留学大図鑑 留学大図鑑

エリ

出身・在学高校:
近畿大学附属広島高等学校東広島校
出身・在学校:
広島大学大学院
出身・在学学部学科:
生物圏科学研究科
在籍企業・組織:


最終更新日:2018年04月02日 初回執筆日:2018年04月02日

塩の大地でイネを育てる!

留学テーマ・分野:
大学院生:交換・研究留学(日本の大学院に在籍しながら現地大学院内で学ぶ留学)
留学先(所属・専攻 / 国 / 都市):
  • カセサート大学農学部
  • タイ
  • バンコク
留学期間:
4か月
総費用:
350,000円 ・ 奨学金あり
  • トビタテ!留学JAPAN「日本代表/新・日本代表プログラム」 630,000円

語学力:

言語 留学前 留学後
英語 授業や会議の内容が理解でき、必要な発言ができるレベル<TOEIC645点> 専門的な研究や会議において、議論や調整ができるレベル<TOEIC660点>

留学内容

1. 主な目的
 大学院・研究留学:塩害土壌でも生育が可能なイネ品種を見つけること
2. 概要
 「塩害土壌」という言葉で画像検索をすると、所々が白く、乾いた土の写真が出てきます。白の部分は地表に出てきた塩分で、その塩分は植物から水分を奪い、容赦なく枯らしてしまいます。世界の灌漑農作地の約20%でそういった現象が起こっており、多くの農家の人達が苦しんでいます。
 私は塩害土壌の問題を少しでも改善するため、農業で有名なタイのカセサート大学に留学し、塩害に耐性を持つ耐塩性イネを探す研究を行いました。最初の2カ月間はイネの栽培と塩害土壌へのフィールドワークに専念し、残りの期間はイネの収穫や分析などをしました。結果、修士論文に載せることができるほどには、良い成果を残すことができました。

留学の動機

留学のそもそものきっかけは、学部時代に行った交換留学です。当時の滞在先も、今と同じタイのカセサート大学で、研究室の隅っこにお邪魔して簡単な実験などもさせてもらいました。その時にお世話になった現地の先生が、「良かったらもう一度来て一緒に研究しよう」と言ってくれたおかげで、今回の留学が決まりました。

成果

一番の成果は、タイでしかできない研究ができたことです。実験ではタイにしかないイネの品種を使い、フィールドワークでは日本にはない塩害土壌を観察することができました。また、今回は2回目のタイへの滞在ということで、以前は余裕がなくて知ることができなかったタイの文化や歴史、人々の一面をずっと奥深くまで学ぶことができたのが良かったと思います。

ついた力

前向きに進む力

自分の夢や思いに嘘をつかないように、自分の可能性を信じながら前を見つめて進むこと。
毎日タイの学生や留学生達と一緒に将来の夢について話して、彼等の考え方を知っていく内に、自分を信じて前にひたすら進むことが今の自分に必要なんだと気づかされました。

今後の展望

今後は博士課程後期に進学します。塩害を含めた環境問題に負けないよう、農業をもっと発展させて農業国に貢献できる研究者になりたいです。

留学スケジュール

2017年
9月~
2017年
12月

タイ(バンコク)

タイのカセサート大学に滞在し、イネ育種学の研究室でイネを栽培しました。
イネの栽培(9月~11月)。基本的に一人での作業でしたが、研究室での生活に慣れるまでは友人に頼りっきりでした。イネの世話の合間に他のメンバーの実験を手伝ったり、大学近くの市場に昼ご飯を買いに行ったりしました。イネを枯らすわけにはいかないので(枯らしてしまうと分析ができなくて実験失敗になる)、遠出をすることはできなかったけれど、その分タイの人々の日常や暮らし方に目を向けるようになりました。
イネの収穫と分析(12月)。留学の中でイネの分析が一番苦労しました。実験器具が足りなかったり、不純物の含まれていない水を別の研究室までもらいに行ったりなど。けれどそのおかげで、海外での研究に必要なタフさと気力が身についたと思います。

費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

10,000 円

生活費:月額

- 円

イネの収穫(サンプリング)。長さなどのデータをとっていく。
研究室のアイドル、ラムヨン。本来は鼠の駆除係だったらしい。
費用詳細

学費:納入総額

- 円

住居費:月額

10,000 円

生活費:月額

- 円

スペシャルエピソード

留学中に手に入れた、今でも大事にしているもの

研究室のメンバーが私の誕生日を祝ってくれたことがとても印象に残っています。
その日、私はいつも通り研究室で実験をしていて、自分の誕生日についても「今年は一人だなあ」とあまり気に留めていませんでした。すると研究室で一番親切にしてくれていた友達が「先生が夕方くらいに話したいことがあるそうだから待ってて」と言われ、何だろうと思いながらその時間まで待っていました。すると研究室のメンバーが大きなケーキを抱えてやってきて、誕生日の歌を歌ってくれて、喜ぶよりも先にすごくびっくりしたのを覚えています。その後、とても安心しました。
何故かというと、私は研究室に受け入れられているのかどうか、当時まだ不安に思っていました。英語で話そうにも研究室のメンバーの大半はあまり英語が話せなくて、一部の人達とはよく話すけれども、他の学生とは交流がなかったためです。けれどこの経験を通じて、すごくほっとしたと同時に海外とか外国人とか言葉とか関係なしに、仲間を大切にすることの大切さを改めて知りました。

誕生日ケーキ。タイではアイスクリームケーキが人気らしい。

留学前に外国人の知り合いに飛び込んだ

  • 語学力 : 英語

留学を決意する上で真っ先に心配すること、その1つが言語だと思います。この課題をクリアするため、私は日本に滞在している留学生の力を借りました。これは私がまだ長期留学を経験する前、学部時代の話ですが、当時の私は英語がてんでダメで、長文はおろか単語すら覚束ない始末でした。これは留学前に何とかしなければ、行ってからじゃあ遅い友人も作れない、と思い、研究室に当時在籍していたネイティブスピーカーの人の所に突撃しました。たどたどしい英語で、週に3回、私と一緒に英語で話してほしいと頼み込むと、その人はにっこりと笑って「もちろん」と言ってくれました。この経験を得て私は前よりもずっと英語が話せるようになり、自信をつけることもできました。日本の大学には留学生の人達がたくさんいて、彼等の多くはもっと日本人の友人を作りたいと思っているそうです。なので、英語がきちんと話せるか不安だ、という人は、留学前に少し勇気を出して、留学生の人達にアタックするのはどうでしょうか。

これから留学へ行く人へのメッセージ

留学では思ったよりもたくさんの辛いことが待っていると思います。それは合わない食事だったり、生活習慣の違いだったり、通じない言語だったり。けれどそれを乗り越えることが一度でもできれば、「あれ、意外と大丈夫だな」と、自分の強さに気づけると思います。そんな苦しみも含めて留学を楽しんでください!