留学大図鑑 留学大図鑑

Gento Kato

出身・在学高校:
神戸市立葺合高等学校
出身・在学校:
国際基督教大学, 早稲田大学
出身・在学学部学科:
教養学部, 大学院政治学研究科
在籍企業・組織:


最終更新日:2019年05月14日 初回執筆日:2019年05月14日

政治科学の本場で博士号取得を目指す

留学テーマ・分野:
大学院進学(修士号・博士号取得)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • カリフォルニア大学デービス校大学院政治学専攻
  • アメリカ合衆国
  • デービス
留学期間:
5年
総費用:
20,000,000円 ・ 奨学金あり
  • (独)日本学生支援機構(JASSO)「海外留学支援制度」 13,000,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEFL iBT 103点> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル<TOEFL iBT 108点>

留学内容

政治学における最新の研究手法を身に着け、日本の政治、特に世論を理解するための研究に活かす、というのが留学の主な目的でした。2015年に、標準年限は5~6年程度である正規の政治学博士課程に入学し、一からの博士号取得を目指して現在が4年目です。アメリカの博士課程では、最初の2~3年をコースワークに費やします。研究に取り組む前に、学部の時よりもさらに密度の濃い、少人数で発言が要求される講義を集中的に受講し、研究能力を身につける狙いです。4年目の今、本格的に研究に取り組んでみて、過去3年間に積み上げてきた知識と経験の大きさを感じています。じっくりと理解を深めた先行研究と研究手法を基に、より意味のある研究をしている実感があるからです。今後は研究をさらに進め、2年以内に博士号取得を目指す予定です。

留学の動機

政治学という学問分野では、政治の「あるべき姿・規範」を探求する政治「哲」学と、政治が「今ある姿」を捉える政治「科」学という2つの要素が共存しています。日本では政治哲学は古くから盛んですが、政治科学については海外から遅れをとる部分もあります。私の研究では、政治の現状を正確に捉えることが重要であり、アメリカは政治を科学的に分析する上で最先端の研究手法を学べる場所だったので、留学を決断しました。

成果

最初の2~3年はコースワークが主だったため、自らの研究に取り組み始めるのは遅れましたが、それでもじっくりと知識を貯めた効果はあったと感じています。付け焼刃の研究手法ではなく、正しい理解を基に、本物の分析をしていると感じられるからです。

ついた力

主張する力

アメリカでは、口に出して主張をしないと、自分の求めている結果や評価を得られません。ディスカッションで自分の意見を主張するのはもちろんですが、大学事務所や商品を購入した店でも、自分が求めていることをはっきりと言わなければ、何もやってくれないことが多いです。日本では控えめが美徳とされる部分もあると思いますが、アメリカで生活を送っていく中で、国際社会における主張する力の重要性を感じることができました。

今後の展望

留学後は大学などで研究に関する仕事に就きたいと思っています。日本における政治科学、特に選挙や世論に関する研究の発展に貢献できればと思います。

留学スケジュール

2015年
9月~
2020年
6月

アメリカ合衆国(デービス)

5年間が標準年限の博士課程です。途中で修士号を取ることなく、直接博士号の取得を目指します。留学直前に結婚をして、妻と2人でアメリカに渡りました。アメリカでは、学生はルームシェアをすることが多く、またデービスは家賃が高騰していたので、二人で住むのに丁度良いアパートを探すのには苦労しました。2年目からは大学の家族用アパートに順番待ちをして入り、日本からの奨学金とアメリカで教育補助をするなどした収入を合わせて生活しています。教育・研究面ではとても充実していて、豊富な知識や分析経験を身に着けることができています。一方で、アメリカの文化や習慣に戸惑いを感じることもありました。今は、無理をしてこちらの文化や習慣に合わせるとストレスも溜まるので、日本的な習慣(食事やお風呂など)も保持するように意識しています。留学も4年目になり、後2年程度での博士号取得を目指して、博士論文に取り組んでいます。

費用詳細

学費:納入総額

4,800,000 円

住居費:月額

90,000 円

生活費:月額

100,000 円

大学から近い(車で4時間)ヨセミテ国立公園にある滝です。
費用詳細

学費:納入総額

4,800,000 円

住居費:月額

90,000 円

生活費:月額

100,000 円

スペシャルエピソード

この国のことが、とても好きになった瞬間

こちらの配送業者は、家の前に商品を置き去りにしていくスタイルです。家にいない時間も多いのでとても助かりますが、一方で手渡しではないという不安もあります。我が家では、やはり日本食が食べたいので、通販サイトでお米を購入しています。ある時、サイト上では「お届け完了」となったのに、家の前にお米が来ていませんでした。そこでカスタマーサービスに確認メールを一通すると、数分後に「再発送しました」という返事。まだ紛失したと決まったわけではないのに再配送するという気前の良さに感動した数時間後、今度は隣人が家の前までやってきて「これあなたの家のですよね」とお米を置いていきました。こうして二袋のお米を前に満足した私たちは「これからは荷物が届かない時の連絡はできるだけ早くしよう」と固く決意したのでした。

留学先での食事の一コマ。しっかり米食です。

アメリカで学生夫婦二人暮らしする場所を見つけるのは難しい

  • 住まい探し : 一人暮らし

北カリフォルニア、特にベイエリア(サンフランシスコ、バークレー、サンノゼなど)では近年家賃が高騰していて、学生が家を見つけることが難しくなってきています。大学町であるデービスも、法律によって新しい住宅の建設が規制されているのも一因として慢性的に住宅が不足し、家賃が年々上昇しています。さらに、アメリカでは多くの学生(および若い人)はルームシェアをするので、ワンルームで独立した物件が日本に比べて著しく少ないです。私は、妻と二人でアメリカに渡ったので独立したアパートに住みたかったのですが、見つけるのにはとても苦労しました。実際、夫婦で留学しに来ている知り合いも、多くの人がさらに他の人とルームシェアすることが多いのが現状です。結果としては、1年目は少し広すぎる(そして家賃も高すぎる)アパートに2人で住み、2年目からは大学の家族用アパートに順番待ちをして入りました。家族用アパートは子供がいる夫婦が優先されるということで最初はためらっていたのですが、もう他に選択肢がないということで申請すると、意外とスムーズに入居することができました。多くの人が入居開始を希望する8月9月を避ければ、すぐに入居可能な時もある様でした。よって、アメリカに留学して独立したアパートに住みたいという場合には、早めに検討を始めて、大学側が提供するオプションにも積極的に応募しておくことをお勧めします。

留学前にやっておけばよかったこと

住む家のリサーチ。

留学を勧める・勧めない理由

私見としては「日本と違う文化に触れたい」がメインの留学は少しもったいない気がします。それだと、現地に降り立っただけで目的を果たしてしまったような気分になりがちだと思うからです。海外が日本と違うのは当たり前で、留学先で何を学び取りたいか(英語・現地語がうまくなりたいのか、最先端の研究を深めたいのか、現地の歴史に興味があるのか、etc)がより具体的であれば有意義な時間が過ごせるのではないでしょうか。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学に行ったら、楽しいことばかりではなく、日本では常識だと思っていたことが通じない現実にも直面することになると思います。その時に現地の習慣になんとなく合わせてしまうのではなく、意識的に日本との違いについて考えてみてください。日本で生活することの簡単さ(そして大変さ)を見つめ直すきっかけになるはずです。