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ひなたぼっこ

出身・在学高校:
佐賀県立唐津東高等学校
出身・在学校:
出身・在学学部学科:
東京学芸大学
在籍企業・組織:


最終更新日:2020年10月26日 初回執筆日:2020年10月26日

盲ろう者への教育と福祉を学ぶ

留学テーマ・分野:
大学生:交換・認定留学(日本の大学に在籍しながら現地単位取得を伴う留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ヨーテボリ大学
  • スウェーデン
  • ヨーテボリ
留学期間:
12ヵ月
総費用:
1,900,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 2,170,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 挨拶など基本的な会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

日本の盲ろう児・者(視覚障害と聴覚障害を併せ持つ人)への教育と福祉について学ぶべくスウェーデンに留学しました。交換留学先の大学では特別支援学校を訪問し、先生方にインタビューを行ったり知的障害児や肢体不自由児と交流を行いました。実践活動先である施設では盲ろう児・者への福祉なサービスの内容や行政との連携などについて学びました。もう一つの実践活動先であるろう学校では、盲ろう児への教育的なサポートや教材・空間の工夫などを学びました。私が会った盲ろう児はスウェーデンの手話を使っていたので、私もスウェーデンの手話を勉強し盲ろう児とコミュニケーションを取りました。実践活動以外でも興味のある施設を調べ、積極的に学ぶ機会を設けていました。

留学の動機

私は大学で特別支援教育を専攻しており、授業の中で「盲ろう」という視覚障害と聴覚障害を併せ持った障害に出会いました。私自身小学生の頃右耳の聴力を失いつらい経験をしましたが、目が見えなくて耳が聴こえない人はどのように感じているんだろうと盲ろう者への興味が湧き、研究会に参加しました。そこで日本の盲ろう児・者への教育と福祉が遅れていることを知り、進んでいるスウェーデンに留学しようと決めました。

成果

スウェーデンの教育・福祉的なサービスは日本よりも充実しており、様々な機関の連携が上手く取れている印象を受けました。盲ろう児・者の生活が良くなるように様々な分野のスペシャリストが協力されていました。日本よりもサポート体制が整っているスウェーデンでも財政面などによる様々な問題が生じていたので、様々な問題が複雑に絡み合う中でも少しずつ問題を解決することがスウェーデンでも日本でも重要なのだと学びました。

ついた力

相手に合ったアプローチをする力

私は実践活動先に「私はこんなことがしたいです。そのために一生懸命頑張ります!」というように情熱でアプローチしていましたが、なかなか受け入れ許可が出ませんでした。そこでスウェーデンの盲ろう者協会のトップの方と連絡を取り、協力してくださるように頼んだところ受け入れ許可が出ました。トップダウン型の組織にはそのやり方が合っていました。この経験から相手に合ったアプローチをすることの大切さとその力を得ました。

今後の展望

将来は北欧の大学で大学職員と「障害のある学生が留学する際のサポート」を行いたいです。そのために北欧の福祉システムやサービスを学ぶ必要があるため、北欧の大学院に正規生として入学したいと考えています。

留学スケジュール

2019年
3月~
2020年
3月

スウェーデン(ヨーテボリ大学)

ヨーテボリ大学ではスウェーデンの学校システムやジェンダーに関する授業を受講しました。スウェーデンの学校システムを学ぶ授業では座学だけでなく、実際に学校を訪問しました。学校は専攻別に分けられるため、私は特別支援学校(知的障害児や肢体不自由児が在籍している)を訪問し、実際の教育現場を見学するとともに先生方にインタビューも行いました。児童とボードゲームようなもので一緒に遊び、コミュニケーションを取ることもできました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

ヨーテボリ大学の教育学部のキャンパス
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2020年
1月~
2020年
3月

スウェーデン(ヨーテボリ)

通所型自立生活・就労支援施設で、盲ろうの児・者に対して相談・支援事業の現場を学びました。カウンセラー、臨床心理士、特別支援教育教師、コンサルタントなど職員が在籍しており、彼らのインタビューなどを通してスウェーデンにおける盲ろう者に対する福祉的なサービスについて学びました。利用の対象者は幼い子どもから高齢者までなので、提供する福祉サービスも多様でした。コミュニケーションを取りやすくなる機器や物の概念を教えるために触覚を用いた教材など様々な物が充実していました。本人の支援だけでなく、その家族や通っている学校、その人が勤める会社などの人々にも盲ろうについての知識やサポート方法などを教えているそうです。本人の障害は本人の努力やICT機器の活用だけでは限界があるため、「本人のために周りの人を変える」ことをされていました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

実践活動先
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2020年
1月~
2020年
3月

スウェーデン(ヨーテボリ)

盲ろう児2名が在籍しているクラスを見学しました。教科書などは使わず個別のプリントを用いて授業が進められていました。聴覚障害児も同じ教室で学ぶので、視覚を用いる教材(電子黒板やiPadなどICT機器)を多く用いていました。盲ろう児は言葉を覚えるために言葉の発音やそれを表すスウェーデン手話を学んでいました。そのため、教師以外にも言語聴覚士が週に5日発音の授業を行っていました。机や教材に名前が点字で表記してあったり、教室の至る所に活動内容や時間割は視覚にアプローチするためにイラストで書かれていました。スウェーデンの盲ろう児への教育現場を通して、教師やサポーター、教材が充実しており、行政や盲ろう関係の機関と上手く連携が取れていると感じました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

実践活動先
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

男性も家事・育児を行うのが当たり前

スウェーデンは男女平等な国というイメージがあると思うのですが、実際に留学してみてそう感じる機会がたくさんありました。特に家事・育児について平等だと感じました。街ではベビーカーを押すお父さんをよく見かけました。またスウェーデンの友達とご飯を作ったりすると男の子たちが積極的に動いてくれました。そのような経験が日本にいた頃あまりなかったので、とても驚きました。感謝の気持ちを伝えると「当たり前のことだよ」と笑いながら言ってくれました。私が想像していた以上に男女平等が進んでいて、とても暮らしやすかったです。

友達の男の子が作ってくれた料理

人に頼ることの大切さ

  • 費用 : 奨学金

私は家計が厳しいため、奨学金に受からなければ留学することができませんでした。奨学金を受ける際に情報収集や留学計画書、プレゼンテーションの準備が必要でした。そのときに同じ大学から奨学金に合格した方にその奨学金のいろいろな情報を教えていただいたり、大学の教授やサポートしてくださる方、友人に留学計画書を読んでもらいアドバイスをもらったり、他大で開かれたイベントで出会った方にプレゼンテーションを見てもらいアドバイスを頂きました。もちろん自分でインターネットを使って調べたり、留学計画書やプレゼンテーションの内容を練ることも必要です。けれど自分だけでは限界があります。そのような時は他の人に協力してもったり、頼ることも必要です。他の人の観点から自分の留学について見ることで、新たな気付きを得ることもあります。その際に相手の方に対して感謝する姿勢です。その方は時間と労力を自分のために費やしてくださっているので、それを心に留め、感謝の気持ちを忘れず接することが大切です。奨学金の結果に関係なく、お世話になった方々にはお礼の連絡が必要です。このように自分に足りない部分は人に頼りながら、感謝の気持ちを忘れずに進めていってください。また、自分と同じような立場の人が頼ってきた時にはできる範囲で協力してくださると個人的に嬉しいです。

留学前にやっておけばよかったこと

語学力をもっと付けておけばよかったと思います。よく語学は話そうとする気持ちが大切だと言います。確かに話そうとする気持ちはとても大切です。けれどもし留学先で現地の方や実践活動先の職員の方など人と深い関係を築きたいと思うのであればある程度の語学力は必要だと感じました。私自身留学して語学力に一番苦しんだのである程度の語学力は必要だと思います。

留学を勧める・勧めない理由

私は選択肢を増やす、選択肢自体を作り出す力を付けるために留学を進めます。海外で暮らすと自分が気付かないうちに日本社会のある程度の枠組みの中で生きていたことに気付かされました。海外で多様な価値観、バックグラウンドをもった人と関わることで様々な選択肢を見つけることができました。また選択肢がないなら自分で作ってしまえばいいんだということにも気付きました。なので私は留学をおすすめします。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学というと語学や学習面、生活面など様々なことに対して期待とともに不安があると思います。今までの自分の武器や通用しないことや力不足を感じることも大いにあります。そんな時には自分一人で抱えこまず、周りの人に頼ってください。周りにいる人を大切にして、感謝の心を忘れずに、心身の健康に気を付けて楽しく過ごしてください。みなさんの留学が実り多きものになるように願っています。