留学大図鑑 留学大図鑑

クロサワ

出身・在学高校:
福岡県立筑紫高等学校
出身・在学校:
帯広畜産大学
出身・在学学部学科:
共同獣医学部
在籍企業・組織:

動物系、特に野生動物保全に関する留学をしたい方はぜひご連絡ください!


最終更新日:2018年10月04日 初回執筆日:2018年10月04日

霊長類獣医師への第一歩

留学テーマ・分野:
海外インターンシップ
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • NPO法人Wildtracks
  • ベリーズ
  • サーテネハ
留学期間:
6か月
総費用:
800,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 800,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

自分の留学内容を一言でいうとサルにまみれてきました。詳しく言うと、現在、霊長類の60%は絶滅の危機に瀕しています。その、主な理由は二つで、開発により生息地が奪われていることと、密猟です。さらに、密猟には二種類あり、ブッシュミート、いわゆる食べるためと違法ペットとして売るためです。日本では、考えられませんよね。しかし、日本にもスローロリスというサルの仲間が、東南アジアで密猟され、違法にペットとして売られているんですよ。中南米ベリーズでも、ユカタンクロホエザルと中央アメリカクモザルという二種類のサルの違法ペットが横行しています。ちなみにどっちも絶滅危惧種です。そのような状況の中、現地NPO法人Wildtracksは、違法ペットの被害にあった個体を引き取り、リハビリテーションを行い、ジャングルに還す活動をしています。自分はその中のナースリーユニットにインターンシップ生として所属していました。ナースリーユニットには、生後間もない個体や、2歳以下の野生化では親離れしてない子たちが運ばれてきます。自分は、彼らの母親代わりをしていて、日中のほとんどの時間を彼らと共に生活していました。ご飯やミルクをあげ、一緒に遊び、一緒に寝る。サルもウンコもおしっこもふってくる理想的な労働環境でした。本当は、母ザルと過ごすはずだった時間を同じ人間が奪ったことに申し訳なさを感じながら、精いっぱいの愛情を注ぎました。

留学の動機

 自分はずっと野生動物のために生きようと思って、獣医学部に入りました。しかし、学年が上がるにつれ、野生動物っていうのは漠然としているなと感じ、自分が一番好きなサルのお医者さんを目指すことを決めました。しかし、サルの世話をしたことないのに霊長類獣医師というのもおかしな話だなと思い、留学を決めました。

成果

一番の成果は、ユカタンクモザルと会話できるようになったことです。最初は彼らの鳴きまねをしていても無視されていたのですが、練習を重ねた結果、ある程度遠くにいても、自分がサルの声で挨拶すると近くまで来て、挨拶を返してくれるようになりました。帰国後、動物園にいたユカタンクモザルに試しに挨拶をしてみるときちんと返してくれたので、留学してよかったと心の底から感じました。

ついた力

サル力

留学するまでは、サルは最もヒトに近縁だけどやっぱり動物でしょと思ってたのですが、実際に一緒に過ごすと全然ほかの動物と違いました。日々によって、機嫌が異なるし、感情も顔を見ただけで伝わる、それに好きな人と嫌いな人がいる。このように、実際にサルと過ごさないとわからないようなことが、少しだけわかったような気がします。

今後の展望

やはり、今回の経験を通して野生動物のために生きようと強く思いました。しかし、自分も人間であり、ヒトも嫌いではないので、ヒトと野生動物がきちんとした距離感で共生できる社会づくりに貢献出来たらなと思っています。具体的な目標は、35歳までに情熱大陸に出演することです。

留学スケジュール

2017年
10月~
2018年
4月

ベリーズ(サーテネハ)

中南米ベリーズで、NPO法人Wildtracksにインターンシップ生としてお世話になり、密猟被害にあったサルの保全を行った。日々の業務内容は、母親が必要な年齢のサルの世話をすることである。知識では知っていた「霊長類が絶滅の危機に瀕する理由の一つは違法ペットのための密猟である」を実際目の当たりにしたのはかなりの衝撃であった。やはり、頭で理解しているのと、体感することは全く異なるものである。日々の生活はジャングル暮らしであった。もちろん電波は通じず、太陽発電のため曇りの日はシャワーの代わりに目の前の湖に浴びに行く。そんな原始的な生活をすると、日本がいかに裕福で、モノがあふれすぎているということが見えてくる。しかし、そのような生活が続くと非日常が日常になり、日々の生活も快適に感じ、割とどこでも生きていけるなと思えた。

費用詳細

学費:納入総額

420,000 円

住居費:月額

150,000 円

生活費:月額

230,000 円

我が子①
お昼寝タイム
ジャングルでガスタンクを運ぶ
費用詳細

学費:納入総額

420,000 円

住居費:月額

150,000 円

生活費:月額

230,000 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

自分は、留学する前までは、人間の活動により野生動物が絶滅の危機に瀕しているなら、保全するのは当たり前だという、どちらかといえば上から目線、そしてどちらかといえば現地の人たちについては考えていなかった。そのような考えの中、NPOの施設を卒業し、ジャングルに帰ったサルたちのモニタリング調査を行う機会があった。そのジャングルの近くには、30人ほどの先住民の人々が住んでいて、彼らはジャングルと共に育ち、ジャングルと共に生活していた。Wildtracksは彼らと協力して、ジャングルを保全し、サルをモニタリングしている。先住民が勧めるよくわからないものを食べたり、飲んだり、一緒にサッカーをしたりして彼らと少しずつ仲良くなった。時間があるときに、彼らに開発により小さくなっているジャングルや野生動物について尋ねた。彼らはすぐに、もちろん護りたいと答えた。この時、初めて自分は現地の人たちの意見を聞けた。ジャングルと共生している彼らが護りたいというなら、必ず護るべきであるし、先進国がプランテーションなどで搾取する構造はやはりおかしいと思った。自分が今行おうとしている野生動物保全が意味ある行為だと再確認できて安心した。

原住民の人たち
リハビリが終わり森に帰ったサル

見つからない受け入れ先

  • 留学先探し : インターンシップ

自分は、霊長類の保全をしているNPOにインターンシップをしようと思った。また、アジアのジャングルには何度か訪れていたので、フィールドを変えるためにアフリカか中南米を考えていた。自分が探していたNPOには二つ条件があり、一つ目は絶滅危惧種を保全していることである。調べるとアフリカのいくつかの地域で絶滅危惧種以外の種を保護活動しているNPOがあった。自分は絶滅危惧種も普通種も同じ命であるため、違いはないと思う。しかし、普通種を積極的に保護するとその環境の飽和能力以上の個体数になり人との軋轢が生まれやすくなる。二つ目は、野生復帰させた後にモニタリングを行っているかである。モニタリングを行っていない場合は生存率が不明であり、NPOの行為がただの自己満足にすぎない場合がある。これらの条件を満たすNPOを探すために、まずはGoogleに「primates conservation」と打ち込み調べた。そして、条件を満たしそうなNPOに片っ端から連絡した。恐らく20は超えていただろ。その中で、返信が返ってきたのは5つほどで、またポジティブな返事を得れたところは2つだけであった。また、アフリカのNPOはポジティブな返事をくれたが、返事が遅い時があり、やり取りに滞りが生じたため、ベリーズのNPOに決めた。インターンシップ先のNPOが見つかるまで2か月はかかったと思う。

留学前にやっておけばよかったこと

出発前に睡眠をしっかりとることをお勧めします。自分は飲み会などが続き、寝不足の状態で出発しました。そして、ベリーズまでは3日ほどで到着しましたが、飛行機でも寝れず、アメリカで一泊した時も時差ボケであまり寝れなかったため、トランジットのヒューストン空港で注意散漫になり財布を忘れてしまいました。ベリーズについた時には、クレジットカードがなく、少しの現金しか持ち合わせてませんでした。かなり困りました笑 

留学を勧める・勧めない理由

自分は、留学に全く興味ない人には留学を進めません。別に、留学が学生生活の全てではないですし、留学に行って何かが劇的に変わるわけでもないです。しかし、少しでも留学に興味を持っている人は行くべきだと思います。特に、周りに日本人がいない環境をお勧めします。圧倒的なマイノリティになるというのは日本にいてはできない経験なので、一度ぐらい経験するといいですよ。

これから留学へ行く人へのメッセージ

気張らずに頑張ってください。