留学大図鑑 留学大図鑑

菅野紀子

出身・在学高校:
三重県立四日市高等学校
出身・在学校:
東京大学大学院
出身・在学学部学科:
農学生命科学研究科
在籍企業・組織:


最終更新日:2020年10月06日 初回執筆日:2020年10月06日

フィリピン農家さんの畑で研究

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • 国際稲研究所
  • フィリピン
  • ロスバニョス・ムニョス
留学期間:
10ヶ月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,230,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル<TOEFL iBT 94点> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

途上国現地で農家さんと一緒に研究をして「本当に役に立つ」農業技術の開発を学ぶことが留学の目的でした。
そのために、イネの研究で世界的に有名な研究所に留学し、実際に課題のある地域でのフィールド研究を行いました。具体的には、用水路がなく雨任せでイネを作っている地域で、より安定した収穫を得るための新しい種まきの方法を考えました。まずは農家さんの今の状況を把握し、新しい方法が受け入れられる余地があるかを調べるため、農家さんを巡回して聞き取り調査と実際の畑の測定をしました。また新しい方法の効果を科学的に検証するため、農家さんから畑を1か所お借りして実験をしました。
結果として、新しい方法は土が乾燥している時に有利になることがわかり、それを周囲の農家さんに見て知ってもらうことができました。

留学の動機

途上国の農業現場で本当に役に立つ研究をするには、日本で研究するだけではなく、実際に現地の畑を見て、農家さんと話して、農家さんに実験を見てもらう必要があると思ったから。また将来的にそのような研究をするために、学生のうちに実際の経験を積んで自分の向き不向きや身に着けるべき能力を知りたかったから。

成果

研究成果は修士論文にまとめる予定で、一部は学会発表もしました。また自分の研究活動だけでなく、地域の農業事務所の活動にも積極的に参加し、農業技術普及の現状を知れたと同時に、たくさんの農家さんと仲良くなって、様々な農業技術や農業政策などについて率直な意見を聞くことができました。

ついた力

複数の人との調整力

現地での研究活動を進めるうえでは、一緒に留学していた相方、研究所のスタッフ、手伝ってくれる地域の学生、農業事務所の方、農家さんといった様々な人と連絡を取り、活動内容や日程を決めていく必要がありました。本格的に研究を始めてすぐ、私はこれがとても苦手だということがわかったのですが、やるしかないのでとにかくやっていくうちに少しずつ慣れたのではないかと思います。

今後の展望

留学中に博士課程進学を決めました。留学中にしていたような、途上国現場での農学研究を続け、いつか本当に「役に立つ」技術を完成させたいです。上記の、周囲との調整がすごくストレスだった初期に博士までの奨学金の締切があり、悩んで悩んで進学を決めて応募しましたが、今となっては「あのつらい時でも続けようと思ったんだからこれは本物だ」と思えるようになりました。

留学スケジュール

2019年
4月~
2020年
2月

フィリピン(ロスバニョス・ムニョス)

国際稲研究所のインターンとなり、そこから共同研究先のフィリピン稲研究所に派遣される形で研究を行いました。平日のほとんどをフィールドで過ごし、自分の実験の管理と農家さんの畑の巡回、農業事務所がやっている教室に参加、畑や事務所で農家さんとおしゃべり、時にはおうちに呼ばれて誕生日パーティーも。仲良くなった農家さんと、自分の実験を見ながら「これはどうしてこうなったのか」「もっとこうしたらどうか」という話ができた日は、ああこのために来たんだ、という達成感を味わいました。
研究所の寮で同世代の研究員たちと一緒にご飯を作り、家族のこと、フィリピンの文化のこと、日本の農業のこと…いろんな話をしながら食べたのも楽しかったです。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

インタビュー中
農家さん向けの教室に参加
収穫終わりー!
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

たくさんの人にお世話になりましたが、研究地域の町役場にある農業省の事務所の方々は中でもとてもよくしてくれました。「○人の農家さんに話を聞きたい」と言ったら必ず達成するまで手伝ってくれて、農家さんが集まりそうな機会があると必ず教えてくれました。用があってもなくても事務所に行けば、楽しくおしゃべりをし、ごはんやおやつを皆で食べて、誰かの誕生日パーティーには必ず呼んでもらいました。外国人が「お客さん」になりやすい中、彼らは本当に仲間に入れてくれた気がして嬉しかったですし、彼らがいなければ研究を進められなかったと思います。

役場のクリスマスパーティーで。

結婚も、留学も!?

  • 周囲の説得 : 恋人・友人

留学開始の前月に結婚して、10か月間遠距離婚?でした。
留学の話が先に出ていて結婚時期を決めたので、夫は文句なかった(というか言えなかった)のですが、周囲には驚かれました。

留学前はビザの手続き等、名前が変わってややこしいこともありましたが、よく調べて各方面に事前に問い合わせるようにして、結婚後の手続きはスムーズにできました。(大学のトビタテ担当の事務の方に、応募前に事情を話したら思わず吹き出されたのは、良い思い出です…(笑))

それまでにも留学で遠距離の経験があったことから、留学期間もお互いそれほどストレスなく過ごせました。連絡はこまめに取るようにしていましたが、それは結婚前と同じだったので、結婚したんだっけ?というようなかんじでした。でも郵便の受け取りや銀行の手続きなどを日本でしてくれるのはありがたく、そこは留学前に結婚してよかったと思いました。

これから留学へ行く人へのメッセージ

いろいろ難しいことは考えないで、とにかく行ってみてください。大学に入ったら…とか、専門の勉強を始めたら…とか、大学院に入ったら…とか言う人はだいたいそのあとも留学しません。目的はあったほうが良いですが、あとづけでも良いですし、短くてもなんでも、行ってからいろいろ考えれば良いと思います。