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ハヌーン

出身・在学高校:
滋賀県立膳所高等学校
出身・在学校:
大阪大学大学院
出身・在学学部学科:
理学研究科
在籍企業・組織:


最終更新日:2019年01月23日 初回執筆日:2019年01月23日

細胞膜の矯正によってがんが予防できる!?

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • オーボアカデミー大学生物科学部
  • フィンランド
留学期間:
3か月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 730,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEIC750点> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

細胞のがん化に関与するタンパク質とその周囲に存在する脂質分子の相互作用を観測するため、蛍光測定を専門とするオーボアカデミー大学の研究室に滞在して実験を行った。将来的には、細胞膜を構成する脂質分子の成分を調節することでがんの発症を予防する医薬に応用を目指す。
細胞条件を再現して行う実験条件を組み立てるのは難しいと予想できたが、前提知識のある測定手法だったので機器の理解や操作方法習得に費やす時間を省略して検討に充てることできると考えていた。予想通り実験系の組み立てには苦労した。今もなお結果を解析している段階であるが、必要となるデータは二か月半で取り切ることができた。新しい研究対象であったため、滞在した研究室の先生方とのディスカッションでもすぐに解決できることばかりではなかった。先生方とは今も連絡を取り合って解析を進めており、論文投稿を目指している。

留学の動機

専門分野をまたがる独自のバックグラウンドを持った人間でなければ新しい問題設定や解決を達成することができない時代が迫っている。その中で海外に踏み出すというのは当然の話で、専門性を追い求める以上国内/海外の違いを知っていなければスムーズに活動することはできない。
とはいえ「博士課程1年の夏休み期間」という、自由の利く時間があったから留学をすることにした部分は大きかった。

成果

短期間で共同研究を成功させるために、積極的にコミュニケーションを行って効率的に作業を行っていく必要があると考えていた。しかし、実際には一人で実験を進めていかなければいけないことのほうが多かった。2か月半で予定していた実験を”黙々と”終わらせ、ヘルシンキでの学会で発表を行う機会を得ることができた。多くの人が関心をもってくれたことは今後の研究の励みになったし、それまでの孤独な日々が報われた。

ついた力

実行するために自分の環境を変える力

挑戦の動機には様々なものがあるが、「自信」はかなり大きいものの一つ。何かを成し遂げることを目標として生きている人は内的な技術でその自信を安定させることができるが、単純な好奇心で進んでいるとそうはいかない。ネガティブな現象を目の当たりにしてしまったときにも、誠実に向き合って解釈を進めていかなければならない。そのためには、好奇心だけでなく何か他の行動の動機を用意しておくことも、時には必要である。

今後の展望

得られたデータを用いて論文の投稿を行う。自分の好奇心が働く現象が目の前にある限り、それを追い求めていきたいと思う。

留学スケジュール

2018年
6月~
2018年
9月

フィンランド(トゥルク)

学内の寮を借りて生活した。トゥルクの夏は短く30度を超える日は一週間ほどで、その前後はすぐに肌寒いくらいの気温になる。
街はよく整備されていて治安もよいので、徒歩で通学して夜遅くまで研究室にこもっていた。夏至の前後は日が落ちても夜中まで明るいのでなおさら不安に感じることはなかった。
物価は少し高いが、滞在先の大学では大学院博士課程の学生にもサラリーが充てられている。研究者の生活環境は恵まれており、大学院生とはいえすでに一人の社会人として生活できる感覚だった。そんな印象に加えて、研究室には日本に比べてプライベートの活動を大切にする同僚も多く、毎日夜遅くまで残っているような人は少なかった。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

38,000 円

生活費:月額

100,000 円

項目:渡航費、日本の住まいの家賃

300,000 円

アウラ川越しに望むトゥルク大聖堂
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

38,000 円

生活費:月額

100,000 円

項目:渡航費、日本の住まいの家賃

300,000 円

スペシャルエピソード

あなたにとって留学とは?

ロシア・エカテリンブルクのスタジアムで、サッカーW杯日本対セネガルの試合を観戦した。ロシアのファンが盛り上がってくれている姿を見て感動し、ゴールが決まった時には何人もの人とハイタッチを交わした。きっとロシアの人にとっても、こうやって遠くまできて応援している日本人が楽しんでいる姿を見ることができるのは感慨深いのだろうと思った。
実は私は小学生の頃、神戸のスタジアムで日韓ワールドカップのロシア戦を観たのだ。その時はゴール裏仮設スタンドで観戦していて、今回の席は奇しくもエカテリンブルク・スタジアムの大きな仮設スタンドの目の前だった。日本の試合を観て盛り上がった時間は、16年前の自分と重なったようにも思えた。自分なりに挑戦を続ける限り、今の経験もまたこれからの人生のどこかで生かされるはずである。

エカテリンブルク・スタジアムにてW杯日本対セネガル戦を観戦

航空券の氏名間違いに注意!

  • 事前準備 : 渡航手配(VISA、保険、持ち物など)

航空券購入時の氏名は、綴りや、姓名の順序など含めてすべてパスポートと同じになるように記載するように注意してください。航空券が発行できなかったり、出国を許可されないなんてこともあるそうです。

留学前にやっておけばよかったこと

一番大切なのは精神的にも体調的にも健康でいることです。お金が足りないとか、滞在先が決まらないとか、不十分な準備のまま動き出すのも大きな経験に繋がると思いますが、精神的に不安定になると得るべき経験の質も下がります。自分が得たいものは何なのかを明確にし、他の人に協力してもらって不必要な障壁を減らすのは悪いことではありません。

留学を勧める・勧めない理由

留学中は思いがけないことがたくさん起こります。その出来事にはそれぞれの土地の、人間の考え方が起因しています。そんな、自分の知らなかったことや注意のまわらなかったことひとつ一つを大切にしてほしいと思います。行きたくないのに無理していくと、留学先で得ることのできるものが少なくなると思います。いろいろな言葉に惑わされず、自分の望む選択をしてほしいと思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

うまくいかなかったこと、失敗したこともすべてが皆さんの財産だと思います。どうか自信をもって過ごして、得られる最大限の気づきを持ち帰ってほしいと思います。そのために一度、少しの時間でよいので、留学先で何が起こるのか、どんな生活が待っているのかを想像してみてほしいと思います。これまでの人生で形成された価値観を見つめなおしてみてください。そうすればきっと留学中の出来事の印象がより明確になります。