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阪上 遼

出身・在学高校:
駒場東邦高等学校
出身・在学校:
東京大学
出身・在学学部学科:
大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻
在籍企業・組織:
ドイツ航空宇宙センター(DLR)


最終更新日:2020年11月05日 初回執筆日:2020年11月05日

ドイツで学ぶ宇宙ロボティクス

留学テーマ・分野:
海外インターンシップ
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ドイツ航空宇宙センター(DLR)
  • ドイツ
  • ミュンヘン
留学期間:
12ヶ月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,920,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<IELTS 7.5> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

次世代の惑星探査の在り方を研究するために、ドイツの宇宙開発を牽引するドイツ航空宇宙センター(DLR)のInstitute of Robotics and Mechatronicsにてインターンシップに参加した。複数異種ロボットチームの運用に関する研究開発を行い、擬似月面環境での野外実証実験に用いるミッション運用ソフトウェアを一から開発した。
研究活動と並行して、今後の宇宙開発を担う若手との人脈形成にも注力した。ヨーロッパ全体の宇宙機関であるESAやフランスの宇宙機関であるCNESをはじめ、ヨーロッパに在住する宇宙開発に関わりのある人々と面識を築くことができた。

留学の動機

きっかけは、当時大学院で受講していた宇宙政策の講義であった。この講義は国内外の宇宙開発を担う様々なステークホルダーによるオムニバス形式で行われ、その内1回を担当されたのがDLR東京事務所所長のラインケ氏であった。当時研究に行き詰まっていた私は、ラインケ氏を通じてDLRの研究に興味を持つようになり、今一度自分の研究への興味関心をより明確にするため、DLRでインターンに参加したいと思うようになった。

成果

インターンでの研究成果は、トビタテ終了後修士論文として取り纏めた他、ロボティクス分野でのトップジャーナルの一つであるIEEE Robotics and Automation Letters (RA-L) 並びにトップカンファレンスの一つであるInternational Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS)に投稿し、採択された。

ついた力

世界を舞台に研究を続けていく力

東京大学での研究室やその教授とDLR間に事前の共同研究があったわけではなかったため、現地では自らテーマやメンターを探す必要があった。「東大生である」というラベルや教授の紹介などが一切存在しない環境で、自らの存在価値を示し、自身の興味とDLRの抱える研究テーマの共通項を見つけ研究を進めることは、決して簡単ではなかった。しかしだからこそ、今後も困難に直面しても乗り越えていく覚悟と自信が得られたと思う。

今後の展望

素晴らしい縁に恵まれ、現在もインターンを行っていたDLRの部署にて正規の研究員として働かせていただいている。トビタテが今の自分を育んでくれたことに心より感謝しながら、もうしばらくこの地で宇宙ロボティクスの研究を続けていきたい。

留学スケジュール

2018年
9月~
2019年
9月

ドイツ(ミュンヘン)

DLRのInstitute of Robotics and Mechatronicsにて、性質の異なる複数のロボットを協調させて運用するソフトウェアの構成・インターフェースの研究開発を行った。総勢20名ほどの惑星探査ロボットチームに所属し、ドイツ国内の複数の研究機関が参画するプロジェクトARCHES(https://www.arches-projekt.de/en/project-arches/)に携わった。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

研究に用いた複数ロボット群
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

この国のことが、とても好きになった瞬間

長く住み慣れた東京に比べると、ミュンヘンは不便だし娯楽も少ない。コンビニはないどころかスーパーさえ日曜日には営業していないし、電車は平気で遅れたり欠便したりする。催事や祭などでもなければ、東京にいるときの感覚で街に出ても何もすることがなかったりする。現地の人は一体何をして週末を楽しんでるのだろうか?その答えは、少し通俗的でいて、でも今まで経験したことがなく、とても豊かだたと思える過ごし方だった。仲間で湖の辺りに集まって、なんということもなく食べ物やビールを持参し、ボードゲームに興じたり、焚き火をたいてバーベキューしたりする。東京ではいつも予定を埋めて「すること」を決めて街に出かけていた私だが、今では「すること」や計画にとらわれすぎず、気ままに自然のなかでゆったり過ごす時間をとても大切にしている。

仕事後にStarnbeg湖畔にて、DLRで働く学生たちと
Isar川の河原で焚き火をしながら会話に興じる

臆せずに知人のつてを最大限頼る

  • 住まい探し : シェアハウス

異国の地で住む場所を遠隔で決めるのは、とても難しく根気のいる作業です。交換留学などで大学側が学生寮を手配してくれればラッキーですが、私のようにインターンシップのみのケースだと、住む場所は自分で手配しなくてはなりません。

しかし、自力で手配するには限界があるのも事実です。そもそもオンライン上で見つけられる物件の数が多くありません。また、異国の地から遠隔でメールやメッセージを送っても身元を保証するものがない以上、好意的な反応をもらえることは多くありません。もし困った際には、臆せずに現在その地で留学している知人に相談してみることをお勧めします。現地の人が仲介することで交渉がスムーズになるケースもある他、オンライン上に載らないローカルな物件情報などが手に入ることもあります。自力で住む場所を手配したことがある人たちなら、その苦労がわかるからこそ、きっと親身に相談に乗ってくれるはずでしょう。

これから留学へ行く人へのメッセージ

真剣な留学は、人生を思いもよらない方向にねじ曲げてくれます。留学前に是非、計画ではなく、計画の根底にあるモチベーションを再確認すると良いと思います。計画はいくら入念にしても計画通りにはいかないけれども、自分の熱意や理由だけは常に確固たるものです。思い通りにいかない場面でもコツコツと自らの意思に忠実に生きることで、留学後ふと気がつくと、思いがけない成長を遂げた自分に出会えると思います。