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もんちゃん

出身・在学高校:
滝高等学校
出身・在学校:
富山大学
出身・在学学部学科:
医学部医学科
在籍企業・組織:

タグに興味をもっていただける方がいらっしゃれば是非コンタクトください。
また、ブログには臨床実習を海外で行う準備と留学中に感じたことをリアルタイムで記事にしていますので、ご覧いただければ幸いです。


最終更新日:2020年02月06日 初回執筆日:2020年02月06日

優しいお医者さんを哲学する!

留学テーマ・分野:
大学生:交換・認定留学(日本の大学に在籍しながら現地単位取得を伴う留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • サクロ・クオーレ・カトリック大学(ローマ・カトリック大学)、ジェメリ総合病院
  • イタリア
  • ローマ
留学期間:
2.5ヶ月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 740,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

生まれてくるところから亡くなるまで診れる医師になりたいという想いと倫理問題で取り上げられることの多い分野であるという考えから、産婦人科と老年内科で病院インターンを行い、その傍ら、研究所に通いながらイタリア人医師らがどのように患者さんらをみているのか、その背景となる考えや倫理観を人格主義の立場から研究しようと留学しました。
留学を始めてみると、書類手続きの問題でインターンと研究する時期が変更せざる得ないなどありましたが、実際に患者さんを英語と少しのイタリア語を使い診察したり、レジデント達とディスカッションしたりオペに入ることができ、また日本では分からなかった文献資料を手にすることができ、研究テーマの理解を深めることができました。

留学の動機

たとえば糖尿病になる生活習慣にも原因があり、この原因の「原因」で病気になるともいえます。病院で学ぶうちに、日本でこの「原因」を診れ、取り組める医療者が少ない、と感じていた頃にイタリアの生命倫理学に出会い、別の角度から解決できないかと考えました。
留学タイトルの優しいお医者とは単なる性格ではなく、身体の中をみながら、倫理学という「フレームワーク」でも患者さんをみること、それこそが「優しさ」です。

成果

病院でのインターンを通じて海外で働くとはどういうことなのか、私自身が思っていた以上に臨床現場が楽しい場所だと気づくことができました。
生命倫理学を研究テーマにして途方に暮れることもありましたが、ローマで暮らす人々と関わる中で「結論は急がなくても良い、すぐに導けたものが正しいとは限らない」と諭され、真摯に向き合っていく覚悟ができたように思います。

ついた力

いま、この瞬間に何ができるか考えて動く力

日本の大学での病院実習ではどうしても見学者のように過ごしてしまいがちではありましたが、それではせっかく留学に来た意味がないと言い聞かせて、言葉が上手く伝わらない、学ばせていただいている立場であるということを抜きにして考えて、チームに、患者さんに自分がどう動いたら一番コミットできるのか行動するようになりました。

今後の展望

「優しいお医者さんをもっと増やすこと」を私自身のミッションとして医療現場、教育、社会の3つのフェーズで活動したいと考えています。そのために実務者としての臨床経験を積みながら、パブリックヘルスと倫理学について理解を深めるためまた留学をしようと思います。

留学スケジュール

2019年
4月~
2019年
5月

イタリア(ローマ)

ローマ・カトリック大学医学部の研究所では人格主義生命倫理学の根幹となる考え方や各地での報告例など文献を読み漁ったり、滞在中に胎児医療に関する講習会が偶然あり、そこでボスが講演するとのことで参加してジェメリ総合病院での臨床倫理の実践を知ることができました。
分野に特化した膨大な資料があるというのは大変貴重なことです。廊下に置かれていたジャーナルをふと手に取ると、これまで構想していたことがピンポイントに書かれているなど一気に研究を進めることができました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

生命倫理に関する文献が世界中から集まる図書館
お世話になった研究所の教授
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

2019年
5月~
2019年
6月

イタリア(ローマ)

産婦人科と老年内科をおよそ3週間ずつローテーションしました。海外での臨床実習ではよくあることかも知れませんが、これと決まったプログラムがある訳ではありませんでしたので、自分で達成目標を立ててやりたいこと、病棟や外来、オペに入る日をある程度決めて比較的自由度高く(自分から動いて意思を伝えないと何もできないので)常にできる手技や診察がないか考えていました。具体的には、患者さんが割り当てて貰える訳でもないので自分で3,4人担当を決めて身体診察を中心にレジデント達とディスカッションする、日本では助産師さんがしてくださることが多いのですが、お腹の中の赤ちゃんの心拍や子宮の収縮度合を入院している妊婦さん達を自分で計測して読んでいく、オペではチームが毎日異なり初めましての先生が多かったので、まず1件目は見学して2件目からは交渉して術野に入るなどしていました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

可愛がってくれたレジデントたち
仕事の合間にcaffè(エスプレッソ)休憩
一緒に勉強した医学生たち
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

1970年
1月~
1970年
1月

イタリア

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

there is no logic

やっとのことで病院でのインターンを開始する朝、留学担当の人に案内されながら言われた`there is no logic`という一言がローマでの留学を表す言葉です。
建物が増築されて2階と6階が同じフロア続きであったり、システムが上手く起動しなかったり、インターンを開始するのに断られたと思ったら、急にOK が出たり。

「ほらね、もう訳わかんないでしょ?no logic, no logic」と最初に出会った医師らがホスピタル・クラウンでした。

その時点では辛かったり理解できない出来事であっても、一つひとつ楽しもうと思えるようになった魔法の言葉でもあります。

ホスピタル・クラウンの方々

日本のことが、とても好きになった瞬間

ご縁があって、日本語コースの授業のお手伝いをすることがありました。富山のことや医療など私がこれまでに経験したことを日本とイタリアとを対比しながら改めて調べてまとめると、今まで気づかなかった魅力や由来、自分の関心事が明らかになっていきます。そのことを興味深く聞いてもらえたおかげもあり、一層日本のことを自身のアイデンティティとして意識することになりました。

また、現地に住む同世代の日本人の皆との出会いも刺激的でした。よく留学に行ったが同じ国同士でつるんでしまったり、という話を聞きます。僕自身も当初は日本語を使う機会を避けていましたが、出会って語り合うとそんなことが勿体なく感じます。ピアニストやバレリーナ、美容師など職種もさまざまで、留学生であっても目的は一人ひとり異なります。そんな彼らとは各々の普段過ごすフィールドを大切にしながら、たまに仕事終えて会ってナイトアウトしながら語り合うというのは留学ならではの贅沢だと思います。そして、日本という枠組みを良い意味で取り外して、自由に挑戦して生きて良いんだ!とそう思わせてくれたことに感謝しています。

サピエンツァ大学の日本語授業をお手伝い
ローマ歌劇場でオペラを鑑賞

留学中に、自分を勇気づけてくれたモノ・コト

週が変わり、別のチームに合流してインターンを行う日の朝のこと。また初めましてと挨拶し、慣れるのに苦労するんだなと少し憂鬱気味に、もし日本で実習をしていたらと思っていたときに廊下で出会った言葉です。この言葉のおかげで何か吹っ切れ、そしてもうひと踏ん張りしたいときに見返して励まされていました。
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今から20年後、あなたはやったことよりも、やらなかったことに失望する。
ゆえに、もやい綱を解き放ち、安全な港から船を出し、貿易風に帆をとらえよ。

探検し、夢を見て、発見せよ。

『トム・ソーヤの冒険』著者であるマーク・トウェインの言葉

担当者が行方不明になっていた!?

  • 留学先探し : インターンシップ

留学当初の計画ではすぐに病院でのインターンを開始して、その後研究の予定でした。しかし、訪れてみると事前に送っていた書類が放置されていて、すぐには病院に行けなかったのです。よくよく会って話してみるとメールをしていた担当者と異なる人物で、前任の人がmissingだと言われ、その瞬間状況が理解できずフリーズしてしまいました。
そこからようやく書類チェックが始まり、保険金額足りない、英文の証明がさらに必要など現地での契約と交渉を繰り返し始めました。幸い、その期間は研究所に居させてもらえたおかげで手持ち無沙汰になることなく過ごすこともできたのですが、この経験から粘り強く交渉する大切さの一方で、最善を尽くしたのなら機を待つしなやかさを身をもって知りました。

交渉も日本の話も、たくさんした留学担当の方たち

留学前にやっておけばよかったこと

イタリア語の基本的な挨拶は事前に勉強したり、診察の際に使う用語などは現地でも調べながら覚えていきましたがランチや仕事中の雑談はイタリア語なのでなかなか、その輪に入り溶け込むのには苦労しました。仲良くなるツールという意味で語学はやるに越したことはないです。

留学を勧める・勧めない理由

いま日本で過ごしている場所に少し違和感を感じているのなら、外の世界に出てみることをおすすめします。そこにとどまり、文句だけを言い続ける人生よりもuncomfortable な状況に自分を置いてでも新たなものを吸収していき、いつか還元できたらとチャレンジングに過ごしたい、そんな方には留学がぴったりだと思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

私自身留学するのにあたりワクワクしながらも、そんなことを楽しむ余裕がないくらい大変なこと続きで、どうして行くのか問いかけることがたくさんありましたが、行かないという選択肢はありませんでした。
これを読んでこれから留学する方もそんな心境かも知れません。世界にはきっと、良かったと思える小さくとも輝く何かが待っています。それを信じてトビタってください、その先のご多幸をお祈りいたします。