留学大図鑑 留学大図鑑

古屋貴士

出身・在学高校:
山梨県立甲府南高校
出身・在学校:
筑波大学
出身・在学学部学科:
理工学群数学類
在籍企業・組織:


最終更新日:2019年03月27日 初回執筆日:2019年03月27日

数学研究の発展による産業界への活性化

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • カールスルーエ工科大学
  • ドイツ
  • カールスルーエ
留学期間:
5カ月
総費用:
1,000,000円 ・ 奨学金なし

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

私は数学の一分野である逆問題という研究に取り組んでいる。逆問題とは、直接見ることが出来ない対象を破壊せずに間接的な観測量から推定する問題のことである。逆問題研究による産業界の産物として、例えば、機器や建築物などの表面温度分布の画像を得る赤外線カメラや、人間の体内の断面図を投影するCTスキャンなどがある。赤外線や放射線を介して未知の情報を抽出するのである。このように逆問題の研究は、産業界で大きく貢献してきたが、産物の精度や効率の向上や、観測量に誤差が生じた場合の問題など、産業界での実用化にはまだまだ多くの課題が残されている。私はそういった実用化のための課題を数学にフィードバックし、数学の問題として捉えて解決しようという研究に現在取り組んでいる。今回の留学は、逆問題研究の新しい進展を目指して、ドイツのカールスルーエ工科大学カールスルーエ工科大学いるKirsch教授と共同研究を行った。

留学の動機

近年、日本でも数学に対する関心が産業界で高まっているが、抽象性や一般性といった数学の強みが漠然とし過ぎており、実際どうやって産業界に活かせばいいのかという問題がある。その問題を解く手がかりになるものが、Kirsch教授が提唱した数学的な手法の進展の中にあると考えた。

成果

今回だけでは数学活用による産業界への活性化の手がかりは得られなかった。それは、Kirsch教授の手法に間違いがあることを見つけたことで、その手法の進展に限界があることを感じためである。得たかった成果は得られなかったが、それとは別の話題に関して、学術論文を2本分に相当する結果を出すことができた。しかし、それは今回留学テーマとして掲げた数学による産業界への活性化に大きく繋がるものにはならなかった。

ついた力

諦める時を見極める力

数学研究は1つの問題に数カ月間じっくり時間をかけて考えることが多い。しかし、いくら時間をかけても解けないことは多々あり、時間を無駄にしないためにもいつその問題を諦めるかが重要である。Kirsch教授との共同研究で手法の間違いを見つけてしまったという負の経験を通して、いつ折り合いをつけるべき直感を磨くことができた。

今後の展望

トビタテ生としての海外活動は終了したが、今回だけでは数学活用による産業界への活性化の手がかりは得られなかった。Kirsch教授の手法では厳しいことだけしか分からなかった。しかし、今回のドイツ留学によって、次の留学先を見つけたので、そこで新たに活性化の手がかりとなる成果が得られるように、引き続き頑張りたい。

留学スケジュール

2018年
10月~
2019年
2月

ドイツ(カールスルーエ工科大学)

Kirsch教授と共同研究を行った。Kirsch教授の数学手法の研究を行ったが、その手法の間違いを見つけたことで、その手法の進展に限界を感じた。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

400,000 円

生活費:月額

300,000 円

研究室の様子
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

400,000 円

生活費:月額

300,000 円

スペシャルエピソード

留学で確信した、“私はこれを目指す!”

留学では、慣れない環境によってつらい経験をすることが多い。そのつらい経験が、自分自身を深く見つめ直すきっかけとなる。私の場合、数学は自分が偉くなるための手段に過ぎないと思っていたが、海外の慣れない環境の中でも数学だけはいつもと変わらずに自分と接してくれた。紙と鉛筆さえあればいつどこでもできる、そんな不変な数学は、自分が偉くなるための手段でなく、自分を支えてくれるものだと気が付いた。この留学のおかげで、今まで気が付かなかった良さに気づき、数学が好きになった。今では、数学は私にとってパートナーのような存在であり、人生をかけていくことを覚悟している。

メリークリスマス数学ジョーク

コミュニケーション方法

  • 語学力 : 英語

英語で伝えることが苦手だった私は、常にノートと鉛筆を持ち歩き、うまく伝えられなくときは書くことで不足部分を補いながらコミュニケーションをとっていた。コミュニケーションの手段は、英語や現地語を上達するだけではないことを学んだ。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学行く前は、色々な不安が多いかと思います。しかし、自分が思っていた不安なものが現実となるとは限らないし、逆に全く予期していないものが現実となったりするので、あまり構え過ぎず、リラックスした精神状態で臨んでほしいかなと思います。