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企業の人事に聞く

当社はハードウェアもソフトウェアも扱う世界でも数少ない総合エレクトロニクスメーカー
富士通株式会社 人事採用センター長 山本 幸史様
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今回のインタビュアー
(トビタテ!日本代表生)
中央大学 石居秀教 上智大学 安田知夏
当社はハードウェアもソフトウェアも扱う
世界でも数少ない総合エレクトロニクスメーカー

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Q:「トビタテ!留学JAPAN」への御支援ありがとうございます。日本屈指の総合エレクトロニクスメーカーである御社ですが、まずは御社のグローバル事業について教えてください。

山本:2014年度時点で、当社はグループ全体で約4兆8000億円の売上。全世界で約16万人の従業員を擁しています。ICTサービスの分野では、国内ではトップシェア、世界シェアで見ると現在は5番手につけています。
当社の戦略上の地域分けは、日本を除き、EMEIA(ヨーロッパや中東地域)、Americas(北米中心)、Asia、Oceaniaの大きく4つに分けてきましたが、ちょうどこの10月に日本とAsiaの営業体制を一体化し、One Asia体制にしたところです。従業員数や売上規模で見るとやはり日本が最も大きく、売上高比率では日本が約60%、海外が40%程度となっています。海外比率40%超をずっと目標にしてきており、あと一歩のところまでは来ているのですが、なかなか超えられていないという状況です。事業展開のベースができあがっているので、今後そこでどう伸ばしていくのかという点が勝負どころと考えています。
当社の海外事業の特徴はヨーロッパにも強みを持っている点であり、約3万人の従業員数、売上高も1兆円近くあります。これは、他社より早いタイミングで海外戦略として積極的なM&Aを行なってきた結果とも言えます。1990年代にはイギリスの国営企業の買収を行い、2000年代に入るとドイツのシーメンス社と合弁企業を立ち上げました。このようなベースもあるため、海外比率約40%というバランスになっているというのが現状です。
事業領域については、ICTという切り口であれば、どんなジャンルでも業界でも事業領域に含まれ、ある意味何でもありとも言えます。当社が作ったハードウェア/ソフトウェアをベースにして、お客様そして社会に対して、サービスやシステムとして価値をご提供しています。それに対して対価を頂くというのが、当社のビジネスの基本形態です。実はICTという切り口で事業を行なっている企業には、SIerと呼ばれているようなハードウェアを扱っていない企業が非常に多く、当社のようにハードウェアもソフトウェアも扱う企業というのは、世界でも数えるほどしか存在していません。これも当社の大きな特徴の1つですね。

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Q:御社において、「グローバル人材」とはどのように定義されていますか?

山本:当社内でもよく議論していますが、「グローバル人材」の定義というのは非常に難しいですね。世界の潮流とともに変わっていくものでもありますし。ただもちろん、その中でも変わらないものもあるのかなと思います。
当社では、海外で外国籍の社員の採用も積極的に行なっています。採用に当たって着目するポイントは成長期待という点ですね。実はこれは日本人も外国籍の人も変わりません。
特に新卒採用の場合は、ビジネスの世界を基本的に知らないわけですから、その人がビジネスで通用するかどうかは未知数です。つまり即戦力ではありません。入社はスタートラインに過ぎず、そこからずっと成長し続けていかないと、その組織内でも社会においても価値は薄れていってしまいます。今後の自分のキャリアを考えた時に、どういう意思を持って何をしようとしているのかということを、自分の想いとともに人の心に響くように語れるかどうかということが重要だと思っています。
日本人学生と海外の大学生の違いの一例を挙げると、これはASEANエリアの上位大学の学生を採用した時の例ですが、彼らは自分をアピールする時に「自分はクイックラナーだ」とよく言っていました。日本では聞かないなと印象に残った言葉です。飲み込みが早いとか、新しいことを吸収する力が優れているとか、スピード感抜群ですという意味ですが、彼らは即戦力ではない自分のどこをどうアピールすればいいのかを、本能的に理解しているのかもしれません。

他者を受け入れる度量持って相手を理解すれば、
一緒にやっていく戦略が見えてくるはず

安田:私は幼い頃からフランスと日本を行き来していたので、フランス人と日本人の違いはよく分かっていたつもりでした。でも実際に留学して向こうの学校に通い、世界各国から集まった生徒とともに授業を受けると、その中での討論があまりに激しいのが衝撃でした。価値観も考え方も捉え方も全然違うのです。最初は「何よこの人たち」みたいに感じましたが、学期が終わる頃には、お互いにお互いの国のカラーのようなものが分かってきて、すごく仲良くなれました。そこで質問ですが、海外でまたは海外の方たちと仕事をするとなると、やはり価値観や考え方の違いという問題が大きいのかなと思うのですが、いかがでしょうか?

山本:おっしゃる通り、外国人と日本人では育った環境が全然違うので、ものの見方が全然違うわけですよね。そのため、海外ビジネスという切り口では、多様な価値観をどう受け入れ理解するのかということが必要になってきます。日本人とは違う人たちだということを正確に理解して、他者を受け入れる度量がちゃんと備わっているかどうかということです。相手を理解すれば戦略が見えてくるはずです。相手の出方や考え方が分かれば、こちらの出方も変えられますよね。それがない状態だと、平行線を辿るだけになってしまいます。

石居:私はデンマークに留学していたのですが、彼らの価値観は結構日本人に近いなと感じました。ちゃんと人の話も聞くし、空気を読む感じもあって、相容れないなと思ったこともあまりなかったです。そういう意味では、留学して価値観が変わったかというと、そんなに大きく変わっていないかもしれません。

山本:それはそれで大切な経験だと思います。例えばコペンハーゲンに行きました、でも価値観はあまり変わらなかった、とします。留学期間中に垣間見ることができたのはごく一部かもしれませんが、でもそこで「あ、そうなんだ」「北欧ってそうなのかな」とまず理解することが大事ですよね。「トビタテ!留学JAPAN」のメリットの1つは、いろんな国に留学している人たちのネットワークがある点だと思います。デンマークではこうだったけど、フランスではこんなに違った。さらには途上国に行った人だと、もっと違ってくるかもしれない。その辺を情報交換することによって理解が深まってくる。それによって、価値観の違いみたいなものが、より鮮明に見えてくるかもしれません。

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Q:最後に学生に向けてメッセージをお願いします。

山本:学生の間に、人と異なる経験をしてほしいなというのはありますね。それは絶対的な価値になると思います。そういう意味では、留学というのは一つの強い切り口ですよね。ただ、留学が目的ではないはずなので、どういう目的意識や意志を持って行くのかが重要です。
そして、学んだことをどう次につなげるかということですね。そこでは想いが重要になってきます。留学だけではありませんが、皆さんは何らかの想いや目的を持って行動しているはずです。想いの強さが、質の高い行動に結びつきます。そしてその先の人の心に響く「感動」という地点まで至れるかということだと思います。
もちろんこれは口で言うほど簡単ではないわけですが、ただ、これまで自分を突き動かしてきた経験を振り返るとわかる人も多いと思います。自分の行い/発言/アイデア/作り上げたプロダクトやサービス等を通して、自分自身/仲間/お客様/社会の心を響かせる経験が多ければ多いほど、社会に出てからもクオリティの高い仕事ができるのではないでしょうか。

インタビュアー紹介(トビタテ!日本代表生)

氏名:石居秀教
大学・学部:中央大学 法学部
渡航先:デンマーク
留学先:コペンハーゲン大学
留学期間:2014年8月~2015年6月
留学先で学んだテーマ:デンマークの福祉、ジェンダー

取材後記:
商品を売る過程では相手の要望を把握しそれを満たそうとしますが、相手の要望を聞く時は、常に価値観や文化の相違を考慮にいれる必要があります。そしてそれは日本でも海外でも全く同じ事です。その能力は、多彩な価値観に触れた留学生には磨きやすいものだと思います。海外でも必要とされる日本人になるために、相手が求めることを把握しそれに答えるだけのスキルを身に着けていきたいです。

氏名:安田知夏
大学・学部:上智大学 文学部
渡航先:フランス
留学先:パリ政治学院
留学期間:2014年8月~2015年5月
留学先で学んでいるテーマ:
EUの国際関係・障害者に対する社会福祉の現状

取材後記:
「思い・行動・感動が大事」という山本さんのお話が心に響きました。その中でも強調されていた「人を感動させる力」がとても大切だと思います。例え、力不足な点があっても、人を感動させて心を動かすことができれば自然と仲間が集まり、大きな力となるのではないでしょうか。この言葉を胸に情熱を持って世界に貢献できる人材になれるよう頑張ります。