留学大図鑑 留学大図鑑

山内 莉歌

出身・在学高校:
盛岡白百合学園高等学校
出身・在学校:
岩手大学大学院
出身・在学学部学科:
総合科学研究科 農学専攻
在籍企業・組織:


最終更新日:2019年01月09日 初回執筆日:2019年01月09日

植物で塩害農地から塩を吸い上げる!

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • サスカチュワン大学
  • カナダ
  • サスカトゥーン
留学期間:
2018年7月12日から2018年10月18日
総費用:
- 円 ・ 奨学金なし

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

植物の塩吸収メカニズムの解明を目指す研究インターンシップを行った。津波などにより発生する「塩害」は、世界の農業に大きな損失をもたらす。その解決策として、植物で塩を吸収させることで、農家が本来の生業を失わず且つ、汚染土壌を浄化できると考えた。実際のインターンシップ内容は以下の通りである。
1)植物のスクリーニング...異なる濃度の塩水を与え、生き残ったサンプルが塩に強いと言える。
2)シンクロトロン(超高性能なレントゲンのような機械)...生き残った植物サンプルのどの細胞にどのくらい塩が蓄積しているかを画像解析により特定。
3)ブリーディング技術の獲得…育種の技術を学び、より塩に強いラインを作ることを目指す。

留学の動機

学内のトビタテの説明会で、衝動的に応募しなくてはと感じた。ただただ学部時代が過ぎ去ってしまうことに一種の憤りを感じていた時期だった。また、博士課程への進学を考えていながら、研究が難航し、研究の可能性や意義が分からなくなっていたこともトビタテに応募した理由のひとつである。世界や日本の尖った人々と関われたら、現状を打破するヒントがつかめるかもしれないという淡い期待も抱いていた。

成果

実験の結果、特に塩に強い作物・ラインが発見され、今回得たデータから現在論文を執筆中だ。カナダの研究には、日本との生産力の違い、貪欲さを感じさせられた。にも関わらず、夕方になれば皆一様に帰宅する。仕事の効率化、ある種の思い切り、そして豊富な知識があってこそのデータをまとめる力。何をとっても感心するばかりであった。決して、研究ばかりに生きる学びではなく、何事にも通づる「働き方」を学んだ三か月であった。

ついた力

観察する力

留学は、新しいことの連続。目まぐるしい生活の中で、小さな変化や違いに気づくことは、研究においても、異文化を学ぶという意味においても大切なことのように思う。よく観察して、自分なりに意見を持ち、人に伝えたり、尋ねたりすることは、別な大きな発見へとつながることも珍しくない。また、周囲が自分のことをよく観ていることにも、自分自身がものごとを注意深く見ることで分かってくる。

今後の展望

研究員として働きながら社会人ドクターとして学ぶ道を選ぶことにした。残念ながら、日本のアカデミック教育は、海外とは雲泥の差であることをこの留学で実感した。海外の大学院に進む道も考えたが、日本での教育しか受けていない私には、残念ながら入学試験のプレテストすら解答が困難であった。もっと実践的に経験を積んで、世界との差を時間をかけて補うことで、世界で戦える研究者になるというのが私の今後の目標だ。

留学スケジュール

2018年
7月~
2018年
10月

カナダ(サスカトゥーン)

塩ストレスに強い植物を見つけ出す研究
温室と室内の研究室の両方で活動した。実験によって、教わる学生は変わったが、基本的にはお世話になった研究室の学生と行った。
1)植物のスクリーニング...異なる濃度の塩水を与え、生き残ったサンプルが塩に強いと言える。
2)シンクロトロン(超高性能なレントゲンのような機械)...生き残った植物サンプルのどの細胞にどのくらい塩が蓄積しているかを画像解析により特定。
3)ブリーディング技術の獲得…育種の技術を学び、より塩に強いラインを作ることを目指す。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

サンプル採集
使わせていただいた温室。これで、全体の1/5以下。
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

留学中に手に入れた、今でも大事にしているもの

ある日、友人が言った言葉に、人としてのあり方を学んだように感じる。「今日はなんていい日なんだ。マリカ、そう思わないかい?」日本語にするとものすごく違和感があるが、英語で言われたと思ってもう一度読み直すと不思議と自然な会話に思えてくる。つまり、彼女が何を言いたかったかというと、今日は、天気も良くて、好きな実験をして、ご飯が美味しくて、友達と他愛もない会話をしている、自分の好きが集まった良い一日であることに幸せを感じているということである。人の幸せ、人生の豊かさに、特別なことなんて何もいらなくて、自分の気持ちに素直に従えばいい。極々シンプルだが、人間としてのあり方を教えられたように感じ、今でもふと思い出し、自分が本当にしたいことはなにか?と自分の心に問うようにしている。

留学生の友人たちと。

今は今しかない。

  • 単位・留年 : 休学・留年

私は、なぜか休学を毛嫌いし、3ヶ月という留学期間を選んだ。しかし、今にして思えば、休学なんて取るに足らないことで、むしろ、自分が国家プロジェクトで留学をするということの方が、人生においてはより重要な場面であると今になって気づいた。まだ選択の余地のある人は、ぜひとも可能な限りの時間を留学に使い、自身の糧にしていただきたい。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学しようか迷っている方、ぜひとも一歩を踏み出しましょう。世界は違って見えます。
留学が不安な方、最初は誰でも不安です。時に、激しく憤ります。しかし、その乗り越え方を知ることは、人生の大きな糧となるはずです。
留学はモラトリアムと考えている方、それは、むしろ将来へと直結しています。
留学は、自分の弱さ・強さの両方を知れる重要な経験です。みなさんにとって、より良い経験となられることを願います。