留学大図鑑 留学大図鑑

辰巳 守祐

出身・在学高校:
清風南海高等学校
出身・在学校:
奈良先端科学技術大学院大学
出身・在学学部学科:
先端科学技術研究科
在籍企業・組織:
(本業)NTTドコモ,(兼業)理化学研究所


最終更新日:2020年10月29日 初回執筆日:2020年10月29日

計算機に論文を読ませて知識を発見させる

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • University College London, AI Center
  • イギリス
  • ロンドン
留学期間:
3か月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 730,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

UCL人工知能センター(University College London, AI Center)で自然言語処理の基礎研究及び論文執筆を行いました。研究トピックは「自然言語処理を活用した科学論文解析」です。具体的には、膨大な数の論文を自動的に効率よく計算機が解析して情報・知識を獲得し、重要な論文の検索など研究者に役立ち、イノベーションにつながるシステムの基盤技術に関する研究を行いました。当トピックにおいて、二つの研究に取り組みました。一つ目は「論文解析に必要な自然言語処理の基礎技術」に関する研究です。二つ目はバイオ分野の研究室との学際的な共同研究で「バイオ分野の論文解析を発展させて、複雑で全容が解明されていない大腸菌の代謝経路の全体像を計算機で推論しよう」という試みです。いずれも一定の研究成果が得られ、帰国後に言語処理系の学会とゲノム解析系の学会で成果発表しました。また、難関国際会議へ論文を投稿しました。査読結果は不採録となり、形に残る成果とはなりませんでしたが、論文執筆のノウハウを学ぶ良い機会になりました。

留学の動機

革新的な研究成果を出すノウハウを身に付けるべく、自然言語処理研究で世界的に有名な Sebastian Riedel 博士のチームを訪問しました。彼らとの研究活動を通じて、情報収集の大切さを学びました。

成果

言語処理系の学会とゲノム解析系の学会で成果発表しました。

ついた力

情報収集力

UCLのチームは革新的な研究成果を数多く世に出していましたが、それを可能にしているのは彼らの持つ情報量の多さでした。彼らは日々論文サーベイに励み、他組織の研究者と頻繁に交流し、活発に議論することで、大量の情報を収集していました。彼らと共に過ごすことで、情報収集のコツを掴めたように思います。

今後の展望

UCLで学んだ情報収集のコツの一つが、情報収集の観点を複数持ち、シナジー効果を狙うことです。今後、NTTドコモでサービス開発に、理化学研究所で学術研究に従事し、「応用研究」と「基礎研究」というタイプの異なる業務経験を積むことで、業務遂行の相乗効果を狙います。そして、これらの効果をイノベーション創出につなげていきたいです。

留学スケジュール

2019年
10月~
2019年
12月

イギリス(ロンドン)

①受け入れ先:UCLはQS世界大学ランキング2020で世界第8位、ノーベル賞受賞者30名を輩出してきた名門大学で、世界中から優秀な研究者が集い、日夜研究に勤しんでいます。②研究活動:受け入れ担当教員の指導のもと、自然言語処理の基礎研究と論文執筆を行いました。③研究環境:UCL人工知能センターは非常に国際色豊かでした。アジア系の人も多く、日本人である自分がマイノリティだと感じることはほとんどありませんでした。④定例会:毎週、研究室の定例会に参加しました。私が発表した際、辿々しい英語だったにも関わらず、質問やコメントを沢山頂けて有り難かったです。⑤交流会:イギリス南部エリアの他大学(インペリアル・カレッジ・ロンドン、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学など)やテックカンパニー(GAFA, DeepMindなど)との交流会が盛んに行われていました。研究のモチベーション向上になりました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

研究室メンバーとの食事会
指導教員で共著者の Pontus Stenetorp 博士
温かく迎え入れてくれたラボメイト
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

この国のことが、とても好きになった瞬間

ロンドンは世界有数の国際都市です。たった3ヶ月間の滞在でしたが、様々な国籍の友達ができました。特に、毎週通っていた Language Exchange では、一夜にして世界中の文化や価値観に触れることができました。

Language Exchange で出会った皆さんと

留学中に、自分を勇気づけてくれたモノ・コト

留学中、トビタテ生と頻繁に交流していました。トビタテ生は皆それぞれ夢を持っています。お互いのことをリスペクトし、励まし合える素晴らしいコミュニティです。

ロンドンの年越し花火大会。ヨーロッパ中のトビタテ生が集結。

この国のことが、とても好きになった瞬間

イギリスはヨーロッパ交通のハブとなっており、手軽にヨーロッパ諸国を周遊できました。特に印象的だった旅を3つご紹介します。①フィレンツェ旅行:現地に留学していたトビタテ生と会いました。食事を共にし、留学での活動や今後の人生プランについて語り合いました。②グリンデルワルト旅行:アルプス山脈の素晴らしい景色に魅了されました。日本人にも人気の観光地ということもあり、歩いていると時々日本語が聞こえてきて、日本が懐かしくなりました。③ルルド旅行:ルルドはフランスの辺境地にあるキリスト教の巡礼地です。世界中から沢山の人が巡礼や観光にやってきます。キャンドルを片手に、ゴスペルを歌いながら行進するキャンドルウォークに参加してみました。

フィレンツェ(イタリア)で現地留学中のトビタテ生と
グリンデルワルト(スイス)の大自然
ルルド大聖堂(フランス)でのキャンドルウォーク

留年しなくて済むように、修士論文の研究を終わらせてから渡英しました。

  • 単位・留年 : 休学・留年

私はM2の10月〜12月に留学する予定でした。帰国後すぐに修論発表会が予定されており、もし間に合わなければ留年でした。ただ、留学中に修士論文の研究に時間を割ける保証はどこにもありませんでした。そこで、留学前に研究を仕上げ、学会発表も済まし、いつでも修論の原稿に落とし込める状態にしてから渡英しました。

先輩からの紹介でトビタテに応募

  • 費用 : 奨学金

所属研究室にトビタテ経験のある先輩がおり、その先輩からの薦めでトビタテに応募しました。留学計画書の執筆も手伝っていただきました。

先輩方にアドバイスをもらいながら留学計画書を執筆

留学先から受け入れ許可をもらう際は指導教員に仲介してもらいました

  • 留学先探し : 大学院

指導教員の松本裕治先生がUCL人工知能センターの Sebastian Riedel 博士と知り合いだったため、松本先生にお願いして Riedel 博士にメールしていただき、受け入れ許可をもらいました。Visiting Academic(客員研究員)での訪問となりました。

留学前にやっておけばよかったこと

留学経験者の多くが感じる事だと思いますが、英語の勉強をもっとしておくべきでした。特に、リスニング力と語彙力が圧倒的に足りていないと感じました。研究活動自体は語学力が多少低くても何とかなるのですが、パブでの立ち話やランチでの世間話など、周囲の環境音が騒がしい中での雑多な会話には大変苦労しました。

留学を勧める・勧めない理由

世界のことを知るのはもちろん、日本のことを知るためにも留学をお勧めします。内側から見る日本と外側から見る日本は随分違います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

ぜひ友達をたくさん作ってきてください!