留学大図鑑 留学大図鑑

井上剛

出身・在学高校:
聖学院高等学校
出身・在学校:
奈良先端科学技術大学院大学
出身・在学学部学科:
情報科学研究科
在籍企業・組織:


最終更新日:2018年10月29日 初回執筆日:2018年10月29日

アラビア語×日本語×人工知能

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • New York University Abu Dhabi
  • アラブ首長国連邦
留学期間:
12か月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 2,170,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル

留学内容

アラブ圏の在外邦人やその関係者に向けて現地情報を迅速に提供するために,アラビア語で発信されるSNS上の情報をリアルタイムに日本語で提供するシステムの開発とそれを実現するための言語解析技術の研究開発に取り組みました。

(1)私が翻訳者・校閲者として参加してきた東京外国語大学メディア翻訳プロジェクトのアラビア語新聞記事翻訳データを活用し,情報処理の分野で利用できる形式に整備しました。また整備したデータを用いてアラビア語・日本語間の機械翻訳技術の検証を行いました。この成果については,2018年5月9日に言語資源に関する世界最大の国際会議LRECで発表しました。

(2)前述のデータを活用して,SNS上にあるアラビア語の情報をリアルタイムに日本語で可視化するツールを開発しました。これについては,2018年8月28日にNLP若手の会シンポジウムで共著者が発表を行いました。ここで得たフィードバックをもとに国際会議投稿へ向けてさらなる改善に努めています。

留学の動機

学部時代は,東京外国語大学でアラビア語を学んでいましたが,経歴を活かした新たな目標実現のため,大学院は,奈良先端科学技術大学院大学に進学し,新しく情報科学を学びはじめました。所属研究室では充実した日々を過ごしていましたが,アラビア語の言語処理という同じ関心のもと密な議論ができる環境で新しい挑戦をするために,この分野のメッカとされるNizar Habash准教授が率いる研究室への留学を決心しました。

成果

アラビア語と日本語という言語的特徴がまったく異なる言語対のデータは少なかったため,学会発表ではその点が評価されました。発表後,エジプトの大学関係者がこのデータの利用申請を行ってくださいました。また私の帰国後も留学先の学部生がこのデータを使って機械翻訳の研究に取り組む運びとなりました。このデータを検索できるウェブサイトは,東外大生がアラビア語記事を翻訳する際に利用されています。

ついた力

調整力

留学先で実施した研究は,国際的・学際的連携によって初めて成立させることができました。この研究は,留学先のNew York University Abu Dhabi,所属先の奈良先端科学技術大学院大学,前所属先の東京外国語大学が共同で実施したもので,国や分野をまたがる協力研究者の方々と連絡・調整を取りながら,自分が提案した研究を主導するという貴重な経験が得られました。

今後の展望

多様性を尊重し,国際的に活躍する研究者を目指します。自然言語処理の分野では,経済的な観点から研究対象が一部の言語群に偏っており,いまだ多くの言語で資源構築や検証が不十分な状況にあります。そこで,これらの言語圏を中心に積極的に共同研究を提案・実施することで,この状況の改善を試みます。その際,実際に海外の研究機関に身を置くことで,実務面においても高い国際通用性を備えた研究者を目指します。

留学スケジュール

2017年
8月~
2018年
8月

アラブ首長国連邦(アブダビ)

New York University Abu DhabiのNizar Habash准教授のもとで,私が提案した研究プロジェクトを実施しました。

前半は,東京外国語大学メディア翻訳プロジェクトのアラビア語新聞記事翻訳データを活用し,情報処理の分野で利用できる形式に整備しました。また整備したデータを用いてアラビア語・日本語間の機械翻訳技術の検証を行いました。この成果については,2018年5月9日に言語資源に関する世界最大の国際会議LRECで発表をしました。

後半は,前述のデータを活用して,SNS上にあるアラビア語の情報をリアルタイムに日本語で可視化するツールを開発しました。これについては,2018年8月28日にNLP若手の会シンポジウムで共著者が発表を行いました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

大学のキャンパス
学会発表で留学先の指導教員と
一面の砂漠
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

最も価値があったのは,自分の適性がより明確にわかったことです。自然言語処理や人工知能の分野で世の中に貢献する方法として「研究」と「開発」の二つがあったとして,私は「研究」に向いていることがわかりました。というのも,今回の留学では研究論文の執筆とサービスの構築の二つを実施しましたが,大学院から理転したという背景から,開発に必要なプログラミングへの苦手意識がどうしても拭えませんでした。一方で論文執筆は得意で,共著者からOKが出てからも自分が納得するまで何度も修正を重ねることに,まるで苦はありませんでした。将来は,苦手な点は周囲に協力を求め,得意な点においては周りを引っ張っていけるような人材を目指したいと思います。キャリア選択においては,開発者ではなく研究者として活躍したいと思うようになりました。

論文執筆中のデスク

現地で和食を自炊するために持っていくとよい材料

  • 生活 : 食事

これまでクウェートとエジプトへ留学した経験から,現地での食事が自分の口に合わないとあらかじめわかっていたため,スーツケースの半分すべてに日本食をつめて渡航しました。滞在中は,ほぼ毎日全食自炊していました。

以下,あるとよいものを羅列します。

袋麺のたれ:麺は,パスタを茹でるときに重曹を加えれば,ほぼ再現できます。
おにぎり用のふりかけ:現地ではのりはありましたが,混ぜご飯おにぎり用のふりかけは見当たりませんでした。
チューブ状の調味料:わさびは入手できますが割高です。大葉や柚子胡椒がおすすめです。からしは粉でよいと思います。
薬味:山椒や七味はミル状のものと詰替えを持っていくとよいと思います。挽くタイプのものは現地で見つかりませんでした。
薬味おろし:現地スーパーでは見つかりませんでした。現地に進出している日系の100円ショップにもありませんでした。
緑茶:現地にも売ってはいますが,種類が少ないです。ほぼ番茶か煎茶で手頃な玉露はありませんでした。
鉄卵:湯を沸かすときに入れれば鉄分が補給できます。なすの変色も防げます。
土鍋:お米は土鍋で炊くと美味しいです。現地に進出している日系の100円ショップに売っていました。
たこ焼き器:鉄板の部分だけでもよいと思います。現地で見つけるのは困難だと思います。

ある日の夕飯

これから留学へ行く人へのメッセージ

体に気をつけて頑張ってください!