての深みにつながると思います。私は、帰国してから論文が形になり現職につながったので、留学で得た学びや成果は留学中だけでなく帰国後やその先も一生涯影響していくと実感しました。留学は単なる旅行と違い同じ志を持った仲間と出会える場であり、仕事上の仲間になり得る新たな人脈が築ける点も留学の価値だと思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

奨学金の申請書を書くことで自分の考えがまとまるので、当たらなくても応募する価値はあると思います。留学の充実度や帰国した際の達成感が変わってくると思います。ぜひチャレンジしてみてください。