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最終更新日:2020年06月05日 初回執筆日:2020年06月05日

フィンランド教育の比較統合で学ぶ教師の姿

留学テーマ・分野:
大学生:交換・認定留学(日本の大学に在籍しながら現地単位取得を伴う留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • ヘルシンキ大学,ウェラーズヒル州立学校, The Brisbane Japanese Language and Culture School
  • オーストラリア・フィンランド
  • ヘルシンキ・ブリスベン
留学期間:
ヘルシンキ2017年8月〜3月ブリスベン2018年3月〜4月
総費用:
1,490,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 1,490,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<英検準1級> 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル

留学内容

ヘルシンキ大学では、教師教育・多文化共生教育を中心に学びました。私は「外国にルーツのある子供の日本語教育」を専攻し、「教育環境の改善」について研究しています。教育の分野に長けているフィンランドで教育環境の改善の答えを見つけられるかもしれないと思い留学を決意しました。前半は、大学の英語で開講されている教育系の授業を受講し、教師に必要な基礎・応用を学びました。世界中の、教師を志望しているまたはすでに教師の生徒が集まり、授業は主にディスカッションやグループワークを中心にしました。後半は、前期で学んだ教師教育学を活かし、日本の教育とフィンランドの教育を比較し、授業でそれぞれの教育を比較・統合することができました。また、授業以外にもフィンランドの小学校・高校に訪問し、日本の教育とフィンランドの教育を比較したディスカッションをする機会を得ました。その経験を活かし、オーストラリアでウェラーズヒル州立学校、日本語の語学学校で教師実践をしました。この小学校は半分を日本語、半分を英語で授業を行う学校で、自分の理想とする教育現場を見ることができると思いました。実際その学校でも改善点はあり、自身のこれからの研究の改善にも繋がりました。

留学の動機

留学の動機は、自分の研究を通してフィンランドで教育学を学びたいと思ったからです。日本では、外国にルーツのある子供たちが生活をしていくために必要な教育を十分に受けられないという問題があります。そのような子供たちがフィンランドの言語・文化を学びつつ、母語・母文化も忘れないという環境に興味がありました。また、大前提として、子供たちの土台を作る教育現場の基本的な作り方をフィンランドで学びたいと思いました。

成果

「教育現場の改善方法」の答えは、今回の留学で明確な答えを得ることができませんでした。ただし、世界中の教師教育を学ぶ生徒に出会い、“教育”とは教育を研究している人の数だけ色々な答えがあり、ひとつが正解ではないということに気がつきました。初めて日本の教育を客観的に見て、またフィンランドの教育を主観的に見たことで新しい視野に気がつきましたので、この留学は大きな成長に繋がったと自負しています。

ついた力

視野を広げる力

今まで、自分が信じていた教育論や、「こういう方法が正しい」ということは、全て正解ではなく、また同時に間違いでもありませんでした。教育というのは、様々な意見や歴史を重ねて、日々形を変えていくもの。それを気がつけたのは、今まで持っていた視野が留学によって広がったからです。外の世界に出なければ、一生気がつくことがなかったと深く感じております。

今後の展望

今後は留学の経験を活かし、外国にルーツのある子供たちの日本語教育・母語母文化教育を引き続き研究テーマとして、大学の卒業論文に取り組みたいと思っています。そして、大学院に進学し、さらに自分の研究を進め、実際にそのような子供たちの教育現場を変える人物になりたいと強く願っております。そのなかで、また留学をする機会があれば是非したいなと思っています。

留学スケジュール

2017年
8月~
2018年
3月

フィンランド(ヘルシンキ)

留学の前半は、世界中から集まる生徒に圧倒され、自分の意見を言うことができませんでした。しかし、それではここにいる意味がないと思った私は、違うアプローチ法を考えました。先生にメールを送り、授業が終わったあとに教授に質問をし続けました。この行動力がつくまでは、日本に帰りたいと思うことも多々ありました。しかし、ディスカッションにも慣れ、物事をより客観的に見る大切さにも気がつけました。また、シェアハウスで、住人とあまり仲良くなれず、少し窮屈な生活を送りました。そこでのストレスもあり、積極的に何かをすることが難しい時期もありましたが、こちらも勇気を出してシェアハウスの住人に呼びかけハウスパーティをして打ち解けたりと、行動を起こす大切さを知りました。辛く苦しい時間もたくさんありましたが、その分学ぶことも多く、留学でしる“新しい視野”を改めてその時間で手に入れることができたのだと実感しました。

費用詳細

学費:納入総額

10,000 円

住居費:月額

560,000 円

生活費:月額

420,000 円

フィンランドの高校生の恒例卒業イベント
船でお隣のタリンに!風が強すぎて髪の毛が散乱
寒すぎて毎日フードは欠かせない!
費用詳細

学費:納入総額

10,000 円

住居費:月額

560,000 円

生活費:月額

420,000 円

2018年
3月~
2018年
4月

オーストラリア(ブリスベン)

ウェラーズヒル州立学校で教師サポートとして授業に参加しました。子供たちが日本語で分からないことがあっても、英語で返してはいけないというルールがあり、私自身「どのような日本語で伝えれば分かるのだろう?」ということを考えさせられました。そのときは、上手い言い回しができませんでしたが、何度か回数を重ねることで伝え方も上達し、子供たちの教育現場を改善していく教師の在り方を学ぶことができました。語学学校では子供たちとは変わって、大人に日本語を教えるという違った視点を学習しました。それぞれの視点を重ね、オーストラリア留学でも新しい視野を手に入れることができました。オーストラリアではホームステイをし、ストレスフリーな生活を過ごしました。勉強はもちろん、オーストラリアの様々なところに連れて行ってもらい、学校に行くのも、家に帰るのもとても楽しみでした。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

40,000 円

オーストラリアで一番大きい動物園でカンガルーと
オペラハウスの階段で。大きさに圧倒されました!
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

80,000 円

生活費:月額

40,000 円

スペシャルエピソード

ココでしか得られなかった、貴重な学び

フィンランドといえば、サンタクロース!フィンランドの北部にある「ラップランド」では、「サンタクロース村」というサンタさんに会える場所があります。ここで、初めてサンタさんに会いました!一生懸命フィンランド語を勉強して、少しでもサンタさんと会話ができるように準備をしていましたが、何とサンタさんは日本語の達人。日本語以外にも様々な言葉が話せるようで、終止日本語で会話をしました。マジカルな世界が今でも忘れられません。また、「ハスキーライド」という、ハスキー犬がそりをひっぱり、そのそりに乗るアクティビティにも参加しました。日本では味わうことができないような世界を見て、ただただ感動。そのときの光景は今でもはっきり心に残っています。フィンランドでしかできない経験は、人生の財産。留学先で勉強に没頭するのはもちろん、その国独特の文化に触れる大切さを学びました。

待望のサンタクロースとご対面!
ハスキーライドを引っ張ってくれたハスキー犬たち

文化の違いは家にあり。価値観の違う人と一緒に生活するということ

  • 住まい探し : シェアハウス

留学をする人で、シェアハウスをする人が多いと思います。筆者もシェアハウスを経験しました。最初は寮
を希望していたのですが、フィンランドは留学生に対して、寮の数がとても少ないです。また、寮は交換留学生を最優先とし、私費留学や修士論文留学、インターンシップで留学してくる留学生の受け入れはほとんどないようです。私は私費留学生でしたので、すでに寮の空きがありませんでした。そのためシェアハウスを選択しました。フィンランドの物価はとても高いため、一人暮らしの予算は住居費で10〜15万と言われています。そのことを考慮し、シェアハウスを始めましたが、最初は住人と打ち解けることが難しくストレスが溜まる一方でした。食器の後片付けをしなかったり、冷蔵庫のものがなくなっていたり、夜中の騒音があったりと、最初の1〜2か月は我慢をしている生活が続きました。しかし、このままではいけないと思い、勇気を出して住人に呼びかけ、ハウスパーティを開きました。そこでようやく打ち解けることができ、今まで抱えていた悩みを話し、和解しました。その後は休みの日に一緒に遊びに行くなど、今でも連絡を取り合うなかに。ストレスを抱えていたときは思いもしなかったことでした。文化の違いや価値観の違いを押し付けることはできないと思います。しかし、お互いを理解した上で、それぞれの考えを尊重することはできます。それをするのも、まずは自分から会話することが大切なのです。そのことをこのシェアハウス生活で学びました。

ムーミン美術館に行く仲に!

留学前にやっておけばよかったこと

留学前に、自分の研究テーマももっと明確にするべきだったと感じております。そうすれば、フィンランドの教授に具体的な悩みをもっと詳しく聞けたのではないかと思いました。

留学を勧める・勧めない理由

留学することで、今まで見たことがない世界を見ることができます。外国の状況はテレビやインターネットを通してある程度知ることができますが、本当のその国の姿は、自分の目で見ない限り知ることは難しいです。今、何かの答えを探しているなら、留学をすることをオススメします。留学でその答えが見つかることはないかもしれません。しかし、必ず何かしらのヒントは得られると思います。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学って、楽しいことばかりではないです。苦しいことも辛いこともたくさんあります。でも、その経験をした人は新しい視野を広げることができるのです。辛い思いをした分、結果はきっと納得いくものになると私は個人的に思っています。若いうちに辛い経験をたくさんして、その分納得のいく答えを探したいという方に留学はオススメです。もちろん楽しいこともたくさんあるので、どちらも経験できる留学にしてください。