留学大図鑑 留学大図鑑

八木 洸紀

出身・在学高校:
滋賀県立 石山高等学校
出身・在学校:
立命館大学
出身・在学学部学科:
立命館大学大学院
在籍企業・組織:
京セラ株式会社


最終更新日:2021年04月07日 初回執筆日:2021年04月07日

研究室で開発した高機能材料の特性評価実験

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • University of Trento, Department of Industrial Engineering
  • イタリア
  • トレント
留学期間:
83日
総費用:
650,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 720,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 挨拶など基本的な会話ができるレベル<TOEIC400点台> 挨拶など基本的な会話ができるレベル<TOEIC600点台>

留学内容

所属する日本の研究室で開発した高機能材料の高温特性評価をイタリアのトレント大学で現地の教授と共に行ってきました。この高機能は高強度と高延性(割れにくさ・加工しやすさ)の両立を指します。例えば、強度が2倍の材料で物を作れれば、半分の薄さでも元と同じ丈夫さの物が作れるため資源の節約になる。しかし、高強度化すれば延性は失われてしまうトレードオフの関係があります。材料は様々な物の根源であるため、安心安全な物作りのためには壊れにくさ、加工しやすさが重要であり、強度と延性の両立は必須です。また、様々な環境下でその材料がどのような特性を示すか調べておく必要があります。開発品は室温で高機能を示しましたが、高温環境でも室温のときと同様の特性を示すか調べる必要があったため、高温特性評価ができるイタリアのトレント大学へ留学し実験をしてきました。私は高温特性評価の専門ではないため、現地の教授とディスカッションして次にどのような実験をするかを考えて実行し、またディスカッションすることを繰り返しました。このように研究を進めることにより、日本で開発した材料の高温に対する特性が明らかになってきました。このデータは所属する研究室では取れないデータであり、トレントまで来たからこそ取れた貴重なデータになりました。

留学の動機

開発した材料の高温特性に関するデータを得るためです。トレント大学を選んだ理由は2つです。1つ目の理由は、トレント大学には高温に関する豊富なデータと実績があるため、我々の知識不足を補ってくれると考えたからです。2つ目は共同研究を行っており短期に成果が見込めたからです。少ないですが日本にも類似の装置はありますが、新たに共同研究を始めるには長い時間をかけて相互理解を築く必要がありました。

成果

自分が開発した高機能材料に対して、所属する研究室ではできない特性評価をできたため、世界で他にないデータである。得られた結果は仮説と異なっており、ディスカッションをしながら研究を進めたため新たな知識も多く得た。得られたデータを考察し、まとめることで国際学会にて発表を行うことができた。また、実験装置の使い方を教わる中で、装置の故障を防ぐ工夫などを学ぶことができ日本でも応用していきたいと考えている。

ついた力

立ち止まって考える力

日本ではやってみないと分からない精神で深く考えずに実験を行うことが多かったが、留学先では、時間をかけて実験計画を練る力や、実験で得たデータに対して深く考察する力がついたと思う。これは、留学初期に実験装置が壊れていたために時間をかけて論文を読んでから研究を進めたこと、実験装置の使用者が他にもいるために毎日は使えなかったことで、十分に計画を練り、考察をする時間が得られたことに起因していると思う。

今後の展望

研究に関しては、留学でどのような特性を示すかを明らかにできたが、なぜそのような特性を示したかについては十分明らかではない。そのため、日本に評価サンプルを持ち帰り引き続き解析を行うことで、なぜそのような特性を示したのか、より良い材料を創るにはどうしたらよいのかを解明していく。留学先で学んだ、立ち止まって考えることの重要性を活かして、今後の研究生活と就職後の仕事に取り組みたいと思う。

留学スケジュール

2018年
9月~
2018年
12月

イタリア(トレント)

イタリアのトレント大学で現地の教授と共に約3か月共同研究を行った。具体的には上記の通り、日本で開発した材料の高温特性評価です。成果として、国際学会で留学先の実験結果を用いた発表をしました。留学先の教授にも見ていただきました。また、日々研究を進める中で、よく仲間を集めてコーヒーブレイクをしている姿を目にしました(私も参加しました)。ただの休憩のように思っていましたが、雑談に加えて研究のディスカッションを行っていることもあり、コーヒーブレイクはミーティングの役割も担っているから研究の効率が高いように感じました。日本でもコーヒーブレイクや一緒に昼食をとるなど情報交換を行いながら効率的な研究を行っていきたいと考えています。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

60,000 円

項目:航空券など交通費、保険

230,000 円

イタリアの実験装置
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

60,000 円

項目:航空券など交通費、保険

230,000 円

スペシャルエピソード

日本のことが、とても好きになった瞬間

留学へ行って日本を顧みる機会は何度かありましたが最も印象的に残ったことは世界の就活・仕事事情についてです。私自身12月に帰国で翌年の3月から就活だったため冬のインターンシップなど就活について考えていました。そんな時にせっかく海外へ来て友達も出来たのだからと、彼らが将来についてどう考えているのか聞いてみました。あるイタリア人の学生は、博士課程の学生です。彼は、イタリアには仕事はいろいろあるが、低賃金の仕事が多く博士を出た人には合わないことが多く、より良い条件の仕事を得るためにはドイツへ行かなければならないと話してくれました。また、チリ人の学生は、チリにはそもそも仕事があまりなくヨーロッパで就職するつもりだが、認知症の母が母国におり心配だと話していました。彼らの話を聞くまでは就活に対してネガティブな感情でしたが、自分の国にこれだけ多くの条件の良い企業がある事は誇りであり、日本で就職できることのありがたさを強く感じました。彼らがそれを教えてくれたことで就活も頑張れましたし、これから社会人として働くうえでも誇りをもって働けると思います。

パーティーで文化とか色々話したり。

非言語コミュニケーション

  • 語学力 : 英語

私はそもそも英語力が低く現地でのコミュニケーションが難しかったことから友達をつくるのに非常に苦労しました(現地がイタリアの片田舎で英語が通じにくい事も相まって)。何としても友達が欲しいと考えて2つの事を行いました。1つ目は毎日同じ時間に昼飯や休憩などを取り、同じ生活習慣の人と毎日顔を合わせて徐々に仲良くなる方法。これは話すきっかけづくりとしては非常に役に立ちましたが、英語力の壁は相変わらずありました。2つ目は非言語コミュニケーションです。英語力が低くて言語コミュニケーションが難しいなら非言語のコミュニケーションを取ろうと考えました。例えばスポーツや料理などです。1つ目の方法で仲良くなった友達の中にフットサルをやっている人がいたため一緒に参加させてくれと頼んで参加させてもらいました。スポーツはルールに従って行うためルールを知っていれば言語が少なくても行うことができるうえ、チームプレイであるため一体感が生まれ友達ができやすいです。もう一つの例は、日本文化の紹介の一環として配属された部屋のメンバーにお好み焼きと唐揚げを振る舞いました。中国人の握ったスシしか日本食を知らないと言っていた彼らに日本食を広められたことに加え、食を用いた共感から彼らとの仲を深めることができたと思います。あとは笑顔とジェスチャー。言語力が低い人は低いなりのコミュニケーションの取り方がある事を学びました。楽しかったです。

英語力が低い時は素材、レシピとか英語の下調べが大事。

留学前にやっておけばよかったこと

もっと英語が話せれば現地の学生とより深い内容のコミュニケーションやディスカッションが行えたと思う。

これから留学へ行く人へのメッセージ

英語力が低くて思いきれないこともありましたが、せっかく留学に来ているのだから...と思って積極的に色々なことにトライしてみてください。トライさえすれば意外とうまくいくことが多いです。うまくいかなくても死ぬわけではないので楽観的にとらえるようにしてください。一つうまくいくと自身がついて次々と物事がはかどります。