留学大図鑑 留学大図鑑

大山壮歩

出身・在学高校:
麻布高等学校
出身・在学校:
千葉大学
出身・在学学部学科:
医学部医学科
在籍企業・組織:


最終更新日:2019年11月22日 初回執筆日:2019年11月22日

ボストンで病理学の神髄に触れる

留学テーマ・分野:
大学生:交換・認定留学(日本の大学に在籍しながら現地単位取得を伴う留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • Massachusetts General Hospital Department of Pathology
  • アメリカ合衆国
  • ボストン
留学期間:
4週間
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 310,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<英検1級、TOEFL iBT 101点> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

マサチューセッツ総合病院(MGH)の外科病理部という部署で、4週間におよび臨床業務を見学させていただいた。実習内容としては、向こうの研修医(resident)について回るシャドウイングが主だった。MGHでは日本と違ってマンパワーがあり、臓器ごとに部門が分かれていたため、1週間ごとにローテーションをする臓器を選ぶことができた。私は以前より興味のあった肺・乳房・血液・消化管を選択した。Residentの主な業務は、指導医とともにその日の症例の最終チェックを行うsign outや、臓器の切り出しや標本化、手術室横で迅速検体を待ち凍結標本の作成・診断、などと非常に多岐に渡った。また毎日何かしらのカンファレンスが行われており、例えば小規模のものでは病理部を回っているresidentを対象とした講義に毎日参加した。大規模なものでは、病院の呼吸器科の外科医、腫瘍内科医、放射線科医、病理医が文字通り一堂に会し、治療方針について話し合うoncology conferenceなども毎週行われていた。

留学の動機

私は小さい頃アメリカに住んでいたこともあり、将来的にまたアメリカで働くという道もキャリアの選択肢の一つに入れていた。一方で、医学生として大学病院の臨床実習を回っているうちに、実際に臓器を手にとって触り、観察や分析を重ねることで疾患の病態や成因に迫る病理学という学問に強く惹かれていた。このような二つの背景が相容れることで、今回の留学の動機は醸成されていった。

成果

英語での外科病理学の各論的な知識はほどほど身についたが、それ以上にアメリカに来てみて初めて真の意味でpathologyとはどういう学問なのか、その全体像のようなものが(なんとなく)見えたと思う。つまり広義でのpathologyは、端的にいえば、髪の毛から糞便まで、人間を構成するありとあらゆる物質から、病態のメカニズムを論理的に解明しようという知的探求行為のすべてを指すのだろう。

ついた力

とりあえずガンバロー力

MGHの病理部は全米の中でも一、二を争うほど忙しく、residentがキャパオーバーしてあまり構ってもらえない日々が続くこともあったが、わざわざ日本から来てくれた物好きな学生のために何か得られることを、と隙間時間に色々と教えてくれようとする指導医もたくさんいた。そのような先生方の存在があったからこそ自分もなんとか今回のプログラムを修了させることができたので、大変感謝している。

今後の展望

留学前後で病理学という学問全体に対する認識自体が変わってしまった。上記したように、本来pathologyとは非常に広い分野を指す言葉である。自分はその中でも診断病理より、疾患の病態や成因を解明する側面に興味の対象が偏っていることがわかった。今後は、investigative pathology(直訳すると実験病理学)の観点から、特定の疾患の病態解明に貢献する仕事ができれば幸いである。

留学スケジュール

2019年
6月~
2019年
6月

アメリカ合衆国(ボストン)

 医療先進国と呼ばれるアメリカにおいて、病理医の働き方とはどのようなものなのかを見てこようと日本を旅立ち、一ヶ月ほどマサチューセッツ総合病院の病理部というところで過ごした。現地で実際に感じたのは、医療や保険制度などを取り巻く大きなシステムの違いはあれど、提供している医療レベルに大差はないということだ。考えてみれば当たり前の話で、国際論文などのエビデンスを元に世界共通の医療を行っているような時代である。
 しかし前者のシステムの問題は、見方によっては致命的だ。例えばアメリカでは病理医の人数は日本とは比べ物にならないほど多くマンパワーがあるため、一医師が診断業務のみにとられる時間も相対的に少なく済む。また病理部は完全に自立した科であり、他科に依存するなく責任を持って自らの仕事を行っていた。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

Ether Domeで朝カンファレンス
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

笑いあり、涙あり!留学中にあった、すごいエピソード

 Bostonでの留学が無事に終わり、束の間の夏休みを満喫するためにニューヨーク(NY)へと移動した。もともとHouseやHiphopというジャンルの音楽が好きだった自分は、そのイベントに参加するために以前にも幾度かNYへ足を運んでいた。NYは街中を歩けばいい音楽が耳に入ってくるような、いわば文化的なパラダイスである。特に夏休みの時期は、毎週末(どころか平日でさえ)どこかのclubやroof top barで有名なDJを招き、大型のpartyが開催されている。
 今回自分が参加したものは、Houseの大御所DJ Danny Krivitをホストした船上クルージングパーティーだった。極上のHouse musicが流れる中で、ハドソン川の水上から臨むマンハッタンでは日が暮れていき、夜景が姿を現した。さらにその週は、NYじゅうでGay prideというLGBTQのコミュニティを祝うイベントが開催されていたため、そのPride marchから流れてきた数多のLGBT関連の人々と一緒になってパーティーを楽しんだ。Rainbowカラーが溢れる煌びやかな船上にあって、むしろ自分たちを含めた少数の観光客の方が完全なマイノリティーと化していた。しかしそんなこともいつの間にか忘れてしまうほど楽しく、至高な時間であった。

クルーズ船内はLGBT関連の人々の熱気で溢れていた

不測の事態に備えて、プランB(C)を用意しておくべき

  • 費用 : 奨学金

 私の今回の留学はトビタテがなければ実現不可能だったため、事務局や支援企業を含めた関係者の皆様にはいくら感謝してもしきれない。その大前提の上で、今回の自分のエピソードを後進への教訓としてシェアしたいと思う。
 留学を開始してから現地でしばらく経った頃に事態は発覚した。私は大学を通じて、奨学金の書類のやり取りをしている中で、どうやら本来もらえる予定で話が進んでいた授業料がもらえないということがわかった。詳しく書けば、今回留学したマサチューセッツ総合病院(MGH)はハーバード大学の関連病院であり、そこのプログラムに則った単位交換留学ではあるものの、直接大学に所属しているわけではないため授業料はもらえないという主旨のメールをいただいた。私はその少なくない授業料をもらったとしても、かなりギリギリの資金でやりくりしていたため、正直これにはかなり困った。
 結論からいえば、日本にいる両親から借金をすることでなんとか事態を切り抜けることができたのだが、留学中は本当に何が起こるかわからないし、異国の地で資金が尽きるということさえも考えて第二、三の策は常に考えておくべきだったと身に沁みて痛感した。

これから留学へ行く人へのメッセージ

適材適所という言葉があるが、人には必ず輝ける場所がある。もしかしたら今いる社会にはそれがないかもしれない。それでも世界がこんなに広いのであれば、そのような場所がどこかにあってもおかしくない。このような考えを持つことができる人は、一歩外に出たことのある人間だ。だから若いうちに留学に行くことは、必ず今後の人生を豊かにしてくれるものだと思う。