留学大図鑑

田中 宏和

出身・在学高校:
福岡県立春日高等学校
出身・在学校:
東京大学
出身・在学学部学科:
大学院医学系研究科 社会医学専攻
在籍企業・組織:
エラスムス大学医療センター

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最終更新日:2020年06月19日

欧州の健康格差研究からアジアの未来を探る

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • エラスムス大学医療センター
  • オランダ
  • ロッテルダム
留学期間:
12ヵ月
総費用:
- 円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表プログラム」 2,460,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 生活に困らない程度の日常会話ができるレベル 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

博士課程で行なっている健康格差研究をさらに深めるため、「健康格差分析と対策の日欧比較」をテーマに掲げ、オランダ・エラスムス大学医療センターに1年間留学し研究を行いました。受け入れてくださったJohan.P Mackenbach教授とその研究グループは、過去30年にわたり世界の健康格差研究をリードし健康政策に大きな影響を与えています。特に欧州域内の国際比較研究を数多く実施しており、欧州の公的データを広く収集しているという点で強みがあります。またデータが蓄積されているだけでなく、その管理や分析に長けた研究者がそろっており、将来日本やアジアの国で健康格差分析・対策を行うための実務的なトレーニングを受けることができると考えこの大学に留学することに決めました。一方でこの研究グループは欧州とアメリカの国際比較研究などの実績はあるものの、日本出身の研究者がグループに加わったことはなく、日本やアジアの国との国際比較研究はこれまでに行われていませんでした。したがって、新たな研究のネットワークを作り研究者として今後の発展の基礎を築くことも今回の留学で重要な目標の一つでした。最終的には計画通り1年間留学をして研究を行い、論文を完成させるともに研究者として多くの実践と経験を積むことができました。

留学の動機

博士課程2年の時、データの分析方法がうまくわからず、研究室内の研究発表で同僚から厳しい指摘を受け、文献を当たり直していました。この時、英国医師会雑誌(BMJ)に掲載されたヨーロッパにおける社会経済状況による死亡率格差の変化に関する論文を読み、留学することを決めました。留学前にこの研究を論文としてまとめることができ、これを発展させる形で留学を開始することができました。

成果

留学を通じて欧州の人口動態統計や健康に関する調査について深く学ぶことができました。特に印象に残ったのはスイスやノルウェイなどEU域外の国も含めて欧州各国のデータが広く収集されており、公開されている統計も数多くあることでした。実践活動として日本・韓国の人口動態統計を用い、欧州各国の職業階層別死亡率との比較研究を行いました。この結果、健康格差の傾向は日本・韓国と欧州で異なることが示唆されました。

ついた力

ヨーロッパ力

現在のEUではドイツやフランスなど人口、面積ともに大きな国に注目が集まります。しかしながら、EUは大小の28カ国からなり、加盟していないスイスやノルウェイもEUから完全に離れて存在しているわけではありません。実際にオランダで生活をすることによって、ヨーロッパ諸国の公衆衛生の発展を含め、歴史的、政治的、文化的、地政学的な考え方に触れることができヨーロッパの見方が変わりました。

今後の展望

大学院を修了して博士号を取得した後、再びオランダを拠点に研究を続けたいと考えています。今回の留学で主題とした健康格差だけでなく、医療・福祉・公衆衛生分野の広い範囲で欧州と日本・アジアの比較研究を行い、欧州とアジアの双方に価値のある研究を発展させたいと考えています。

留学スケジュール

2017年
8月~
2018年
7月

オランダ(ロッテルダム)

エラスムス大学医療センター公衆衛生学分野の一員として研究活動を行いました。2週間に1度のペースでJohan.P Mackenbach教授と面談を行い、研究テーマの設定・文献調査・分析・データの整理・論文の執筆を行い1本の論文を作成し国際専門誌に投稿しました。私が所属していた公衆衛生学分野はスクリーニング評価、医療判断学、産業保健、終末期医療、外傷・安全、社会疫学、若年者保健、感染症コントロール、がんサーベイランスの9つのサブ部門に分かれており、スタッフと学生を合わせると100名を超す大所帯です。月に1回、全員が集まるスタッフミーティングが開催されます。約70%が地元のオランダ出身のスタッフ・学生で、残りは留学生や私のように海外から客員研究員として参加しているメンバーです。また、社会疫学の研究グループ(スタッフと学生約15人ほど)に参加し、月に1回ミーティングに参加していました。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

Borrelboat: ロッテルダム港クルーズ
エラスムス大学医療センター(後方はロッテルダム中心街)
キンデルダイクの風車網(ロッテルダム郊外)
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

- 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

受け入れてくださったオランダ人教授、Johan.P Mackenbach先生は来日経験がほとんどなく、日本人を受け入れるのも初めてでした。初回ミーティングで初めてお会いした時(直前に高校と大学でそれぞれ日本に留学していたオランダ人大学院生に会い、「心配しないで、めちゃ優しいから!」と流暢な日本語で励ましてもらいました)、受け入れの謝意を伝えたところ、「奨学金が取れてよかったね、それで…君は誰だい(Who are you?)」とにっこりおっしゃいました。先生は欧州から見た日本の公衆衛生や健康について率直な意見をお話しくださり、日本の先生と話すだけではわからない視点で常に議論することができました。

ストックホルムの欧州公衆衛生学会にて

キャッシュレス社会、オランダ

  • 生活 : お金

オランダは高度なキャッシュレス社会になっており、私が普段いたエラスムス大学医療センターの中にあるレストランやお店では現金での支払いができませんでした。また、スーパーマーケットのAlbert HeijnではVISAが使えず、PINカードというオランダの銀行が発行しているデビットカードのみが使用可能でした(レジを選べば現金支払いは可能)。解決方法としてはPINカードを作成するしかなかったので、住民登録を済ませて個人番号を入手した後、すぐに銀行を予約し口座を開設しました。逆にPINカードがあればオランダのみならず、欧州の多くの国で支払いが容易で現金でユーロを持ち歩くことはほとんどありませんでした。

「支払いはPINカードのみ可」

これから留学へ行く人へのメッセージ

私がオランダにいた経験からそう感じるのかもしれませんが、何か確かな目標を持ってその国に来ていることが現地の人に伝われば、彼らはきっと留学生のことを応援してくれると思います。留学前に悩んだり不安に思ったりすることは必要なプロセスだと思いますが、きちんと準備をすればきっと杞憂に終わることがほとんどだと思うので、いざ日本を出発したら思いっきり楽しんでください。