留学大図鑑

篠原 彬(活動名:芦藻 彬)

出身・在学高校:
麻布中学校・高等学校
出身・在学校:
東京工業大学大学院
出身・在学学部学科:
環境・社会理工学院 建築学系 建築学コース
在籍企業・組織:

先輩の近況をリアルタイムでチェック!

漫画、グラフィックデザイン、イラストレーションなど載せております。大学では建築を専攻しカルロ・スカルパに惚れ込んでヴェネツィアに1年間滞在しておりました。漫画や建築の話から、ヴェネツィアのオススメ建築やレストランの話まで、なんでも聞いてください!

最終更新日:2020年02月05日

建築研究×漫画連載

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • Universita IUAV di Venezia(ヴェネツィア建築大学)
  • イタリア
  • ヴェネツィア
留学期間:
12ヶ月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表プログラム」 2,320,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEIC650> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

自分の持つ漫画と建築という2分野の技能を活かし、異分野、異国間の架け橋となれる作家になるべく留学を行いました。建築も漫画も、作品には必ず人が込めた想いがあります。その想いをより深く汲み取り、そして自らも発信し人に伝えていける人間になりたい、そう思いながら常に2分野での学びと実践をし続けることを心がけました。まるでフィクションのような特殊な生活圏を昔から維持しているイタリアのヴェネツィア本島に住みながら、ヴェネツィア建築大学で建築、芸術について学び、グループワークでの設計スタジオも受講することでイタリア人、中国人の建築に関する異なる姿勢、価値観を学びました。また、最も敬愛する建築家であるカルロ・スカルパの作品を研究し、スカルパに惹かれる自分の個性を深く分析、伸ばそうという視点でフィールドワークを行いました。そして同時に、プロの漫画家として日本の編集部とやり取りをしながらイタリアで漫画を執筆し、日本のwebレーベルで月一連載(20数ページ)をしていました。編集さんとの打ち合わせで常に実践的な研鑽を積みながら、個人でもヴェネツィアの魅力を表現する漫画を執筆し、留学中に日本の表参道・スパイラルにて展示発表しました。その際はオランダの建築事務所で働く研究室の同期に什器の設計を依頼し、二人で日本に一時帰国し自主施工にて製作、什器にも建築的提案を盛り込んだものを実現することが出来ました。

留学の動機

第一に、イタリア・ヴェネツィアの巨匠「カルロ・スカルパ」が設計した建築に何度も訪れ、彼のデザインを浴びるように研究したかったこと。日本とは異なる歴史を持つ古い都市の街並みが、どう受け継がれ現代で利用されているのかを学びながら、海外の建築家による実作をたくさん見て経験すること。また、様々な芸術や異なる漫画文化に触れ、海外の作家や編集者とも交流することで、自分の創作のスタイルを見出したかったこと。

成果

人間が文化や芸術に込めた「想い」というものの強さや普遍性を実感できたことです。単身海外に渡って最も印象的だったのは、日本の漫画、建築といった作品が予想よりもはるかに現地の人たちに認知され、愛されていたことでした。国や言語の差を超えて人を感動させる力が作品にはあると思えました。そして400pに渡る漫画執筆の経験、イタリアの作家・編集者とのつながりを作れたことも、活動に直結する大きな成果となりました。

ついた力

創造力、持続力、マネジメント力、議論力

毎月の漫画連載というスケジュールに追われながら、大学の課題、設計、フィールドワークといった学びの時間をいかに生み出していけるか、そして両者のクオリティを落とさずにどこまで高めていけるかを苦心し続けた1年間でした。また、スカイプで日本の編集者と、大学のグループワークで海外の学生と議論をし続けたことで、コミュニケーション力も大いに高めることができました。

今後の展望

建築の持つ様々な概念、想いを漫画やイラストレーションという自分ならではの表現手段で、専門性を持たない多くの人たちに伝えていく仕事をしていきたいです。美しいものにはそこに至るまでのドラマや、人の想いが必ず込められています。そういったことをもっと世界中の人々に伝える事で、解像度の高い豊かな生活、多様な価値観に敬意を払える優しさが広がって行くことへの一助となれたら、という想いで作家活動を続けていきます。

留学スケジュール

2018年
10月~
2019年
10月

イタリア(ヴェネツィア)

10月:留学と同時に漫画連載も開始
11月:設計スタジオ開始/展示の打ち合わせで一時帰国
12月:年末の旅行を諦め黙々と執筆作業/イタリアのクリスマスにお呼ばれ
1月:展示計画確定、スタジオ課題提出
2月:シチリアへ1週間のフィールドワーク。日本から多数友人が来てくれ、イタリア国内の様々な建築を見に行く。出先でも展示用の原稿を執筆し、眠れない日々を送る。
3月:展示会のため日本へ一時帰国。DIYで什器を施工し、自費出版の漫画も販売。
4月:ミラノデザインウィークへ
5月:大学の授業内で漫画のワークショップを開催
6月:スカルパの建築を多数見学
7月:スイス、フランス、オランダの建築を見に行く。足が棒になる
8月:ローマ、ナポリへ赴き、遺跡巡り。イタリアの山へも滞在
9月:イタリアの編集者の実家へ遊びに行く。出版の企画が上がる。

費用詳細

学費:納入総額

160,000 円

住居費:月額

95,000 円

生活費:月額

50,000 円

ヴェネツィアの水路
ヴェネツィアが舞台の漫画
展示の様子
費用詳細

学費:納入総額

160,000 円

住居費:月額

95,000 円

生活費:月額

50,000 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

前期の設計スタジオにて、グループ内のイタリア人と中国人が教授も巻き込む激しい喧嘩を繰り広げてしまったことがありました。イタリア人がほとんどの議論に欠席し、作業も手伝おうとしなかった状況を受けて、中国からの担当客員教授がそのイタリア人の成績は高くないだろうと発言したところ、逆にイタリア人の教授がそれに反論した事で事件が起こりました。僕は必死に間に入って収めようとしたが、逆にイタリア人教授が中国人たちに対して火に油を注いできたことに驚きました。
争いに向き合ったときに出る民族間のスタンスの差が浮き彫りになった事件だったと思います。イタリア人はどんなスタンスでも主張を尊重するのに対し、中国人は不平等だったりやる気がなくて現れないことに対する糾弾が激しく、正義感が強い印象でした。日本人の僕は激情する中国人がなぜ怒っているかをなんとか落ち着いてイタリア人に伝えようと話し続けては、イタリア人の教授に日本人らしい奴だと煽られていました。
最終的には、そのあとの課題でイタリア人が率先して取り組む、という落とし所に治りましたが、中国人とイタリア人の溝は解消されなかったように思います。割とステレオタイプなイメージ通りに役割分担がされたのが興味深かったのですが、日本人の僕は「関係を改善すること」がゴールで、問題解決に向けた姿勢が異なるのかもしれないという気づきを得ることができました。

スタジオ課題で設計したスポーツ施設の模型
スタジオ課題で設計したスポーツ施設の模型2

せっかく加入した保険はしっかり活用しよう

  • 生活 : 病院

イタリアに滞在して2ヶ月目、インフルエンザにかかってしまいました。日本から持って言っていた風邪薬や頓服薬を使うもあまり効果がなく、高熱にうなされる中、ホームステイ先の家族がご飯を作ってくれたり、イタリアの友人がミネストローネを作ってくれたり、インフルエンザ用の解熱薬をくれたりした事でなんとか回復しました。しかし、後から加入している保険に24時間いつでも医師の手配を代行してくれるサービスがあったことに気づき、早いうちから使っておけば周りに迷惑をかけることもなかったな・・・と反省しました。当たり前ですが保険の内容にはしっかり目を通し、どういう際に使えるのかのイメージをしておくといいと思います!

留学前にやっておけばよかったこと

渡航後、語学の勉強に割ける時間が全然なく、友人に教えてもらったり街を歩きながら調べたりと言ったなあなあなイタリア語勉強になってしまったので、渡航前からもっと文法と言った基礎になるルールの部分を固めるように勉強しておけば・・・と反省しました。

留学を勧める・勧めない理由

断然お勧めです。若さや学生といったわかりやすい共通点を持てるうちに海外に渡航することで、その時にしか作れなかった友人を多数作ることができます。そんな時期は人生でも今だけだと思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

日本ではなかなか得られない経験、失敗、プレッシャーといった「ノイズ」に触れることで、自分のまだ見ぬ一面を知れたり、苦手や可能性に気づけたりします。日本にいるときより圧倒的に感性が研ぎ澄まされ、不安や感動の振れ幅が大きく、忘れられない濃密な日々を送れること請け合いです。楽しくても楽しくなくても、とにかく留学という貴重な時間を精一杯噛み締めて、やり遂げてください。必ずや掛け替えのない財産になります。