【大分県】独自の繋がりを活かしコロナ禍でも数多くのグローバル人材育成施策を実現

 平成26年に「大分県グローバル人材育成推進プラン」を策定した大分県。これは平成27年から令和6年までの10年間で3ステージに渡って行う長期的計画となる。今回は昨年までの第2ステージ(平成30年~令和2年)での活動内容を伺った。策定当初掲げた、以下の「5つの力の総合力」を身に付けるためにどのような取り組みをしているのだろうか。大分県教育庁に取材した。


  • 1 挑戦意欲と責任感・使命感
  • 2 多様性を受け入れ協働する力
  • 3 大分県や日本への深い理解
  • 4 知識・教養に基づき、論理的に考え伝える力
  • 5 英語力(語学力)

海外名門大学やグローバル な国内大学と連携するなどの多様な取り組み

機運醸成 につながる 活気的な取り組みとして、様々なプログラムを行っているが、今回は大分県ならではの4つの取り組みに絞って詳しくお話を伺った。
(1) イングリッシュ・デイ・キャンプ
(2) スタンフォード大学遠隔講座
(3) オンライン・グローバル・キャンパス
(4) 国際交流プラットフォーム

(1) イングリッシュ・デイ・キャンプ
小中学生対象のプログラムであり、日帰りで行われている。郷土文化やSDGs等を学び、英語のプレゼンテーション等で成果を発信する内容になっている。かなり小中学生にとってレベルが高いものだが、達成感が感じられる人気のプログラムとなっている。また、ALTとも協力をし、高校生向けプログラムに繋がるような学習内容に変化していっている。
(2) スタンフォード大学遠隔講座
対象は高校生。背景として「国際的に活躍する資質・能力を持つ生徒」をさらに高めていくことを目指してきたプログラムである。大分県は米日カウンシルのコンソーシアムのメンバーでもあり、スタンフォード大学とは繋がりがあったのが企画のきっかけとなった。
講座期間は毎年9~3月の10回で構成されている。内容としては、スタンフォード大学専任講師と各回ゲストスピーカー(現地起業家)による講義、オンラインでのディスカッション、そして最後の講座では「社会の課題解決に向けて私ができること(SDGsを参考に各受講生が設定)」をテーマに1人5分程度でプレゼンテーションを行う。そのプレゼンと、課題レポートを基に大学が成績優秀者2名を決定し、スタンフォード大学で行われる表彰式に出席(第1期は新型コロナウイルス感染症の影響により、バーチャル表彰式に変更)することとなっている。
こちらのプログラムは本人負担ではなく、内閣府の地方創生推進交付金と県費で行われているのも特徴である。生徒たちからの人気も高く、実施後の満足度も高いことで今後も目玉のプログラムとなるであろう。
(3) オンライン・グローバル・キャンパス
バーチャル留学を体験できるものである。別府市にある、立命館アジア太平洋大学(APU)とのコラボレーションした企画で、大学の先生に講座を仕切ってもらうので、より大学の授業の雰囲気が味わえる。元々オンラインのプログラムなので、自宅や在籍校で受けることができる。また、こちらも生徒の負担はないものとなっている。
(4) 国際交流プラットフォーム
生徒の国際交流機会を確保するため、県立高校に様々なサポートを提供している。訪日教育旅行団体を受入れ、授業・部活動体験、文化交流をしたほか、コロナ後は国内外の教育機関とオンラインで接続し、お互いの学校・郷土紹介やSDGsに関する意見交換会等を実施。また、ALTや県内大学に所属する海外留学生等を国際交流サポーターとして県内高校や県主催行事等に派遣している。最近では、APUの50ヵ国以上の国籍の留学生たちが、県内の学校の授業やオンラインイベント等にも協力している。修学旅行の代わりのイベントとしても活用している学校もあるそうだ。

ステージ3への抱負とこれからの課題

 今年度から第3ステージ(令和3年度~6年度)を迎えたことにより、10年間の長期計画の集大成になる。今後にむけた、大分県教育委員会の展望としては、1つはオンラインでもよいから海外と繋がる機会をより増やしていきたいということ、2つ目はコロナの状況が改善すればではあるが、実際に留学や、海外へどんどん行って欲しいとのことである。
基本的な方針としては第2ステージで取り組んできた施策の強化とそこから発展した新プログラムの展開であるが、新型コロナの影響で見通しが不透明な部分もある。オンラインプログラムの参加希望者が当初から大幅に増えるなど、生徒たちの留学意識や海外への関心度は着実に上がってきている。これを、「留学に興味・関心がある」から「留学へ行きたい!行くぞ!」という明確な意思に持って行かなくてはならない。そこで課題なのが、大分県は他県に比べて留学のロールモデルが少ないという現状である。
また、大分県の留学支援の制度では長期(1年間)で1人あたり30万円が5名まで、短期で10万円が20名までが受けられるが、前述のオンラインプログラムにより留学意欲が高まった高校生に広く周知し、うまく活用できれば良い循環がまわるようになるのではないか。

最後に、大分県は独自の繋がりを活かし、他にはない留学機運醸成につながる企画が揃っていて、とても魅力的であり、恵まれた環境にあると感じた。3年後、このプランが終わった時の大分県の生徒たちの姿が楽しみである。

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