留学大図鑑 留学大図鑑

ほっしー

出身・在学高校:
フェリス女学院高等学校
出身・在学校:
東京工業大学大学院
出身・在学学部学科:
工学院機械系
在籍企業・組織:


最終更新日:2019年11月15日 初回執筆日:2019年11月15日

太陽光発電効率向上のための材料探索

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • スイス連邦工科大学ローザンヌ校 Materials science and engineering専攻
  • スイス
  • ローザンヌ
留学期間:
1年
総費用:
2,000,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,850,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

現在日本の大学院で,太陽電池の効率を向上させるのに有望視されている「光アップコンバージョン」という技術の研究を行っている.この研究のヒントとなりそうな有機化学,特に超分子化学(分子同士の相互作用を利用し,分子を秩序立って配列させる学問)を専門に研究しているスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究室に所属し,その分野の知識習得と研究を行うことを目的とした.留学先研究室では,分子間相互作用と結晶構造の関係性に関する先行研究を参考にしながら,新規なナノカーボン材料(グラファイトやカーボンナノチューブのようなものを想像していただければと思う)を合成する研究に取り組んだ.
私はもともと機械工学を勉強しており,化学合成の経験はなかったので,所属先の研究室では合成の基礎を教わるところから始まった.目的の材料の合成と精製に時間を要し,特に精製がうまくいかないことが多かったが,スーパーバイザーのポスドクさんに相談したり,定期的に先生に進捗を報告したりしながら研究を進めた.成果は最終プレゼンとしてまとめて帰国前に先生とスーパーバイザーに発表した.得られた超分子化学の知見は修士論文研究に役立てる予定である.

留学の動機

大学生になるまでは海外に行ったことがなく,大学のプログラムで短期間アメリカとタイに行ったことが一つのきっかけになった.アメリカでは大学の授業や研究室を見学,異なる背景の人たちと共に研究するのが楽しそうだなと感じ,いつか長期で留学したいと思った.タイでは日本のかつての支援に対する感謝の礎を見つけ,私も勉強している理工系の分野から世界のためになることがしたいと思い,エネルギー問題に的を絞った.

成果

分子設計と合成の技術を得たこと,英語で討論するスキルが身についたことだと思う.塩酸の英語名も知らなかった私だったが,最終プレゼンでは先生からの質問にもうまく答えられたと感じたし,よいディスカッションだったと良い評価をいただけた.合成の基礎を学んだので,日本の研究室でも導入し,修士研究のための材料設計が自分でできればと思う.

ついた力

異分野に飛びこむ力

前述の通り,私は機械工学専攻だったが有機化学系の研究室に所属した.先方の先生に研究内容にとても興味があるとメールを書き,ありがたく受け入れていただいた.留学前はどうなることかと思ったが,先生や学生さんたちが基礎から丁寧に教えてくださり,今までと異なる視点を得られた点でとても有用だった.周囲の方々に恵まれたというのも勿論あるが,自ら興味を持って学ぼうとすれば周りも助けてくれるのだなと感じた.

今後の展望

留学前から将来はどんな業種に就こうか,はたまた修士修了後に進学するか就職するかで悩んでいたのだが,留学して新しい分野を学んだり,現地の先生や学生,また現地で出会った日本人の方々の意見を聞いたりして,ますます選択肢が増えてしまったというのが正直なところだ.今は目の前の修士研究に精を出しながら,自分が本当にやりたいことは何か,それには何が必要なのかを考えていきたい.

留学スケジュール

2018年
8月~
2019年
7月

スイス(ローザンヌ)

1年間研究を中心として大学に通っていた.最初は研究背景の勉強もしていたが,軌道に乗ってくると一日のほぼ全部を実験室で過ごすようになり,研究室によって生活スタイルもだいぶ違うものだなと感じた.専門科目の授業もセメスターにつき二つずつ履修していた. EPFLの授業はレベルが高く,かなり勉強しないとついていけないうえ,口述試験や3時間かつ持ち込み不可の筆記試験には苦戦した.
休日にはグループタンデムといって,日本語を勉強したいスイス人とフランス語を勉強したい日本人が集まってお互いに教えあうというイベントに参加し,そこでも友達がたくさんできた.またスイス国内やヨーロッパの他の国に旅行にも行った.クラシック音楽が好きなので,あちこちのオーケストラを聴きに行ったり,ローザンヌ国際バレエコンクールの決勝を観に行けてとても満足だった.

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

60,000 円

生活費:月額

70,000 円

ローザンヌの街並み.
EPFLのキャンパス.
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

60,000 円

生活費:月額

70,000 円

スペシャルエピソード

感謝してもしきれない、お世話になった・大好きな人

研究室の方々には本当にお世話になった.先生やスーパーバイザーはもちろん,他の学生にも実験のいろんなことを教えてもらったり,普段おしゃべりしたり,金曜日の夕方に研究室のキッチンで料理をしたり….特に,同じ時期から修士の交換留学生として研究室に所属していたドイツ人の女子学生にはとても仲良くしてもらっていた.彼女は交換留学生という立場が同じだったので話が合ったうえ ,とても研究熱心で学ぶところが多かった.進路について話し合ったり,彼女の出身大学のあるドイツのKonstanzを案内してもらったりもした.

帰国時に研究室からいただいたメッセージカードと大学グッズ.

大人しくしていてはもったいない,いろんな人との会話を楽しもう

  • 語学力 : 英語

大したことではないのだが,留学中長期間にわたって悩んだのが,「大人しいキャラ」が定着してしまったことだった.英語力・コミュニケーション力がそれほど高くなく,特に大人数になるとただ話を聞くことしかできず,研究室や寮のキッチンなどでの雑談になかなか参加できないことが多かった.研究内容のディスカッションより,こういった雑談の方が難しいと感じていた時期すらあった.
これといった解決策はないのだが,私の場合一対一での会話なら何とかなっていたので,まず一対一で積極的にいろんな人と話すよう心掛け,会話の練習もしつつ,こいつそんなに大人しいわけじゃないじゃんと思ってもらう作戦を取った.留学期間が1年と長かったことも幸いし,この積み重ねで帰国頃には人並みの会話力が身につき,人と話すのが楽しくなったかなと思う.英語環境にいるだけでは英会話力は身につかず,話して初めて身につくものだと痛感したし,いろいろな背景の人と話すことも留学の醍醐味だったなと今では感じている.

留学前にやっておけばよかったこと

日本文化のことをもう少し知っておけばよかったと思うことが多く,特に日本食は簡単に作れるようにしておけばよかったとよく思った.あと現地はフランス語が公用語で,確かに英語が話せる人は多かったが,街中ではフランス語で会話できる方が肩身が狭くなかったなと感じた.留学前にもう少し勉強しておけばよかった.

留学を勧める・勧めない理由

私は最初は海外で研究するって楽しそうくらいの動機だったが,留学して,日本にいた時には当たり前だと思っていたことがそうでもなかったことや,いつの間にかある考え方に染まっていたこと(今後のキャリアについてなど)に気づき,想像以上にたくさんの価値観を得た.多様な価値観を知るチャンスがあるなら,知らずにいるのはもったいない.海外に友達ができたことも宝なので,留学はぜひお勧めしたい.

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学初期に,先生から「海外で暮らし勉強するというだけで大変なのだから,生活についても研究についても助けが必要な時はどんどん周りに頼りなさい」と言われていたことをよく覚えている.海外で活動するのに助けが必要なのは当たり前.自分で解決しようとするよりは,周りに訊いた方がいい方向に落ち着くことが私の経験では多かったので,もちろん自分で考えることも大切だが,周りに頼ることをどうか恐れずに.